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2月noteチャレンジ「バレンタインの思い出」

京都在住エッセイスト・ライターの江角悠子さんが主催しているオンラインサロン「‎京都くらしの編集室」で、2024年7月から毎月テーマを決めて、メンバーがそれぞれnoteを更新するという企画「noteチャレンジ」が始まりました。

今月のテーマは
好きな本屋さんや図書館
バレンタインの思い出

今回は「バレンタインの思い出」について書いていきます。

私の「バレンタインの思い出」は、12月のnoteチャレンジ「クリスマスの思い出」にも出てきた、当時勤めていた会社の上司です。クリスマス、バレンタインという二大イベントの思い出が、上司というのもどうなんだろうと思いますが、いまだ更新されないので仕方がない。

当時の職場は、バレンタイン前に女性社員がお金を出し合い、チョコレートを購入し、当日、男性社員一人ひとりの席を回り「いつもありがとうございます」と伝えながらチョコレートを渡す、という慣習がありました。

日頃のお礼を伝えるのいいことだと思います。でも、強制的にお金を徴収してまで続けるというのが問題で。500円~1,000円と大きな金額ではないのですが、「昔から続いているから」という理由で続けられていました。ある年までは。

その年も、一人ひとりにお礼を伝えながら、何種類も入ったチョコレートの詰め合わせを渡しました。

それから数ヶ月後。急に上司が机の中を整理し出しました。ものすごく汚かったので、「やっと掃除したか…」と思いながら見ていましたが、ブラックホールかと思うくらい、大量の紙やゴミが出てくる出てくる!その様子を見ていたら、虫とかも出てこないか不安になりました。でも次の瞬間、虫ではないものの、不安が的中したのです。

「何か出てきてんけど」と上司が机の中から取り出したものは、私たちがバレンタインに渡した、あのチョコレートだったのです。箱は潰れ、汚れもついていました。義理で渡したといえ、そんな状態になった箱を見るのは悲しい…

さらに次の瞬間、もっと悲しい出来事が。箱の中を確認すると、なんと半分以上のチョコレートが残っていたのです。

「うわっ、まだ残ってる!」という上司の言葉にかぶせるように、先輩(女性)が「〇〇さん!それ、私たちがバレンタインにあげたやつじゃないですか!」と言ってくれました。

上司も思い出したのか、明らかに動揺していました。普段は頭の回転が速いのに、その時は「えーと、あー…」とかよくわからない言葉を発していて、今後どんな言動をするのか、見ている方も緊張。緊張もピークに達し、女性社員に冷ややかな目を向けられ、いたたまれなくなったのか、「残りは家で食べるわ!」と言って、いそいそとカバンに押し込んでいました。

でも、帰ってからも絶対に食べない。あんな汚い机の中から出てきたチョコレートなんか、食べられるわけないはずだから。

この事件が原因かはわかりませんが、次の年からバレンタインの慣習はなくなったのです。

慣習がなくなったのは良かったのですが、あのチョコレートも上司の彼女や好きな人からもらったものだったら、きっと大切に食べてもらえたと思うと、胸が痛くなります。元々、義理チョコ文化に反対でしたが、この一件以来、さらに嫌いになりました。

それにしても、チョコレートを渡した時はあんなに喜んでいたのに、もらったことを忘れるかなぁ。

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