第1回「サートゥルナーリア編」(POG2024~2025)

本記事は記事末尾の「好きなアニメ発表ドラゴン」の項目を除いて全て無料で読むことができます。
手っ取り早く指名馬を確認したい場合は「良さそうな新馬って、なに?」の項目をご参照ください。


はじめに

どうも、やっと始まりました種牡馬別の血統解説。
第1回はサートゥルナーリア編になります。

お相手は不肖、私マミジロウがお送りいたします。
本当は新馬戦初日に間に合わせたかったのですが、間に合わなかったので現時点で出走していない馬で、かつ指名者がそこまでいない馬を選んで俺ツエしていきたいと思います。

あ、ちなみに今年(2024~2025シーズン)の方針とかを書いた第0回はこちら
第0回で「初心者にもひろまればいいな~」とか書いておきながら文脈任せになっていた血統についての大まかな解説をしている第0.5回はこちら

とはいえ、第一回なのに方針を所与のコンテクストとして省略するのも”手抜き”といわれかねないので、改めて再掲します(サービス、サービスぅ!)

今年の方針

  1. 指名者数が少ない馬の中から良血馬を探してポイントを稼ぐ

  2. 出走前日時点で、指名者数が5000人を超えるような馬は指名馬から外す

  3. HaloとLyphardのクロスは重点的に

  4. サンデーサイレンス直系で母方にデインヒル(Danzig系)があるのは注目

  5. シーザリオ系種牡馬に注目

  6. ダービー重視で牡:牝=7:3くらいの割合にする

ちょうど今年はシーザリオ産駒の種牡馬の一頭、サートゥルナーリアが新種牡馬としてラインナップされているので、第1回にふさわしいと言えましょう。

サートゥルナーリアって、なに?

現役時代

サートゥルナーリアは名牝シーザリオの子で、エピファネイアリオンディーズを兄に持った良血馬です。
母は日米オークスを勝ったG1馬、兄達も2歳G1、クラシック、古馬G1で勝利、好走しているサラブレッドらしいサラブレッドです。
ロードカナロアも短距離G1を6勝。彼の1年前にはかのG1 9勝馬アーモンドアイが初年度産駒として誕生しており、相当の期待を背負っていたことは想像に難くありません。

そんな彼の詳細な戦績は皆大好きWikipedia先生に解説を譲るとして、G1は2勝(2018年ホープフルステークス、2019年皐月賞)、他に重賞2勝(2019年神戸新聞杯、2020年金鯱賞)という戦績をもって引退しました。

2歳G1の最高峰、ホープフルステークスとクラシック(特に皐月賞)を勝っているところに鑑みて、早熟性があり、勝っている重賞は全て上がり最速を記録していることから、とても日本競馬向きで産駒もクラシックで活躍してくれそうなPOG向きの種牡馬といった成績に見えますね。

個人的には、2000m前後の中距離を走れるスタミナと、たしかなスピードを兼ね備えた馬というのは現代の日本競馬で最も需要が高いと思っているので、2歳~4歳までで2000mの重賞を勝っている点は良い戦績だと思います。

種牡馬時代

2021年から社台スタリオンステーションで種牡馬入り、初年度種付け料は600万円で、今年初年度産駒がデビューする種牡馬の中では、最も高額な種付け料でした。
おそらくこれには当時初年度で三冠牝馬デアリングタクトを、二年目で皐月賞、天皇賞(秋)、有馬記念を勝ったエフフォーリアを輩出した兄エピファネイアの繁殖結果が反映されたものだと言えます。当時のエピファネイアは250万円の種付け料でこれだけの成績を叩き出したため、その弟に期待するのは当然の帰結のように思えます。

その後、2022年に700万円、2023年からは800万円と産駒が生まれるごとに種付け料が少しずつ上向いてきていることから、生産者からの評判も高いことが伺えます。

血統解説って、なに?

サートゥルナーリアの血統表(出典:netkeiba)

サンデーサイレンスが3代前にいるSSクロスをしやすい血統

本馬が母父スペシャルウィークということは、かの大種牡馬サンデーサイレンスが3代前になります。つまり、サートゥルナーリアから生まれる産駒は4代目にサンデーサイレンスを持つことになり、配合相手は幅広く取れるようになっています。

兄のエピファネイアでも試されましたが、母父がサンデーサイレンスの直子だとサンデーサイレンスの4×3が発生し、奇跡の血量を実現できます。
サートゥルナーリア自体が5代血統内だとNorthern Dancer…5×4しかクロスを持たないので、極端なインブリードになりにくいというのも良い点ですね。
※実は6代目にNorthern Dancerが3本あるので、アウトブリードを特に重視する方はご注意ください

キングカメハメハ直系のミスプロ系で母方を強調しやすい

ミスプロ(Mr. Prospector)系は持続力のあるスピードが特徴的と言われている芝もダートも活躍馬の多い直系血統です。キングカメハメハがハイペースの死のダービーを競り勝ったところからも、トップスピードを持続させる適性があることが見て取れます。

ただ、キンカメはどちらかというと母方の特徴を強めに出しやすいので、その息子であるロードカナロアも短距離の産駒が多い傾向がありながらも、アーモンドアイやブレイディヴェーグなどの中距離での活躍馬も出ています。

サートゥルナーリアはどちらかというと、ミスプロ系の中では一瞬の切れ味がウリの競走馬だったので、もしかしたら母方の影響が強めに出ていたのかもしれませんね。
ロードカナロア産駒にしては中距離が得意だったのも、2400mのG1を2勝したシーザリオの特性が反映されたものだったのではないでしょうか。

その他クロスやニックス等

Secretariat≒Sir Gaylordのニアリークロス(どちらも母がSomethingroyal)が、Sadler's Wells≒Nureyevのニアリークロス(どちらもNorthern Dancer直系で牝系にSpecialがいる)など、血統表の奥の方にニアリークロスを複数持っている点が趣深いですね。

また、サンデーサイレンス系はNijinskyやその他Northern Dancer系とニックスがあり、本馬の母父であるスペシャルウィークがその例にあたります。
父方のロードカナロアで日本馬場の適性が高いStorm Catを取り入れているのも良いところですね。

しいて言うなら、Sadler's Wellsをクロスさせると重さが増してしまうので、ここは留意点かもしれません。
全体的には、軽さがある切れ味のありそうな血統なので、アメリカのダート競馬特有のパワーと切れ味を持続させるようなRobertoDanzig(欧州の産駒成績が印象深いですが、アメリカの競走馬・種牡馬です)を取り入れていけるといいですね。
ミスプロのクロスについてはKingmambo系を含めなければ何本でもクロスして良さそうな感じがあります。

良さそうな新馬って、なに?

ここからやっと本題ですね。
サートゥルナーリアは本年の新種牡馬なので、多めに5頭選出しておこうと思います!
今後は3頭くらいだと私の執筆量的に楽読者の皆さんも読みやすいと思うので、今回は期待値的に出血大サービスです!!

メディテラニアン

メディテラニアンの血統表(出典:netkeiba)

正直こいつ紹介すると人気になって私が指名出来なくなるからしたくない。

近親馬はミスエルテショウナンザナドゥミエスペランサ(ちょうど後者2頭が6/1にレースに出てどちらも2着だった)。

選んだ理由は23~24シーズンでミエスペランサを最後の1頭として選出したところ、春クラシックには間に合わなかったものの順調に勝ち上がってくれたことから、ミスエーニョ系の優秀さに気が付いたからです。
実際ミスエルテは重賞も勝っているので、今年はミスエーニョ系を多めに指名しても良いかなと考えています。

サンデーサイレンスの4×3(以下、SSの4×3)はサートゥルナーリアの兄エピファネイア産駒で試されて実績十分。母父ハーツクライのSSの4×3はエフフォーリアも出ているので、Robertoを抜いてキンカメを足したエフフォーリアとも言えます(デアリングタクトの方が近い?)。

Storm Catの4×5は珍しいクロスですね。
コントレイル産駒が出てくるようになると、ディープ系以外のサンデーサイレンスの血を持つ牝馬との間にクロスを形成する競走馬も出てくるとは思いますが、現時点では希少な配合だと思います。
固い馬場を前傾に走り切るパワーとスピードを強調できるので、日本馬場への適性も高いでしょう(ヘネシーが入っているので、ダートに寄る傾向もあるかも?)。

クロスはないですが、Seattle Slewが入っている点もダービー適性がありそうです(参考:https://spaia.jp/column/horserace/26890)。
※この記事に名前は載っていないですが、2024年ダービー馬ダノンデサイルはSeattle Slewのクロス持ちでした。

牝系、クロス、ダービー適性と自信を持っておすすめできる1頭です。
(だから、実はあんまり有名になってほしくない)


ディヒターリーベ

ディヒターリーベの血統図(出典:netkeiba)

ウィンドインハーヘア牝系かつSSの4×3だ!!
これで勝つる!!!

メディテラニアンの牝系をウィンドインハーヘアに変えて、Storm CatクロスをStorm Birdの5×5に変えたような血統になっています。これもいい血統ですね。

こちらの訴求点はLyphardの5×5があるところ。
LyphardとHaloはいくらでもクロスしていいから(第0回参照)。
サンデーサイレンスが近すぎてクロスが作りにくいんですが、ハーツクライもディープインパクトも母方にLyphardを内包しているのでクロスは作りやすいはずなんですよね。
その解決策がディープインパクト系ではないウィンドインハーヘア牝系をハーツクライにつけること。
さすがノーザンファーム、全部自前で揃えているだけある。

母も芝2000mで勝利した経歴を持つので距離を担保。
ミスプロクロスもあって血統的には申し分ない一頭です。
惜しむらくは、6/2時点ではJRA VANだと「JRA未登録」のステータスなことでしょうか……。


トルストイ

トルストイの血統表(出典:netkeiba)

こちらもSSの4×3です。
初年度はとにかくサンデーサイレンスクロスを試してもらえればいいんじゃないかな。

牝系はバレークイーン牝系
最近はウィンドインハーヘアやシーザリオに押されていますが、かつてはヴィクトリーアンライバルドフサイチコンコルドなどG1馬を多数輩出していた牝系。エピファネイアの初年度産駒である重賞馬アリストテレスも同じ牝系なので、サートゥルナーリアにも期待したいところ。

当馬の他のセールスポイントとしては、ハービンジャーを介したデインヒルが入っているところ。ジャスティンミラノレガレイラも(それと血統的には全く同じアーバンシックも)、デインヒルを母方に持っている最近熱い血統。
今後のスタンダードになるかもしれません。

母もオープン馬でオークス4着の経歴。
早熟性とスタミナを補っている良い血統です。

懸念点は、やはりSadler's Wellsの4×5。
重くなりすぎて自慢の切れ味が落ちてしまうのが不安要素。他にも嫌う人が多くて、指名者数があまり伸びなかったら穴馬として指名はアリですね。


ローザフェリーチェの2022(名前未決定)

ローザフェリーチェの血統図(出典:netkeiba)

お次は薔薇一族からの紹介です。百合一族はないんですか。
この一族からは度々活躍馬が出ており、本馬の近親もローズキングダムスタニングローズがおり、3歳時でも活躍できる早熟性も十分にあります。

母ローザフェリーチェはスタニングローズの母ローザブランカの半妹になります。また、ローズキングダムは本馬の祖母ローズバド×キングカメハメハなので、母のローザフェリーチェは薔薇一族×ミスプロ系でローズキングダムを意識した配合だったのではないかと思います。
Unbridledも(Unbridled's Song経由ですが)スワ―ヴリチャードコントレイルで日本の芝馬としては実績十分で、そうでなくともAmerican Pharoah産駒の活躍馬もそこそこいるので、きっとダートでも活躍してくれることでしょう。

もはや定番といってよさそうなSSの4×3はここでも試されています。
当然ながらMr. Prospectorの5×5クロスもあり、軽さを感じさせますね。
地味にローザネイ経由でLyphardを有しているのも私的にポイント高いです。

心配なのは、未だに名前が決まっていないことですかね。
良血であるのに何の情報も出ていないとなると、そもそもデビューが危ぶまれます。
「私と一緒に、穴馬良血指名をやらないか?」と締めたかったのですが、一旦様子見です。
忘れないようにここに記しておくとしましょう。


ショウヘイ

ショウヘイの血統表(出典:netkeiba)

自分が稼いだ金を通訳に横領されそうな名前してる……。
とか言ってたら案の定コメント欄に某容疑者と同名のアカウントが出没していました。リンクは貼りません。

これは完全に趣味で選びました。名前と事件のせいで割り引かれて選びたくない気持ちが勝っています。

馬主は皆大好きな愛馬キセキのオーナーである石川達絵オーナー。生産はノーザンファームで友道康夫厩舎という割り引く要素はほとんどない陣営態勢。

ミュージカルウェイ牝系ミッキークイーンブレイディヴェーグを輩出している優秀な牝系。

母父オルフェーヴルは(完全に趣味で選んでいた節もないことはないですが)数は少ないながらも最近活躍馬が出ている血統で、競争成績を見ればスタミナを補強するだけかと思いきや、しっかりとスピード能力を伝えていることが分かります。

第0回で書いたのですが、私は23~24シーズンのPOGでシエルサンリミットを指名していて、当時の新種牡馬ブリックスアンドモルタルと母父オルフェーヴルの新奇性のある配合に期待していたのですが、残念ながら3歳シーズン後半の2024/06/02時点でも出走がありません。
それじゃその兄弟に期待してみようと思いリストアップしました。そしたら不祥事を想起させる名前でどうしようか悩んでおります。

血統的な面で言うと、SSの4×4というサンデーサイレンスのクロスの中ではかなり新しめの血統をしています。
ステレンボッシュが活躍馬にいる、これも2024年時点では希少な配合です。その他のクロスはMr. Prospectorの5×5があるだけですが、実はつぶさに見ていくとNorthern Dancerの多重クロスがあることが見て取れます。
5列目に1本、6列目に3本、7列目に3本と、実質Northern Dancerの4×5×7程度のクロスがあることになります(Icecapadeのニアリークロスを入れると、もう少し同血割合が増加します)。
やっぱりNorthern Dancerの多重クロスは全世界で予測可能、回避不可能やったんやなって……。
Northern Dancer単体のクロスは特に割引要素には感じないため、そこまで不安要素ではないでしょう。

惜しむらくは何度も出てきている名前と、兄が去年春クラシックに出走せずに終わったという体質面あるいは気性面での不安です。
情報が出てきたら、それが吉報であることを望むとしましょう。


終わりに

使いやすかったのでSSSS.DYNAZENONのタイトルパロディやってるけど、これ毎回やっていくのキツくないか……?

というわけで、『やはり私の指名馬は間違っている feat.ダイナゼノン』な24~25シーズンPOG記事、第一回「サートゥルナーリア」編でした。

”指名者が少ない馬を選んでいく(目安指名者数5000人未満)”を指針としているPOG記事の都合上、どうしても指名者数ランキングとの睨めっこになるのですが、私が注目する馬は当然のようにどこかで取り上げられていたり、皆が注目しているものですから、なかなか該当馬が見つかりません!
これから該当馬から外れる可能性すらあります!

そんな記事なので、度々改稿は行っていこうと思います。
暇な時に見返したら、新しい馬名が追加されていたりだとか、リストアップされていた馬にこんな感じで”取り消し線が引かれていたり”だとか、私の嘆きが追加されていたりだとか、オタッキーなネタが増殖していたりだとかがあると思います。

また、「こんな馬よくないですか?」といったコメントや、取り上げてほしい種牡馬のご要望もお待ちしています。
「ここが分かりにくいんじゃ!」みたいなご指導ご鞭撻ももちろんお待ちしております! 記事を書いたことがない方でも、自分が見てきた記事との比較はできるわけですから、ご気軽に、自信を持ってご指摘ください。
むしろ自信がないのは私かもしれません。

第1回はこんなところですかね。
期待度も大きいと思うので、第2回は「エピファネイア」を取り上げたいと思います。
2024年ダービー馬を輩出した今ノリに乗ってるダノンデサイルには”ノリ”が乗ってる種牡馬で、サートゥルナーリアの兄でもあるので、きっと楽しい記事になるよ、マミ太郎。

——平家ヘケッ


バックナンバー

引用


有料コンテンツ

好きなアニメ発表ドラゴン1作品目

別に見なくていい雑記欄です。第0回ほどエッジが効いていないのでお求めやすくしておきます。返金設定も可です。
アニメ原作のものから選出していこうと思います。

性質上ネタバレを含みますが、目次かタイトルを見てブラウザバックして頂けると私の感想を見る前に視聴できると思います。


ここから先は

2,221字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?