職場で苦手だった方の話
かつて、会社で苦手な方がいた。
若くて仕事ができ、ユーモアや愛嬌もあり、人々から一目置かれるような存在。上司たちからも将来を有望視されていて、昇進して私のグループを去った。
そんな彼が、私はとても苦手だった。
まさか、、彼をライバル視していたのか?
いや、ライバルなんて位が違いすぎて口に出すのもおこがましく感じる。
ではなぜだろう、と考えてみた。思い当たる節がいくつかある。
まず、彼と話をしていると、見下されている気しかしなかった。もしかしたら、いや、大いに私の被害妄想なのかもしれないが。
たとえば、
「いやぁ、まめたろうさんって英語うまいっすよねぇ。" Hey guys! " なんて俺なら到底言えないっすわー。」
うん、Hey じゃなくて Hi ね。
「あなた達」って意味で使ったんだけどなぁ。"Are you guys ok with that? " みたいな感じ。支社の方相手なので、だいぶフレンドリーに話しているのは否定しないけどさ。
それに「到底ムリ」ってことは、彼はやりたくない、むしろよくあんなこと言えるよなって思っているように聞こえた。
次に、彼を見ているとなんというか権力志向なのかな?って思うことがあった。例えば、杉並さん(仮名)が担当の業務が滞り、自分のタスクが進まない状態だったとする。すると、
「あぁ、あのスギナミでボール止まってるんすよ。困りますよねー、頼むよスギ!はは。」
といった感じで、軽口?を叩くのだ。ちなみに、私からするとこういうのは軽口ではなく、ただの暴言だ。仕事が遅くて人に迷惑をかけるのはマナーとしてはよくない。でも、私はこの方のモラルもどうかと思っていた。仕事が遅いやつは何を言われても仕方ない、こんなことを俺に言わせるヤツがこそが悪い、とでも言いたげな言動。能力主義の片鱗を窺わせると思うのは、私だけだろうか。
最後に、彼とはどうしても反りが合わないと分かった出来事があった。あれは、彼の異動
の少し前だったと思う。その年は花粉症の症状が思わしくなく、週末には必ず病院に行こうと決めていた。そんな私に、彼は計画的に対処できていないとダメ出しした。
「大丈夫ですか?まだ薬飲んでないとか無防備すぎません?医者行かないと。」
私の中で何かがプツッと切れた。
花粉症、こんなに悪くなるなんて思ってなくてさ。小さい子どもがいるから、まだ好きなように時間を使えないんだわ。私が面倒くさがって病院に行かないとでも思ってる?
…こう書いてみると逆恨みに近いなぁとも思うが、自分を優先できない人の状況も知らないのに、いともたやすく自業自得と切り捨てられたことが悲しかったんだろうな。
若さも能力も人気もある彼は、社会のヒエラルキーからしても、圧倒的に強い。でも、弱い立場の人に心は寄せてくれないんだなってことに、何だかがっかりしたのだ。あまりにも自分勝手な理由だけど。
これ、負け惜しみなんだろうか。
とりあえず、頭の中のモヤモヤを外在化できただけでもグッジョブ。
終わりに、こんな取り留めのない話にお目を通してくださったあなたに、心から感謝いたします。ありがとうございます。