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はじめに〜草稿 生成しゆく表現としてのわたし(我他史)〜

2023年11月11日にライフストーリー「草稿 生成しゆく表現としてのわたし(我他史)」を出版しました。「はじめに」の部分を読みたいという声をもらったので、noteに出してみます。

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はじめに

 こんにちは、はじめまして、まみーたです。本名は大澤真美ですが、ドミニカ共和国に住んでいた時に、Mamitaと呼ばれていたことで、ある時から、まみーたと名乗るようになりました。
 わたしは、いわゆるロスジェネ世代の46歳。身長150センチ、体重4Xキロの女性です。坊主ですが、出家しているわけではありません。現在は、母ひーちゃん(70歳)、娘かずな(18歳)と女三人で海沿いの街、神奈川県葉山町に住んでいます。
 これまで、さまざまな仕事をしてきました。貿易会社、デパートの派遣、ドミニカ共和国で日本語教師、スペイン語の通訳・翻訳、アウトドア系NPO、文科省系や環境省系の研究所、環境省、挙げ句の果てには、看護師と保健師の資格をとり、グルーバル企業で産業保健師として働いていました。でも、今はそれを全部手放し、子どもの頃から関心のあった「自分の生き方を探究する」ことをして毎日を過ごしています。

 今年2023年5〜6月に、かずなと二人で、パウロ・コエーリョの著作『アルケミスト(錬金術師)』を模した、スペイン〜モロッコの旅に約三週間ほど行ってきました。何だか直感的に、今行くべきだと思ったのです。予定を決めず、その時の感覚で移動を続ける中、砂漠で地平線から朝日が昇るの見たり、オアシスで満月の夜を過ごしたり、海辺で野犬に囲まれたり、色んな出来事に出会ううちに、「ああ、こういうことなんだな」といくつかの考えがじわっと体に染み込んで来ました。

 「探究し続けて、歩いた後にできるのが、その人の道である」
 「その人の道に必要なことは、その人を狙って現れる」
 「日常の中にこそ錬金術は眠っている」
 「人はみな、錬金術師である」

 なんのことか?と思うかもしれませんが、要は「人生に必要なことは、自分の毎日の生活の中に、しっかりある」っていうことです。
 今は変化が多く、生き方が多様な時代です。ひと昔前の正解が通用せず、ハウツーや生き方指南が溢れています。わたしも、手近なビジネス書から、心理学の理論の本まで、色んなものを読んで来ました。局面的には役に立つものもあるし、ものの見方を変えてくれるものもあったけれど、何となく根底にある違和感が拭えません。結局、それでは「目の前で起きていることと自分の応答」から目を逸らして、「誰かの考え」というフィルターで世界を見ることになってしまうのではないか。

 モロッコの砂漠で何もすることがなく、ぼーっとしながら、考えるともなく、自分の人生を振り返っていました。本当に色々なことがありました。でも、その1つ1つが自分の想像し得ない形でつながっていて、人間の目に良いことも悪いことも、全て然るべき仕方で起こったなという感覚が体に広がります。日々の選択の積み重ねの結果、今の人生がありますが、大きな変化は自分で選んだというより、どこか自分を超えた流れの中でやってきたようにも思われました。そもそも、生まれる時代や場所も選べないし、バブル崩壊、インターネットの発達、東日本大震災、コロナなど、社会的な出来事に、人生が大きく左右されるものです。そう考えると、全てが必然であり、自分の内側で起こることと、外側の環境で起こることとの間で、「わたし」という一枚の布が織られているような気がします。
 
 旅から帰ってきて、何だか肩の力が抜けたというか、外側に向けて「何かをする」という気が起きず、心が「凪」のような状態になっていました。わたしは、多方面に興味があり、色んなことを思いついて、すぐ行動に移すので、フリーになってからの2年半も、色んなことをやってきました。全てやりたいから、やったことであり、誰に頼まれたわけでもありませんが、「社会的価値」を出すことにドライブされていた活動もあった気がします。それが、何だか憑き物が落ちたように止まりました。
 これは、まず、腰を据えて、自分と向き合い、人生の必然に思いを向けるときなんだな。さらには、自分をより俯瞰して見るため、他者が読むことを想定して、文章に残し出版しようと思いました。

 この時代に、この地域に、この親から、この性質で、わたしが生まれたのは、どういうことなんでしょうか?成長の過程で、どんな出来事がわたしに起こり、わたしにどんな反応が起こってきたのでしょうか?わたしとはどんな人間なのでしょうか?人間とはどんな生き物なんでしょうか?

 「秘密を解く鍵は、きっと、これまでの人生の中に詰まっている」

 そんな仮説を立てました。

 この本では、わたしがどんな時代に、どんな家庭で生まれ、どんな人生の旅を送ってきたか、そのときの心の動きと共に書いています。偉人の伝記ではなく、あなたの隣にいるであろう人の記録です。正解ではなく、右往左往が、迷いが書いてあります。少し出来事が派手に見えるところもあるかもしれませんが、それはわたしに必要だから起こっているだけで、取り立てて特別なものではありません。
 わたしとあなたは別の人間ですが、環境と自分の相互作用で人生が編まれていくことは共通していると思います。年齢、性別、性質が全く異なっても、きっと、「違うこと」と「似ていること」があるでしょう。だって、人間という種であることには変わりませんから。

 さあ、仮説はどのように検証されて行くのでしょうか。結果はコントロールできません。でも、いずれにしろ、この本が、わたしがわたしにより近づき、あなたがあなたにより近づく助けに、少しでもなったらいいなと願っています。

「人は誰でも、その人その人の学び方がある」と少年は独り言を言った。     
彼のやり方は僕と同じではなく、僕のやり方は、彼のやり方と同じで
はない。でも、僕たちは二人とも、自分の運命を探求しているのだ。だ
からそのことで僕は彼を尊敬しいている」

     パウロ・コエーリョ「アルケミスト」


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