第5回「伴走者の立場から考えてみると決めた理由」
ぼくは福祉を学ぶ学校に行ったわけでも、障害者と関わる経験があったわけでもなく、就職活動に失敗し、大した理由もなく障害福祉の業界で働くことに至りました。働くなかで、障害者が困っている問題や受けている偏見や差別を目の当たりにし、彼らと一緒に問題や偏見、差別を解消したい思いが強くなり、いまも障害福祉の業界で働いています。
障害福祉を学び、研究している専門家でもなく、普通の暮らしを送ることに制限がかかりがちな障害者でもなく、障害者と一緒に彼らの生活をつくっていく者の視点から障害福祉を捉え、考えを発信したい思いがずっとありました。
一般的には、僕の立場は「支援者」と捉えられますが、支援者という言葉が苦手なのです。その言葉を使用することが支援する側⇔支援される側と無意識にボーダーを引いてしまうかもしれません。僕のしていることは、支援する側⇔支援される側の構図に一般的には捉えられるかもしれませんが、する/されるではなく、彼らの暮らしを一緒につくっていくのが僕のしていることと自身は捉えています。その「一緒に」の要素を前面に出したいという思いからタイトルに「伴走者」と加えてみます。
タイトルに「伴走者の立場から考えてみる」と加えたのにはもう1つ理由があります。ぼくが以前勤めていましたNPO法人は脳性マヒ者が代表を務める当事者団体です。自立生活運動のスローガンNothing About Us Without Us (私たち抜きに私たちのことを決めないで)に則り、僕たちスタッフは障害当事者と一丸となって、彼らの声を社会やまちに発信したり、国や行政に提言したりしています。
これからの障害者を取り巻く制度や環境を変えていくためにはもちろん声を届けるのは必要なことだけれども、伴走者の視点から障害福祉を捉え、考えを発信することも必要です。様々な選択肢、様々な考え、様々な人が共存することこそ、まちや社会が多様化し、あらゆる人が困りごとを持ち合わせたとしても、自分の人生を生ききることができるのではないのだろうか、と思います。
数多ある視点のうちの1つの視点から捉える考えを提供することで、誰かが別の意見を持ち、他人と意見を交わす行為を生み出す発信をしたいと思っていますので、これからもつらつらと自身の考えを発信していきます。
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福祉の線引きを薄めるために、福祉の中で遊んでいます。特に障害をお持ちの方と一緒に。みなさまのサポートはそれらの遊びに活用します。