真夜中のグレープフルーツ
豆とことりエピソード144は「タイムトラベル」をテーマに
バクとナミンで話してます。
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私は37歳の時に妊娠した。マル高です。
その記念すべき夜に彼は事が終了した後に
「何か違う感じがするので、できたと思う」と
気の早い達成感を滲ませながら言い放った。
その頃は海と公園が見える
高層コンドに暮らしてた。
夫婦でバリバリ働いて、帰りは待ち合わせをして、
レストランでゴハンを食べたりしてた。
ストレス発散によく洋服やバッグも買っていた。
夜の海にいろいろな色の街の灯りが揺れ光るのを眺めながら、
事はそんなに思い通りにいかないのが常やないですかと私は思いながらも、ちょっと期待もした。
ちなみに私はずーっとコドモが苦手だった。
友達が次々と出産し、子育てしてるのを見ても、
ピクリとも羨ましくなかった。
自由を奪われ、睡眠不足、スッピンで
ヨダレとウンチまみれになって悪戦苦闘してる彼女たちのどこを羨ましいと思えばいいのかわからなかった。
20代の頃は特に
自分のことにしか興味のないエゴイストだったので、
人様のお世話して日が暮れることなど想像もできなかった。
しかし、女性のカラダは妊娠できる年齢がだいたい決まっていて、
私の歳はその期限がそろそろ近づいていた。
妊娠、出産、子育ては何と言っても人生のビッグイベントだろうし、
もし経験できるならしてみたいかな、
そんな気持ちが湧いてきた。
まだチャンスがある間にちょっとトライしてみて、
できたらできたでいいし、ダメだったらダメでいい。
何がなんでも感は薄かった。
そして、こうゆう事って多分、私やおっちゃんの意志とは関係ないところで
決まってる事柄なんだろうと思ってた。
なるようになる。
できるなら、その方がいいからできるんだろうし、
できないなら、おっちゃんと2人で楽しく生きろと言うことだと考えていた。
翌月の生理が遅れ、同じタイミングで
何がなんでもグレープフルーツが食べたくなった、狂おしく。
根拠のない確信に満ちていたおっちゃんは妊娠検査薬とグレープフルーツを深夜も営業してるスーパーに買いに行ってくれた。
検査結果はくっきり+のマークで、
おっちゃんは「やっぱりな、あの時のオレの直感は見事に当たってたんやな」と妊娠の事実より、我が直感の的中力に酔いしれていた。
私は嬉しいと怖いが混ざった気持ちでいっぱいで、
珍しく口数少なく、グレープフルーツを食べながら、
これから新しい人生のフェーズに突入するんだなとココロの底の部分が武者震いし、足がすくむのを感じながらお腹を優しくさすりながら、
宿った命にビクビクしながら挨拶をした。
今週のピックはナミン担。
朝井リョウさんの
死にがいを求めて生きているの
生きがい、生きる目的を探すあまりに自滅していくのは本末転倒やけど、
でも若い頃はそーなりがち。よくわかる。
ピュアな子ほど、頑張って探しちゃう。
でもさ、結局、どんだけ
自己満足を重ねていけるかで、
あーっ、いい人生やったってフィニッシュがきまるんかもしれません。