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第3回「だから、もっと福祉の外へ」

「井の中の蛙になってはいけない。もっと福祉の外側へ発信しなければいけない」と実感した出来事が最近ありました。

梅田のグランフロントにある、異業種が集まる登録制サロンの利用面接に先日行ってきました。面接では、僕が働く法人の事業内容や理念、僕が考える障害福祉観や仕事以外の活動について幅広く質問されました。法人のことを聞かれたときに、僕はいつものように、障害者支援を通して、豊中市を障害者が暮らしやすい地域にしていくのと同時に、あらゆる人の「らしさ」があふれる社会にしていく活動をしています、という回答を皮切りに、事業内容や理念をお伝えしました。

僕の説明に対して面接官は言いました。
「社会へ/地域へ/外へ、障害者を全員出していくのはよく分からない。障害者の中には、外にあまり出たくない人はいるし、施設で暮らしたい人もいるだろう。例えば、僕の祖母は寝たきりで車椅子生活、障害者手帳を取得している。彼女は外に出たくないといつも言っている。もし出たくないという人がいたら、君はどうするの?出たくないと言っている人を無理矢理外に出していくのはよくないと僕は思っている」

僕は反論しました。
「いや、そうじゃないです。無理矢理外に出していくのではありません。あくまで選択肢をつくり、選択は1人ひとりに委ねるのです。「好きなアーティストのライブを見たい」「生まれ育ったところで、1人暮らしがしたい」という意思表示がある障害者がいたら、その思いをすぐに実行できる環境をつくっていく、という意味でサポネの活動を紹介しました。だから、障害者が暮らしやすい地域に=障害者が必ずしも積極的に地域に関わらなければいけない、ということではない。1人ひとり違う。みんな違ってみんないい。色んな人が共生し、1人ひとりの「らしさ」が表現できる社会にしたいです」

このようなディスカッションを繰り返し、僕は障害福祉を発信し、面接官は障害福祉を理解しました。障害福祉に関わる人に法人の説明をすると、理解をすぐ示していただくことが多くありました。おそらく障害福祉に対し、ある程度の知識や経験があるからだと思います。しかし、今回のように異業種の人には伝わりません。抽象的に説明するのではなく、きちんと伝えなければいけません。

分かりやすい言葉で、きちんと順路立ててロジックに説得力のある文章で伝えなければいけない。そうしないと、理解を得ることはできない。そう実感した出来事でした。

福祉職に対して発信し、福祉職だけで集まることは大切ですが、異業種に対して発信し、異業種のなかに福祉職が飛び込むことも同じくらい大切です。介護や福祉に携わる1人ひとりが「発信」という武器を身に付けていき、外部に発信をしていくことで、介護や福祉のイメージを変えていけるでしょう。「井の中の蛙になってはいけない。もっと福祉の外側に発信しなければいけない」 ぼくは実践し続けます。

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