「集団づくり生活指導」を追うための参考文献集(1)
とりあえず1ダース(12冊)
1)滝山コミューン一九七四 原武史
児童視点で、著者が経験した集団づくり生活指導の不可解さを綴った実録。
児童視点での実録で書籍化されたものはおそらくこれが唯一だろう。
荒れ放題というところまで至らなかった例というところも、興味深い。
2)学級集団づくり入門(1963) 全生研編
学級集団づくりのマニュアル化第一作と言っていいだろう本。
「アクチーフ」「分子」等の活動家用語が使われている。
明治図書によると、第二版が発売までに二万部以上売れたそうだ。
3)学級集団づくり入門第二版(1971)全生研編
非常によく売れた集団主義教育マニュアル。前作と違い活動家用語は文面から一掃されている。
正確な部数は不明ではあるが、38刷までは確認されている模様。
4)班のある学級 大西忠治 1963
大西忠治氏の初期の著作。
末尾に近い部分にある「教師の演技」という部分は、「子どものため」という大義名分で児童集団に不安による心理操作をかけることが正当化されている。
5)なぜ集団主義を選んだのか 大西忠治 大畑佳司他(1965)
1960年台に全生研運動に深く携わった教師たちの心情をつづった作文集である。巻頭の編集者の弁には、明治図書出版が全生研運動に傾倒していった事情もうかがわれる。
6)戦後教育学と教育実践竹内常一に導かれて 宮原廣司
全国生活指導研究協議会(全生研)の理論的指導者であった竹内常一の動向を追いながら、生活指導における教育実践について、全生研内部視点から概観した書籍。
1960年台の運動が盛り上がる高揚感、批判をうけて路線転換していく経緯などがつづられている。
創生期にあって、小川太郎氏の批判に対して竹内常一が「ぴえん」でごり押しした様が綴られている。
7)集団づくりと新聞文集活動 全生研編
集団づくりに新聞・文集活動をいかに利用していくかといった観点から、理論と実践録がまとめられている。
世論操作、イデオロギー統制といっていいような内容が、肯定的にとらえられている。
8)集団主義教育の批判 片岡徳雄編 1975
全生研方式の集団主義教育に関して、教育学的視点から批判的に詳細な検討されているが、「革新的教育たりうるか?」という問いが根底にあったことが、この批判が力となり得なかった部分かもしれない。
なぜこの批判が長年教育改革に活かされなかったのか?といったことも含めて考えていきたい一冊だろう。
9)教師修行十年 向山洋一
TOSSの向山洋一氏の若い頃の実践集成である。向山氏は全生研運動の主流にいた人ではないのだが、この本の端々に、集団主義教育の要素が記されているといったところに着目したい。
10)戦後生活指導運動私史 春田正治
全生研運動をその創建時から盛り立ててきた春田正治氏による、生活指導運動史。
春田氏は、日本生活指導連盟(旧コア・カリキュラム連盟)のトップでもあり、和光大学の教授でもあった。全生研運動が多方面の教育運動との合流でできていたことを間接的に物語る部分が興味深い。
11)生活教育の理論 竹内常一 1969
とても長い。
綴り方生活指導はじめ、各種の生活指導論の問題点を批判、全生研方式集団主義指導によってそれらが克服されたという主張の本。
12)最高の学級づくりパーフェクトガイド 指導力のある教師が知っていること
当節の学級集団づくり本。
いじめに関する章のロジックジャンプは非常に興味深かった。