言わずにはいられない

「今日は何が起こるのか」とドキドキ目覚めるような日々が続いていて、『通過せよ』とニーチェがささやくのですが、『知ること』の大切さを発信してきたのですから、最近の出来事への想いを書こうと思います。

『知っていたら、自分の日々は変わっていた』ということが、夫が希望の会を作った理由だし、
国のがん対策推進基本計画の目標も
『がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す。』なのですから、通過はできない…

【患者が未来にかける想い】


スキルス胃がんが難治であることは、患者家族が一番身に染みて知っています。治療法がみつかることを願って、自分の命に間に合わなくても、臨床試験に参加してきた人がたくさんいます。
夫も第Ⅰ相という、動物実験の次の段階で、人に初めて投与することに参加しました。
その覚悟、わかりますか?
そして、死後は、自分の身体を研究に使ってほしいと剖検まで自ら申し出たのです。

自分への一縷の望みも持ちますが、臨床試験に参加することで、病気の解明が進むことを願っているのです。

患者はデータではありません。ひとりひとりに人生があります。
その人生をかけて、自分に届かなくても、この病気をいつか、共に生きることができるものにしてほしいと(無かったことにしてくれとまでは言っていない)、臨床試験に参加しているのです。

結果がネガティブなら、そのことを知りたいです。
期待だけを知らされていたら、いつまでも患者が振り回されてしまいます。

最近、医療、研究に対して、クラウドファンディングで資金を集める動きが複数あります。

そこに集まるのは、苦しんできた人の想いです。信じている人の期待です。

クラウドファンディングを否定しているわけではないのですが、寄せられた想いの重さを伝えたいと思いました。

【ピロリ菌除去について】


ピロリ菌除去に関しては、胃がんのリスクを下げることがわかっているので、検査をし、除去することは大切なことであると考えています。
一方、ピロリ菌を除菌したら100%胃がんにならないわけではないことも正確に知る必要があるとも思います。

この件に関しては、夫の生前、テレビ番組の中で、『胃がんで死ぬのはナンセンス』という表現をされたことがあり、飛行機に乗って、その番組で発言していた医師に会いに行ったことがあります。
ヘリコバクター・ピロリ菌では第一人者の方です。夫の死後も、正確に知りたくて、数回、訪ねています。
直接お会いしてきたからこそ、テレビでの発言は切り取られ、まあ、そんな発言になるように仕向けられたのだともわかりました。

昨日、胃がんで死ぬのはもったいないとオフィシャルブログに書いて、ピロリ菌検査キット販売のサイトへ誘っている人がいることを投稿しましたが、ヘリコバクター・ピロリ菌に関しても、正確な理解に繋げないと、命を左右しかねないことだと思っています。

ちなみに、国のがん対策推進基本計画の中には以下のように記載されています
『ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌が胃がん発症予防に有効であるかどうかについては、まだ明らかではないものの、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が胃がんのリスクであることは、科学的に証明されている』

【夫と私の後悔】


夫は生きていれば来年還暦を迎えました。この年代にはピロリ菌感染者は少なくないと言われています。
子どもの時に感染すると言われているので、50歳を過ぎてみつかったということは、それだけ長い間、ピロリ菌が体内にいたということだと思います。

呼気検査、血液、便、尿からスクリーニングできますが、わかるのは胃カメラでの画像だと言われています。ピロリ菌に感染している人と、感染していない人は、胃の中の状態が違うのです。

「ピロリ菌に感染していた」「胃が委縮している」「家系に胃がんが複数いる」
この条件が揃っていたら、夫のがんの疑いは濃かったのではないかと思っています。
そこで、スキルス胃がんの可能性を考えられたんじゃないかと言われたこともあるのです。
あの時、もし、自分がこのことを知っていたら、
『バリウムも、胃カメラも、ピロリ菌除菌もしたのだから、あなたの精神的なものだ』と言われたことを疑えたかもしれない。
それが夫と私の後悔であり、今の活動に繋がっているのです。

【医療情報を簡単に、偏って発信するのもやめてほしい】


私があえて、そのブログを明記しないのは、誰が発信しているかを明らかにしたことで
内容ではなく、その人へのバッシングをする人が出てくることを避けたいからです。
何が論点なのかがすり替えられたくないからです。

以前も血液クレンジングを推奨している著名な人がいましたが、血液クレンジングもがんに効くと言われ、実際にすがった経験がある私からしたら、医療行為について専門家でもない人がお勧めすることの罪はあると考えています。
もし、「善意」だとしたら、もっと厄介です。

ピロリ菌検査キットの販売サイトには、子宮頸がん、大腸がんの検査キットもあるのです。
これで陰性となって、「がんじゃない」と見過ごしてしまうことの危険。
さらに、そこに『医師』が関わっていることも、私が以前にすがってしまった民間療法と同じ手法なので心配です。

『もったいない死』『胃がんで死ぬのはナンセンス』


言葉は時に刃です。この言葉が真実なら、3つも条件が揃った夫をなぜ、一年も見逃したのかと言いたくなります。
そして、人の死に対して、評価をするような言葉を発する人が、誹謗中傷と断固闘うと言っていることに
私の髪の毛は再び天を衝いてしまうのです。

私も、赤いちゃんちゃんこが見え始めているんですよ…
穏やかに、優しい日々を過ごしたい。

いいなと思ったら応援しよう!

Romi
全国胃がんキャラバン、多くの人にがん情報を届けるグリーンルーペアクションに挑戦しています。藁をもすがるからこそ、根拠のある情報が必要なのだと思い、頑張っています。