医師に命を預けているから
『手術をするか、延命治療かを来週までに決めてくださいと言われ、途方に暮れている』という電話がありました。
何がなんだかわからない状況で来週までに決めてくれ…
【稀な電話ではない】
「それは驚いたことでしょう。検索して希望の会を見つけてくださったんですね」と話すと、電話の向こうで泣き出してしまう。
「一つずつ教えていただいていいですか?」と聞いていくと、私なりに見えることはあるけれど、私は医療者ではない。
とにかく『状況がよくわからないまま、重大なことは決められないです』と、病院に連絡してもらうことに。
「決めなくちゃダメじゃないんですか?」
「病院に連絡していいんですか?」
これが患者の置かれた状況です。
がん診療連携拠点病院なんです。
相談支援室もある。
支援室があっても、繋がらなかったら無いのと同じじゃないのかな…
【この不安が辿り着く先】
この入り口に辿り着かないと、私のように、『具体的に親切に指示して、労りの言葉もかけてくれる』療法にすがりたくなっちゃうのです。
患者は、びっくりした状態だと、何を質問していいかもわからないし、とにかく『いい患者』になろうとして言葉を飲み込むことがあるのです。
医師に命を預けているから。
【必要なのはコミュニケーション研修なのか】
大切なことは、突然、スキルス胃がんを告げられ、
ただでさえ衝撃を受けている状況で、播種だのエビデンスだのと言われても
患者には何も理解できていないということが想像できるかなのだと思います。
研修でknow-howを学んでも、そこに気づきがなければ、台詞のようになってしまう。
患者中心の医療と言われますが、患者中心の医療とは、患者が決めることじゃないとも思うんです。
【タクシーに似ている】
最近、タクシー乗ると、「どの道で行きますか?」と聞かれることが増えてきました。
これ、クレームを避けるためですよね…
押しつけも困るけれど、こちらの要望があり、そこに専門性が加わって
目標達成に近づく…それが専門の力なんじゃないかと思うのです
医療も同じ
エビデンス、医療の専門性に患者の背景、状況、人生感があり、重なりに
よりよい選択があるのだと思うのです。
「来週までに決めてくるように」って、何ら理解が出来ていない状況で
それを要求する気持ちがわからないのです。
でも、これは稀なことじゃない。それが本当に残念です。
そもそも、『延命治療』って何ですか?
夫も告知の際に言われました。
それを言われる気持ちをわかるか?と聞きたい…
今日も、髪の毛が逆立ってしまいました。