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ラクじゃないけど、たのしい道を[48/100]

「人間万事塞翁が馬」という言葉が好きだ。
今起こっていることが幸せにつながるか、不幸につながるか、それは今わかることではないなら、安易に判断するな、という意味の古語だ。私は「今のピンチも明日のネタ」くらいの気持ちで信じている。

一般的には弱みに見えることもまた100分の1なのだと思う。とくにライターは経験がそのまま財産になる仕事だ。
(略)
酸いも甘いも。いろんな経験をぱくぱく食べて、私は私を育てていく。

ひゃくぶんのいち【さとゆみの今日もコレカラ/016

以前の私は、いつも心地よく、苦労せずに楽しくハッピーに生きたい…と願っていた。

しかし、書くようになってから、「苦しいことも、つらいことも、楽しいことと同じだけ経験したい」と思うようになった。平和ボケしているのかもしれない。耐えられないかもしれない。でも、ライターとして、良いインタビュー、良い原稿を書くために、もっといろんな感情を味わいたい、そう思ったのだ。

経験したことのないことでも、書けるようになるのがライターだ。でも、経験があると、厚みを持たすことができるし、なにより読者ニーズがわかる。

私がライティングも編集も経験がなかったけれど、こっちの世界にこれたのは、「子育てメディア」からキャリアを歩み始めたからだと思っている。
25歳で子どもを産み、子育てに追われる日々。毎日歯を食いしばって頑張る同期たちを横目に、あせっていた。それで、私のあるものを最大限すべて活用しようと思い、子育てメディアに転職した。

「苦労は買ってでもしろ」と言われると「嫌です、ラクしたいです」と言いながら、実は茨道を選ぶことが好きだ。
それは「もっと他の人の心に寄り添いたい、自分が見えていない世界を見たい」そんな欲求からなのかもしれない。同じ「楽」という漢字でも「ラク」と「たのしい」がある。ラクじゃないけど、たのしい道を行きたい。私にとって楽しさとは、人と分かり合うこと、人と支えあうこと。

つくづくライターって素敵な仕事だ。
もっと書けるようになりたい。






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