短編小説4 【透明な季節の彼方で】(2分で読めます)
はじめに:リアルの経験 x ChatGPT x 村上春樹の文体
この短編小説は僕の経験をもとにChatGTPに書いてもらい、僕自身が加筆修正をして完成したものです。文体は村上春樹というプロンプトを入れました。「リアルの経験 x ChatGPT x 村上春樹の文体」を楽しんでいただけると嬉しいです。(Claude 3.5にも加筆修正してもらっています)
透明な季節の彼方で
君と出会ったのは、4月のあの穏やかな午後、春の風がふいに心にぽっかりと穴を空けるような、柔らかでざわめきに満ちた瞬間だった。大学3年となった僕は、所属していた軽音楽部の勧誘を口実に、新入生らしい初々しさと魅力を兼ね備えた女の子を見つけては、手を離すと空の彼方に飛んでいってしまう赤い風船と同じくらいの軽さで話しかけていた。
君は正門の近くで一人、立っていた。誰かと待ち合わせをしている雰囲気だった。新しい学期が始まる独特の空気感の中で、君の周囲だけが静かで澄んだ空間に包まれていた。長いフレアスカートとシンプルなローファーの間から見える細い足首が印象的だった。その姿は現実感が薄く、どこか遠い星から届いた光のようで、僕は無意識のうちに吸い寄せられるように近づいていった。
軽く声をかけると、君は少し警戒するように眉をひそめた。軽音楽部の勧誘の安っぽい言葉と好きな歌手の話をしながら「佐野元春も大好きなんだ」と言った瞬間、君の表情がふわりと解けた。それから僕たちは、短い言葉を交わしながら、ほんの一瞬でお互いの中に入り込むような感覚を覚えた。でも、君は、楽器も歌もやらないから軽音楽部には興味はないと言って微笑み、僕はただ頷いた。少しだけ残念に思いながらも、その流れを自然に受け入れていた。君はきっと、僕の人生において、ふと現れてすっと通り過ぎていく人なのだと感じたから(この直感はちょっとだけ当たっていて、大いに外れていた)。
その春の午後がすっと過ぎ去っていたように、僕は君の名前も知らないまま、過ぎ去っていく人の一人となった。君にとっての僕もそうだったのかもしれない。でも、心の奥底では、ただ一度きりの出会いが胸に残り、4月のあの午後が僕の心に静かに根を下ろしていたのだ。
それから2年半が経った頃、僕は英文学のゼミの教室で再び君と出会った。卒業し社会人になるはずが、4年の夏から1年の留学をしたため、5年目の夏に大学に戻り、留学前に落としていた英語科教育法も含めた単位をいくつか取得する必要があったからだ。つまり、留学しなかったら、そして君が同じゼミに入らなかったらこの時点での僕たちの出会いはなかった。
教室で君が入ってくるのを見たとき、2年半ぶりに会うのにあの時の君だと瞬時にわかった。そして、あの春の景色が急に甦って僕は驚いた。過去と現在と未来が交錯して、目眩がするような気持ちに包まれた。
君があの時の出会いを覚えていたかどうか、尋ねることはなかった。尋ねてもよかったと思うが、ただ尋ねる必要がない感じがしたのだ。僕の中であの4月の午後が深く根を張り続けていることを、何も言わずとも君は知っているような気がした。そして、再会してからの僕たちは、2年半の歳月を1週間で埋めるように急速に惹かれ合っていった。
やがて僕たちは結婚し、南半球の緑豊かな島に移り住んだ。強い紫外線を放つ夏の太陽や、冷たく鋭い冬の風が窓を通り抜ける時、あの4月の君の姿がふっと思い出される。長いスカート、細い足首のローファーが静かに地面を踏みしめていた、あの瞬間が、遠い記憶の中で、君が優しく僕に語りかけてくるような気がする。
今も僕は、あの4月の午後をひそかな宝物のように、そっと心の奥に抱いている。僕たちはそれぞれの時間を通り抜け、あの場所で再び出会うために、まるで運命に導かれるように歩んできたのだと、今ではそう思える。
あの春の日から36年。君は、もうこの世界にはいない。けれど、透き通る青空の向こう側で、君もあの春の日を思い出し、僕と同じ温もりを抱いていることを、僕は感じる。それは意識して感じるというものでなく、ただただ感じてしまうという感覚のものだ。
君と過ごした数えきれない季節のひとつひとつが、今では小さな光となって僕の中に灯り、いつの間にか、僕の生きる悦びをそっと照らし出してくれている。それが、どれほどの癒しか、どれほどの愛しさか、今はわかる。そして、僕らの物語はまだ途中なのだ、そう思えるのだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
❤️ この短編小説は友人の中川麻里さんの投稿に刺激を受け、背中を押されて誕生しました。中川さんに心から感謝いたします。
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