日本酒とバレンタイン
わたしの職場の良いところのひとつに、イベントにまったく動じないというところがある。
この文化を皆大切にしている。
もちろん、バレンタインデーは、普通の金曜日である。
超だるい気持ちで出社して、普通に仕事をして、速攻で帰る。
わたし自身、イベントごとに疎いこともあるが、ことしは主人になにか渡そうと思った。
結果、シルスマリアさんの赤武にした。
以前赤武については彼と話をしたことがあったので、今回はこちらにしてみた。
キットカットの日本酒味のものもかなり惹かれたが、個人的に生チョコが好きなため、こちらにした。
キットカットも、由緒正しいお蔵で作られた日本酒が用いられており、こちらもとても気になる。
夫は日本酒界隈の仕事に携わっている。
そのため、日本酒への愛が深く、テレビの録画表は「日本酒、蔵元」系のものばかりだ。
その愛がゆえに、日本酒関連の中途半端な品物、企画その他色々を目の当たりにすると、「日本酒を冒涜している」「蔵人さんが一生懸命作った日本酒なのに」「お蔵さんが時間をかけて本当に苦労して作った日本酒なのに」と、よく怒りを露にしている。
しかしながら、大切に作られてきたお酒を世に広めたい、多くの人に知られてほしい、という想いもあり、その葛藤にいつもひとりで苛まれている。
わたしからすればどうでもよいことであるが、このような彼の性質上、日本酒のチョコを渡すというのは、普通のチョコを渡すことよりもハードルがぐんと高くなる。
色々と考えていたらなんだか面倒くさくなってきて、やっぱりユニクロの靴下にすればよかったなと半ば後悔しながら、帰宅した夫に渡した。
すると、
「えっ!!!!!くれるの!!!!うれしい!!!😭😭😭」
「え?あ、うん」
彼は、誰からもチョコレートをもらっていなかった。
~完~
「なんでもうれしい😭」
と言っていた。
ひとつのチョコは、彼の日本酒への愛を越えた。