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舘野鴻作品展「問いかける生きものたち」ギャラリートーク

12月10日(土)、11日(日)は年内最後の絵本美術館 森のおうちさんで開催中の舘野鴻作品展「問いかける生きものたち」の在廊日でした。両日ともにギャラリートークを開催。ひと作品ごとに作者である舘野さんから制作エピソードを聞ける、貴重な会となりました。

過去のレポートはこちら

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まずは『つちはんみょう』 (偕成社)の部屋で、学芸員の米山さんから舘野さんと森のおうちさんとの出会いについてお話がはじまり、舘野さんにバトンタッチすると、『つちはんみょう』 の原画一枚一枚、その見開きに描いたもの、込められた思いを語っていただきました。
この絵とこの絵は対比となっていて……、『つちはんみょう』 はこの見開きから描き始めました。それはなぜかというと……、ここには感傷や情感は込めていなくて、現実の有様を描いています……など、どんな風に『つちはんみょう』を描いたのか、原画を見ながら聞くお話は、講演会とはまた違った楽しみがありました。

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次はお隣の部屋のちいさなかがくのとも「みかづきのよるに」(福音館書店)。透明水彩の細密画による『つちはんみょう』の絵とはガラリと変わった、ソフトパステルで描かれた原画が展示されています。どのくらいの期間でどうやって描いたか、休みなく夢中で描いていたら指の皮が剥けて血が出てしまったことなどのウラ話から、こどもの頃の原体験、とくに視覚情報ではない「におい」の記憶について、蛍の匂いを嗅いだことがある人は匂いを思い出し、嗅いだことがない人はどんな匂いか想像したりして、お客様と会話を交えながらトークが進みました。

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反対側の部屋に移動し、たくさんのふしぎ「うんこ虫を追え」(福音館書店)の原画を見ます。知らないからこそ、なんでもやってみる、何回も失敗する、でもまた違う方法を考えてやってみる、その姿をこどもたちに見てほしいと語る舘野さん。
絵に描かれたオレフン(舘野さんは自分の糞をオオセンチコガネに与えてそれを餌にオオセンチコガネを育成しています)を、もっとリアルに描いてくださいという要望が担当編集のKさんからあったけれど、それはリアルに描いちゃマズくないか!?というやりとりもあったそうな…(笑)。

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「うんこ虫を追え」の向かいには、初の小説作品となる『ソロ沼のものがたり』 (岩波書店) の原画が飾られています。小説ですが、ほぼ全ページに舘野さんによる挿絵が入っている豪華な本です。実は何年も前からこのような昔話のようなお話を何編も作られていたそうです。
学芸員の米山さんは、舘野さんの作品は一作ごとに終わったり、作品ごとに全く別の世界となるのではなく、全部のおはなしの世界が繋がっているように感じます、とおっしゃられていました。絵本を描き終えたその後も、オオセンチコガネ、センチコガネの育成・調査を続けていたり、若い頃から現在もずっと生物調査や研究をして見つめ続けているから、描く物語が深く広がりを持ち、地続きに感じられる…というようなお話があり、なるほどと思った次第でした。

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最後に『ねことことり』 (世界文化社)の部屋に行き、絵を描いてみてどこが大変だったかと突然振られアタフタしましたが(実は全部です…)、四苦八苦しながらも師匠である舘野さんにご指導いただき、なんとか形にすることができました。ねことことりの友情物語だけではない、裏にはこの物語の根幹となるテーマが描かれていて、その匂わせも少し語ったり、次作についてのお話もしつつ、ギャラリートークを終了しました。

※12月26日に朝日新聞のネット版「好書好日」にて絵本『ねことことり』のインタビュー記事が公開されました。物語の根幹となるテーマや設定、制作のきっかけや、どんなふうに作ったかなどについて語っています。

展示しているこぶしの枝を手折って実際ににおってみる。

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最後にはサインや写真撮影などの交流もして、近隣、遠方からお越しのお客様や、森のおうちコテージに宿泊されたお客様など、たくさんの方々とお話しすることができ、私も楽しかったです!

こどももおとなも自由にお絵描きできるスペース。舘野さんが描いているのは…?
あおおさむしでした!

2022年10月22日(土)に開催されたコガネムシ研究会第22回(2022年)大会でご登壇された際のスライドを見せてもらいながら、オオセンチコガネの生態についてのスペシャルトークも!

ストーブの前でひとやすみ

森のおうち学芸員の米山さんと、豊科郷土博物館の宮本さんによるオンラインギャラリートークをYouTubeで公開中です。

10月から始まった舘野鴻作品展「問いかける生きものたち」も、2023年1月24日に最終日を迎えます。長い期間…と思っていましたが、たくさんのイベントもあり、毎月安曇野に同行させていただいていたので、今月で最後かと思うと寂しい気持ちです。23日、24日に最後の在廊を予定しています。最終月もまた会場でみなさんとお会いできますように。2023年もどうぞよろしくお願いいたします!


舘野鴻作品展「問いかける生きものたち」
会期   2022年10月7日(金)~2023年1月24日(火)※最終日15:30閉館
会場   絵本美術館&コテージ 森のおうち
     長野県安曇野市穂高有明2215-9
開館時間 9:30~17:00(最終入館は16:30、変更日あり)
     ※12月~2月 9:30~16:30(最終入館16:00)
休館日  木曜(G.W.期間中は無休、祝日振り替え有り)
     ※変更日はHPカレンダーにてご確認ください。
アクセス 車→安曇野IC(豊科IC)より約20〜30分 無料駐車場 約30台
     電車+タクシー→JR大糸線の穂高駅、又は有明駅下車、タクシーで10分
JR篠ノ井線明科駅からタクシーで20分
電話   0263-83-5670
メール  info@morinoouchi.com

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