もしかしたら、わたしエッチな子なのかもしれません①
8月某日
tinderにてマッチ
女子データ
ゆずか/24歳/児童施設職員
不自然に大きな目に両端を削り取ったような細い顎、不自然に紅い頬と唇
明らかに加工された写真は、きっとほとんど原型を留めてはいないのであろう
加工アプリを介して世に蔓延る量産型女子
個性の死を目の当たりにしたすけは、それでもその加工前を推察し、抱けるレベルであると判断した
すけ「ちょっと待って、プロフィール画像に天使が写ってるのかと思ってスマホを持つ手が震えています」
ゆずか「それはきっと目の病気なので眼科に行くことをオススメします」
すけ「眼科で見てもらったら、片目が失明してたみたいで、さっき目ん玉取り替えてもらいました。本当にありがとうございました。あなたのおかげです。」
ゆずか「ほらほら言ったじゃないですか。失明って治せるんですね」
すけ「医者に発見がはやかったおかげだと言われました。このご恩は一生忘れません。」
ゆずか「忘れてください笑。すけさんって変だけど面白いですね。」
すけ「今まで以上に世界が色付いて鮮やかに見えます。直接電話でお礼させてもらえませんか?」
ゆずか「あんまり笑わせないでください。今友達といるので帰ってからでもいいですか?」
2時間後、架電
すけ「ゆずか様、仏様!」
ゆずか「なに?なんですか?」
すけ「わたしに光をありがとうございます。深く感謝申し上げます。」
ゆずか「もうやめてください笑」
すけ「このご恩をどうお返ししたらいいのかわかりません」
ゆずか「それじゃお寿司御馳走してください」
すけ「了解、めちゃくちゃ美味しいお寿司屋さん知ってます。」
ゆずか「いいですね。どこにあるんですか?」
すけ「けっこうどこにでもある伝説が握る伝説のお寿司屋さんです」
ゆずか「伝説?伝説なのにどこにでもあるんですか?」
すけ「頭にお皿を乗せている伝説」
ゆずか「かっぱ寿司だ!笑」
すけ「正解」
ゆずか「100円の回転寿司はダメです!笑」
テンポ良い調子で会話が繰り広げられる。
コミュ力が高い女子との会話は本当に楽しい
すけ「どのくらい彼氏いないの?」
ゆずか「わたし、彼氏いたことないんです」
すけ「え、、本当?」
ゆずか「はい、親がめちゃくちゃ厳しくて、その反動でここに登録しちゃいました」
すけ「ゆずか父の愛情、裏目に出たね笑」
ゆずか「そしたらこんな変な人に出会ってしまいました」
すけ「そんなに褒めないで」
ゆずか「褒めてはないです笑 でも面白くて話してて楽しいです。」
すけ「よく言われます」
ゆずか「少しは謙遜してください笑」
すけ「彼氏いたことないってことは、ファーストキスもまだってこと?」
ゆずか「はい、、」
すけ「その先も?」
ゆずか「まだしたことないです」
これほどのコミュニケーション能力がある若い女子であれば、元恋人の1人や2人とは思っていたため、面食らってしまった。
相手はその初めての一回を大事にしたがっているのか、捨てたがっているのか
軽い気持ちでつまみ食いして良いものか、とぐるぐると考えが巡る
と彼女はポツリと呟いた。
ゆずか「でも、もしかしたらわたしエッチな子かもしれません。」
すけ「え?」
続く