普通じゃない結びつき
先日、何気なく
セルジュ・ゲンスブールの話になって、
彼が亡くなった年齢を
改めて知ってびっくりした。
62歳!
若い!
70歳は超えてると
思っていた。
いろんな方向から
人生を謳歌したであろう
痕跡が現れていたからか、
あるいは
あの圧倒的な
存在感のせいなのかしら。
皮肉や卑猥なジョーク
エロティックなメタファー
スキャンダル
それにも関わらず、
今でも国民的な大スター
彼は、いつも
ちょっと変わった表現を
好んだ。
言葉通りの意味の下に
別の世界が広がっていることを
暗示する。
ヒプノティック
催眠的
最も有名と言っても
過言でない
「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」
という物議を醸した曲がある。
百聞は一見にしかず
ではないが、
その理由は、
聴いてみたら
「あ!」とわかるのだが、
そのメロディーとリズムは
とても優しく美しい。
そして、
その歌詞は
18歳未満禁止になる程
なのだけれど
彼曰く
「音楽はとても純粋なもの。
生まれて初めて書いたラブソング。」
ジェーン・バーキンとのデュエットで
世に出され有名になったのだが、
もともとは
「私のために想像できる限り一番美しい曲を書いて」
と、当時親密な関係にあった
ブリジット・バルドーに頼まれて
彼が一夜で書いたと言う曲。
私は個人的に
落ち着いた声の
バルドーのバージョンの方が好み。
そして
なんと言っても
このタイトルに痺れる!
Je t'aime…moi non plus
Je t'aime は「愛してる」
この返答として
通常は
肯定的に返す場合は
Moi aussi 「私も」
つまり「僕も愛してる」
となるのだが、
なぜかここでは
否定文を肯定する時に使う
moi non plus 「私もそうじゃない」
になっている。
普通なら
結びつかない
間違った
繋がりなのです。
なぜ?
この、間の
・・・には
何が起きている???
結びつけないはずの
結びつき
結びつくはずのないものが
結びついた時
一体、何が起きるのだろう?
そこに
想像は開いていきます。
どんな意図が?
どんな意味が?
どんな結果が?
いろんな解釈ができるでしょう。
そして
答えは自分の中で
「そうか!」
と思うしかないのです。
このたった一文に
え?
どういうこと?と
一瞬にして
広がりを感じ
その隙間から
あの美しい言葉と共に
メロディーの中に
没入していく体験。
「愛してる」といわれ
「僕もそうじゃない」と答える男性
答えたくないのか
恥ずかしいのか
答えられないのか
ただ、
変わったことを言いたかったのか
言葉から
世界は広がっている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?