悪魔とワルツを 2.睡魔におやすみ
永遠少年症候群(http://jushin.chu.jp/)様から素敵なお題をいただきました。ありがとうございます。
「お疲れ様です。」梅本鈴花はバイト先のコーヒーチェーン店から退勤した。今日も暑いな。雨上がりのこともあり湿気が高く、ちょっとしんどい。
何がしんどいの?
思わず欲情してしまうからだ。
忘れられないのだ。昼休憩とは少しずれた時間に来店なされたお客様のこちらを見る大きな二重のキッと見開いた獣のような目。
目をそらしたら食べられてしまいそうなその目が頭から離れない。
これ以上は電車の中では考えられない。
あの女性は何が欲しいのだろう。
スーツ姿だったから仕事関係だろうか。
それとも家庭関係だろうか。
分からない。
私は物心ついたときから恋愛対象は女性だ。
男性は・・・・。
私も欲しいよ。
私を欲しがってくれる人が。
だからこそあの獣のような目が離れない。
私ならあなたの供物になろう。
だから骨の髄まで私を愛して。
ねぇ。愛して。
ねぇ。
6月末の雨は静かに闇に溶けていく。