気がついてしまう人
豆と小鳥エピソード162は月イチの解決しないお悩み相談。
今回は群馬にお住まいのMeiちゃんからの「やる気とタイミング」についてのお悩みにバクとナミンがご回答させていただいております。
youtubeとポッドキャストはこちらになります。
その日、私はとてもとても疲れていた。
病み上がり、過労気味、かつ睡眠不足の三重苦。
元々のマイ気質である根暗魂が
薄っぺらいポジティビティを完全に飲み込み、
私は絶好調に不機嫌にイライラしていた。
予定してた仕事が既に過密な状況だったところに、
脱肛してしまうレベルの青天の霹靂が突撃してきたのだ。
そんな中、大きな花束がふたつ、どうしても必要だったので、
時間を見つけて近くのスーパーに出かけて行った。
が!花売り場に店員さんの姿はなし。
モノを申さぬいろんな種類の花が並んでいるのみ。
こんな時はこんなもんで、何もかもうまくいかない。
「なんでですのん!神様。
花束くらい気持ち良く作らせてくれてもいいやないですか」
とココロの中で神にクレームを入れてみた。
ジリジリと店員さんを待った。
こーゆー数分はやたら長く感じて仕方ない。
近くにあるフルーツ売り場の真っ赤なスイカのスライスを
カゴに入れ、さらにジリジリ、店員さんの登場を待った。
その時、ブドウを陳列していた店員さんと目があった。
ネームタグにJazzと書かれた店員さんがニコっと微笑みながら
「どした?花束、作りたいの?」と声をかけてくれた。
「うん、そーなんやけど店員さんがいなくて困ってるねん」と返事すると、
「呼び出したるから、ちょい待ちや」と店内アナウンスで花売り場スタッフを呼び出してくれた。
これでもう大丈夫!ありがとう。
スマイリーにJazzさんにお礼を述べ、
親切にしてもらったおかげで少し気分が上がった。
どんな花束がいいかな?
贈る2名を思い浮かべながらイメージを膨らませた。
なのになのに、あーそれなのに、
花売り場には誰もやってこない。
時間もないので、またもや私の血圧は急上昇し始めた。
「どないなっとるねん?」またもや怒りのマグマがグツグツと地表を流れ出す。関西人の私は待つことへの耐性がめちゃくちゃ低い。
再びJazzさんがやってきて「ホンマにすまんなぁ。俺が花束作れたらいいねんけど、できへんのわかるやろ?もう一回、呼び出すわな」と店内アナウンスで「花売り場、何してるねん、早く来たってくれや。お客さん、ずっと待ってはるで」と少し強い語気で、そう言ってくれた。
しかし、依然、毅然として花束要員はピクリとも姿を見せず、
同様のやり取りを数回、繰り返し。
スーパーのマネージャーまでやってきて、
3人で「花売り場のスタッフ、宇宙人に誘拐されたんとちゃう説」まで出て盛り上がる始末。私はムカつきやすいが怒りが持続しない性格なので、この頃には怒りは鎮火していた。
Jazzさんの優しさがうれしくて、マネージャーに
Jazzさんのようによく気が付いてカスタマー(顧客)を大切にするスタッフはそうそうおらず、御社の宝である。即刻、昇進+昇給してあげるべきやと力説し人事介入を入れていたら、ついに幻の花売り場担当スタッフがファンファーレに乗って登場した。
Jazzさんもマネージャーを「お前、何しててん!アナウンス聞えへんかったんか?」と詰め寄ると、「今日、うちの子のバースデーやから休憩時間やしケーキ買いに行っててん。ごめんごめん」と。
よかった、宇宙人に誘拐されてなかった。
花束を抱えて目的地に向かう道中、世の中にはJazzさんのように気が付きたくなくても気が付いてしまい、ついつい人に優しくしてしまう人種がある一定数いるんやなと思った。Jazzさんのおかげでボロボロになってた私のココロが随分、縫い目が整った。気がついいてしまった事で人生がさらにめんどくさくなったとしても、私もそうありたいなって、そう思ったです。
スイカをがぶっと食べながら
クーラーのよく効いた部屋で涼みながら
暑中見舞いのはがきを選びながら
お聴きくださったらうれしいです。