【全米・全9公演参加】XGを生で観続けたファンが語る日本発グローバルコミュニティの未来
2022年3月、7人の日本人によって結成されたグローバルガールズグループ・XG(エックスジー)。デビューからわずか2年足らずで、彼女たちは世界中の音楽ファンの心を掴み、グローバルな舞台で輝きを放っています。
全曲英語歌詞の楽曲とパワフルで洗練されたパフォーマンス、そして斬新なビジュアルとコンセプトで、XGは他に類を見ない音楽性と世界観を確立。国際的な注目を集めるグループへと進化し続けています。
2024年5月には自身初となるワールドツアーがスタート。ロサンゼルス、ラスベガス、サンフランシスコなど、北米主要都市を巡る9公演を終え、現在はロンドン・パリ・ベルリンなど全6公演のヨーロッパツアーの最中です。
この歴史的な瞬間を見逃すまいと、北米ツアーの全公演に参加した日本人のファンがいます。その人物こそ、「しおパン」さんです。
「アメリカ9公演全部見た」日本人・しおパンさんとは
しおパンさんは、SNSを通じてXGのライブや現地の様子を発信し、多くのファンからも注目を集めています。
彼の熱意は並々ならぬもので、同じくXGの大ファンでパートナーのおみぃさんとともに北米ツアーだけでなく、これまでのアジアツアーにもほぼすべて参加。現在のヨーロッパツアーにも参加しています。
しおパンさんが各地で撮影した高画質のライブ映像は、XGのファンの方はYouTubeで見かけたことがあるかもしれません。
アメリカ公演中に初披露された話題の新曲「IYKYK」も、これ以上ない画角・画質でスマートフォンで撮影。現地参加が難しいファンも楽しませてくれました。(XGのライブパフォーマンスは、全編スマホ撮影・シェアが公式に認められています)
そんなしおパンさんの情熱とXGのグローバルな魅力が交差する北米ツアー。しおパンさんの目を通して見た、XGの姿とは――。彼の体験を通じて、XGが紡ぎ出す音楽の力と、国境を越えて広がるファンの絆を探ります。
【第1部】XGとの出会い
■海外ファンの熱狂に直感「エンターテインメント史に残る何かが起きている」
2023年9月のシンガポール。F1グランプリの喧騒の中、しおパンさんの人生を変える出会いが待っていました。
「元々、『SHOOTING STAR』や『MASCARA』はSpotifyでよく聴いていた好きな曲でした。ただ、誰が歌っているのかまでは知らなくて。美しい発音の英語曲だったので『韓国か北米のガールズグループなのかな?』と誤解していて、日本人のグループだとすら認識できていませんでした」
F1会場の野外ステージで偶然目にしたXGのパフォーマンス。そこで目撃したのは、予想をはるかに超える光景でした。
「パフォーマンスのクオリティの高さについてはもちろんですが、現地の人の熱狂ぶりに最も驚きました。海外ファンの皆さんが、ラップパートも含めて歌詞をすべて覚えて一緒に大熱唱しているんです」
「XG専用の舞台ではなく、F1の会場であるにも関わらず、アジアの若者たちがXGのパフォーマンスに熱狂している。その姿を見て、『これは日本と世界のエンターテイメント史に名を刻むムーブメントだ』と直感しました。『日本人もここまで来たのか』と、胸が高鳴ったのを思い出します」
しおパンさんは、すぐにXGについて深堀りし始め、彼女たちの魅力にさらに引き込まれていきます。
「帰国直後、過去に遡って公式のYouTube動画をあさり始めました。どの作品も洗練されていて、もう夢中でしたね。しばらくすると『PUPPET SHOW』が発表されたんですが、楽曲もMVもとんでもなくクオリティが高くて、さらに虜になりました。XGは本物中の本物だと確信したんです」
■XGとともに“世界を巡る”旅を決めた理由は?
横浜での初の単独ライブ「SHOWCASE」でワールドツアーの開催が発表されると、すぐに参加を決意。仕事の都合を調整して、しおパンさんとおみぃさんのXGワールドツアーを巡る旅が始まりました。
「ワールドツアーを巡りたいと思った理由は三つありました。まず、ファン目線で、XGの成功の軌跡を生で見届けたかった。だって、『ファースト』ワールドツアーって二度と来ないじゃないですか。特にXGが世界で認められるには、アメリカでの成功が不可欠。その歴史的な瞬間を、この目で見届けたかったんです」
「二つ目は、クリエイター目線での理由です。私自身、分野は違いますがモノづくりに携わる仕事をしています。XGのような最上級のアウトプットを生み出して人々を感動させることの困難さと尊さは、ある程度わかっているつもりです。彼女たちのライブからは強烈なインスピレーションと刺激を受け、挑戦への活力と勇気をもらえますし、学びもとても多いです」
「そして三つ目の理由は、世界各地の文化に触れられる貴重な機会だということ。わずか半年で20以上の都市を巡る体験は、人生の大きな財産になるはずだと考えました。もちろん、純粋にXGのライブを何度でも楽しみたいという気持ちが、最も重要なモチベーションでしたけどね」
【第2部】北米で体感した「熱狂」と「絆」
■「ラップを観客全員で熱唱」「何度見ても鳥肌が立った」
北米ツアーの会場で目にしたのは、想像を超える熱狂的な光景でした。オープニングを飾る『SHOOTING STAR』のロックアレンジバージョンが流れた瞬間から、会場全体が大きな興奮に包まれます。
「まるで伝説のロックスターが現れた瞬間のような熱気でした。客席全体が興奮で揺れていましたね。JURINちゃんから始まる4人のラップパートでは、観客全員で一緒に熱唱。そして、CHISAちゃんのボーカルパートで全員がステージ前方へ進み出るシーンでは、会場の盛り上がりは最高潮に。毎回鳥肌が立ちました」
「とくに印象的だったのは『WOKE UP』のパフォーマンスです。イントロが流れた瞬間のと地鳴りのような歓声。ほぼラップだけの曲を観客全員で歌い上げ、最高潮の盛り上がりを見せていました。おそらく北米で最も人気のあるXGの曲の一つだと思います」
「あとは『Something Ain’t Right』も印象深く、北米ツアー初日のラスベガス公演で、アジアツアーで目にして以来改めてこの元気なパフォーマンスを観て、他の観客と同様に自分自身に心から沸き起こる楽しさと幸せを感じて『どうしてXGはこんなにも無条件に人に元気と幸せを与えられるのだろう』と感動し、涙が出てきました」
■国籍を超えた「ファン同士の交流」に感動
XGのライブは単なる音楽イベントを超えた、独特の空間を生み出していました。会場の待ち時間には、自然と国籍を超えた交流が生まれていたそうです。
「『出身はどこ?』『次はどこの公演に行くの?』『どの席?』『誰推し?』『好きな曲は?』といった会話が飛び交い、言葉の壁を越えた友情が芽生えていきました」
「XGという共通の話題があれば、文化や言葉の壁も簡単に乗り越えられます。そして、複数の会場で繰り返し会うファンとはまるで"戦友"のような関係になるんです。アメリカの現地ファンに誘ってもらい、Airbnbでルームシェアして宿泊することもありました」
興味深いのは、K-POPファンの間で有名な「ソンムル」文化に似た習慣がアメリカにも存在したこと。「ソンムル」とは、ファンが手作りのアーティストグッズを配り合う習慣です。アメリカでは「Freebie」と呼ばれているそう。
「キーホルダーやトレーディングカード、アクセサリーやステッカーなど、本当にたくさんの人が心のこもった手作りグッズを配っていて、ファン同士の絆を深める素敵な習慣だなとあらためて感じました。ラスベガス公演では、カジノのチップ型のご当地Freebieを作る人もいて、みなさん気合いが入っていました」
【第3部】XGが生み出す音楽性とコミュニティ
■YouTubeのアナリティクスも語る“XGの幅広い人気”のワケ
「XGの音楽には、R&Bとヒップホップをベースにした、独自の魅力が詰まっている」としおパンさん。XGの幅広い人気の理由をこう分析します。
「80~90年代や2000年代の名曲の懐かしさと、最新の音楽トレンドが融合しているんです。シニアやミドル世代には、懐かしさや親近感と共に先端的フィーリングを提供し『自分の好き”だった”誇らしい曲』が見つかりやすい。一方で若い世代には自然になじみつつ、レトロでエモいフィーリングを提供している。これが、幅広い年齢層に支持される理由の一つだと想像しています」
「また、XGの作品の歌詞や映像には、日本のポップカルチャーからの引用も随所に見られます。ジブリ作品やAKIRA、セーラームーン、ジョジョ、ゴジラ、そしてShibuya・Tokyoなど、アニメや漫画カルチャーが好きな外国人ファンにも刺さりやすい。そして全曲英語楽曲です。それが年代や国籍や地域を問わず幅広い層に受け入れられている理由の一部だと思います」
この分析は、しおパンさんが運営するYouTubeチャンネル「The Art of XG」のデータからも裏付けられています。アナリティクスを見て、XGのファン層の広さに驚いたそうです。
「視聴者は10代から60代まで驚くほど均等に分布していて、アラサー世代が若干多いものの、基本的にはどの世代からも同じように支持されています。地域も実にワールドワイド。性別も女性2:男性1と、幅広い層に受け入れられているんです」
■グローバル・ファンコミュニティ『アルファズ』
XGのファンは「ALPHAZ(アルファズ)」と呼ばれています。しおパンさんが北米ツアーで目の当たりにしたのは、世代や国境を越えてアルファズを結びつけるXGの影響力でした。
「あくまで個人的主観ですが、アルファズの傾向・特徴として温和・平等・誠実・思いやり・協調性・フレンドリー・聡明・クリエイティブ・ポジティブなどのキーワードが浮かびます。もちろん例外もありますが、これは国籍や人種や性別など関係なくアルファズ共通の傾向ではないかと」
その背景には、XGのメンバー一人ひとりの人間性や、グループ全体が醸し出す世界観が影響しているとしおパンさんは分析します。
「行列でも揉め事は起きず、むしろ配慮や譲り合いの精神を感じます。知らない人同士でも秩序が保たれ、アルファズというだけで親しくなれる。そんな温かい空気が会場を包んでいるんです」
■歴史的な瞬間を記録し、多くの人に届けたい
XGのライブは全編スマホ撮影&シェアOKという方針を取っており、ファンによる積極的な情報発信を促しています。しおパンさんもその一人で、ライブ映像をYouTubeに投稿する理由をこう語ります。
「この歴史的な瞬間を、最大限美しい映像で記録したい。それが活動の原点です。でも、個人的な鑑賞のためだけではなく、XGやファンの皆さんにも微力ながら貢献したいという思いもあります。世界中の方々にXGの最上級のパフォーマンスを届け、その魅力をより深く知るきっかけになってほしい。そして『XGのライブに行きたい』と思ってもらいたいんです」
しおパンさんは、XGの活動を「時間と空間をつなぐもの」と表現します。
「XGには実に幅広い年代・国籍・性別のファンがいます。彼女たちのパフォーマンスはすべての年代を惹きつけ、世代の壁を越えてつないでいる。そして世界中の人々をも惹きつけ、言語や地域、文化の壁を越えて心をつないでいる。だからこそ、『アルファズは時空を超えてつながっているファンコミュニティ』と表現するとしっくり来るんです」
世界中のさまざまな地域や文化をつなぎ、同時に異なる世代間のギャップも埋めているXG。彼女たちの活動は、音楽が持つ“人と人とを純粋につなぐ力”を、かつてない規模とスピードで実現して見せているのかもしれません。
XGと世界を巡って実感した「音楽で世界はつながれる」
北米ツアー全公演を通じて、XGの魅力を最前線で体感してきたしおパンさん。最後に、しおパンさんの熱い思いを聞きました。
「XGの魅力の真髄は、間違いなく生のパフォーマンスにあります。彼女たちの表現力は圧巻で、歌もラップもダンスも、スタイリングも、ステージ演出も、すべてが高次元で完璧に融合しています。MVも素晴らしく作り込まれていますが、ライブパフォーマンスはそれをも超え得る感動があります」
「『PRACTICE MAKES PERFECT』という考え方が、XGのメンバーには浸透しています。細部まで神経を張り巡らせた練習と作り込みに裏打ちされた実力があるからこそ、初めて到達できる感動がそこにあるんです」
新たにXGに興味を持った方へ、しおパンさんはこう呼びかけます。
「ぜひライブに足を運んでみてください。最近ではm-floの楽曲をサンプリングした、清涼感と疾走感のある『IYKYK』や、力強さと切なさを感じさせる『HOWLING』など、XGの新たな一面を見せる楽曲が登場しています。きっと、あなたの心に響く1曲に出会えます。そして、その曲をライブで聴いた時、想像をはるかに超える感動が待っているはずです」
「大げさに聞こえるかもしれませんが」と、最後にしおパンさん熱を込めて語ってくれました。
「XGの活動は、世界の平和にもつながるような大きな可能性を秘めているんじゃないかと思うんです。国籍も年代も性別も関係なく、みんながXGの音楽でつながる。世界各地で、その一体感を体感してきたからこそ、その思いは強くなっています」
デビューからわずか2年半ほど。しかし、XGの影響力は音楽の枠を超えて広がり続けています。そんな彼女たちの躍進を象徴するように、2025年4月、アメリカで開催される世界最高峰の音楽フェスティバル「コーチェラ2025」への初出演が決定。世界中から約25万人もの観客が集まるこの舞台で、日本人アーティストとして唯一のステージを披露するXGに注目が集まっています。
音楽を通じて世界中の人々をつなぎ、新しい形のグローバルコミュニティを創り出しているXG。彼女たちの輝かしい未来を、これからも見届けていきたいと思います。