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仕事と不妊治療の両立なんてフルマラソンしながら富士登山するようなもんやで
どーも!みまです!
不妊治療と仕事(フルタイム)の両立を目指して頑張っていたのですが挫折した話を勢いでまとめてみました。乱筆も駄文もお許しください。
わたしは両立が出来なかったので、踏ん張って両立しておられる妊活戦士のみなさまには本当に頭が上がりません。尊敬しかない。
まず大前提として、フルタイムの仕事なんてフルマラソンしてる並みにキツいやん?
楽しいしやりがいもあるけど、月曜日〜金曜日まで走り続けている感覚。仕事優先で生きてる部分も否めない。
そこに妊活が加わるともうキッツキツなんよ。
わたしが妊活を始めて早4年。
病院に通い始めて3年半。
体外受精にステップアップして2年になる。
4年前のわたしは仕事というフルマラソンをしていたら、気づいたら富士山の登山口(妊活の入り口)に何の装備もなく立っていた。ドラクエの初期みたいな。
登山ルートの情報もリュックも防寒具も何もない中、富士山を登り始めたようなものだった。外国人観光客が無装備で富士山を登ろうとするあれ状態。
え?いける??いや、まぁ病院に来たんだからなんとかなるやろwwと思いながら登り始めた自分の無知を心底恨む。
そんな感じの軽い気持ちでクリニックの扉を叩いたこともあり妊活初期が1番しんどかった。電波はシャットアウトされているし、富士山の登山ルートの先が見えないように、妊活ルートの先も見えない。果てしなく長い。この道であってる??大丈夫??聞ける人もいない。
それに登頂(体外受精にステップアップ)する覚悟もなかった。このルートを歩いていたら、病院の言う通りにしていたら、ちゃんと授かってそのうち下山できるだろうと軽い気持ちだったのだ。
治療をすすめていくうちに、医師の言う通りにしていてもかならず授かるわけではないことがどんどんわかっていく。どのルートを進むのか、どんな治療を受けるのか全ては自分の判断にゆだねられるのだが、判断するための情報が少ない!!!!!だってここはもう富士山、何度も言うが電波はない。通行人もほとんどいない。みんなどこに隠れてるん?不妊治療って一般的になってきたんやろ?仲間はどこ??孤独すぎるよ!!!!!!!
治療の回数も進み、だんだん標高があがって空気が薄くなっていく感覚。高山病を経験した人にはわかってもらえるだろう、あの胸が苦しくなる感覚。まさにあれに襲われる。
ふと下界を見ると友人達は富士登山口に迷い込むことなんてなく、飄々と仕事というフルマラソンをこなし自然妊娠をして産育休をとっていく。羨ましいやら情けないやら。
なんでなんや。なんでわたしだけこんなところに迷い込んでしまったんやと絶望する。でも下山する勇気もない。もうこのルートに入ってしまったのだから。
そして忘れてはならないのが、わたしは仕事というフルマラソンの最中なのだ。どれだけ高山病がしんどくても、現実が受けいられなくても、足を止めるわけには行かない。
職場の人に富士登山(不妊治療)をしていることは知られてはならない。だってこんなセンシティブなこと、恥ずかしいじゃないか。
そんなこんなで自分の首を絞めながら、フルマラソンも富士登山も続けていくと、空気が薄いことにも慣れていく。人間ってすごい。慣れるまでがしんどかったが慣れてしまえばこっちのもので、なんとか両立できるようになっていた。
たまに下界から妊娠報告や出産報告が聞こえてくるが、生返事で形だけのお祝いをして、わたしは私の道を行くしかない。だって羨ましくて羨ましくてしょうがないんだもの。やめられるならやめたいが、このまま下山するということは妊娠を諦めることと同意である。
フルマラソンをしながらの富士登山も進んでいき、8合目に差し掛かる頃にわたしはやっと山小屋(旧Twitter)に辿り着く。もっと早くに見つけていたかった、、、!!!!仲間という名の愛すべき生きる屍たち。初めていたわり合えた喜びと情報交換できる心強さ。
体感ではフルマラソンしながら富士登山をしている人は3分の 1くらいだろうか。退職した人、休職してる人、パートの人、いろんな立場の人が色んなルートで富士山を登っていた。富士登山だけで十分しんどいのだ。フルマラソンしながら登っているなんて、もうそれはスーパーサイヤ人並みに何かのタガが外れている人である。
何度も自問自答する。もうええんちゃうか、無理してフルマラソンを続けんでも。富士登山に集中した方がええんちゃうか、と。スーパーサイヤ人のエネルギーももう持たへんで、と。
【スーパーサイヤ人になれる条件】
変身に必要とされる条件は、一定以上の戦闘能力と穏やかで純粋な心を兼ね備え、極端な危機感、強い怒り、悲しみに苛まれていること。
でもあきらめ切れない仕事に対するアロンアルファ並みの執着心があった。子どもの頃から憧れた職業に就いている自負、自尊心、これからのキャリア、自立している安心感、友人のように産育休をとること。休職したり退職することはそれらを全部捨てることになると思うと手放すことはできなかった。治療費への不安も大きかった。
山小屋(旧Twitter)にはたくさんの情報があった。先人たちが色んな体験談を記してくれているし、相談できる生きる屍がいる。あのガイド(病院)がいい、あの道具(治療)の注意点なんてことも全部わかる。先人達の知恵をたくさん借りれたから登頂(体外受精)に進む覚悟ができた。
ついに登頂し体外受精をはじめることになったのだが、登頂がゴールではない。ここから終わりの見えないお鉢巡りが始まるのだ。自己注射→採卵→移植を永遠のループで続けていく。
神様から選ばれた人だけが終えることのできる道。ほとんどの人が 1度や2度のお鉢巡りで終えることができると聞いていたけれど、現実はそんなに甘くなかった。
お鉢巡りをしている人は3種類に分けられると思う。
【希望を感じている組】
体外受精1〜2回の人。不安もあるけど希望的に構えていられる。
【焦りを感じている組】
体外受精3〜6回の人。保険適応の終わりがチラつく。恐怖と不安と焦りに襲われる。
【無の境地を開いている組】
体外受精7回目以降の人。自費診療の高額請求にも動じない心を持たないと踏ん張れない。
だれでも6回のお鉢巡りの内に(保険適応内)終わりたい願う。そりゃそうだ。今でも十分高額な治療費なのに、保険適応外になると採卵〜移植まで100万単位でとんでいくのだ。
少し話は逸れるが実際に富士山に登った体験を話すと、山頂ってホンマに空気が薄いし、暗いし寒いし結構地獄なんですよ。登頂するころには体力も気力も精魂尽きていてお鉢巡りをできる人ばかりじゃないんですよ。何を隠そうわたしはできなかった。友人と縮こまって高山病の気持ち悪さに耐え寒さにガタガタ震えていた。ご来光に感動する余裕はなかった。ゲロをおさえるのに必死だったから。富士登山なんて二度としないと心に誓った。
つまり言いたいのは富士山の山頂はとても過酷だということ。そんな環境の中、6回というリミットを意識しつつ大金をかけて死に物狂いで神様に選ばれるギャンブルをしているなんて、もはや笑える。
しかも、ここで忘れてはならないのはわたしはフルマラソンをしている最中だということ!!!!(2回目)
ゆっくりお鉢巡りをすれば良いわけではない。フルマラソンのスピードだって落とすわけにはいかない。だってお給料をもらっているし周りに迷惑をかけられない。やるしかない。空気も薄い富士の山頂で、もう精魂尽きていて一歩踏み出すのも億劫な自分に鞭を打ち、フルマラソンをしながらお鉢巡りをしないといけない。
いや、どういう状況ww
自分でもよくわからないww
もうほんとにボロボロだった。仕事でもプライベートでも疲弊していた。
結論を言うと、移植3回目が陰性に終わった時に何かが切れた。スーパーサイヤ人のエネルギーがなくなったのだ。「もういいや」と思った。あと3回の移植に集中しようと思った。
診療内科に行って診断書をもらって休むことにした。職場の人に申し訳ないし自分が情けなく恥ずかしくなるけれど、仕事への執着心がなくなってスッキリした気持ちもあった。
考え方や価値観は人それぞれだし、正解も間違いもない。わたしはフルマラソンしながらの富士登山がしんどすぎて自分のことも周りのことも見えなくなっていたように思う。ふと歩みを止めて考えてみると「仕事やキャリア」よりも「母になる夢」の方が大切だと思った。
世間や国はなんでも「両立」を押し付けてくるから、それが当たり前なんだと思っていた。両立できない自分が弱いように感じてしまっていた。
できる人はそれでいい。でも、ここまでボロボロになりながら「無理に二兎を追わなくていいよ」と許すことができた時の、肩が軽くなった感覚は忘れられない。自分を認めて許せた瞬間だった。
不妊治療と仕事の両立に挫折したため、もし妊娠出産できたとしても、育児と仕事を両立できるとは思わない。そういう意味では「自信をなくした経験」だった。
でも反対に言うと「自分に無理を押し付けない」という新しい価値観を手に入れることができた。
何かを失くすことは何かを得ることだというのは本当なんだと思う。
こんな駄文になったけれど、仕事と不妊治療の両立で悩んでいる人の励みになる文章だったらすごく嬉しい。
わたしは諦めたが、仕事も不妊治療もと二兎を追う姿勢はかっこいい。ほんとうに応援する。
不妊治療の怖いところは、キャリアを諦めて治療に専念しても望む結果になるかわからないことだ。結果は神のみぞ知る。ひょえ〜
ほんじゃ、またね〜!!