理想と現実の乖離

『患者中心の医療』『共同意思決定』『人生会議』『早期からの緩和ケア』大切なことであり、普及・啓発に取り組む流れも感じています。

それでも、私のもとに届く患者、家族の実際の声は目指す方向と乖離した内容が多く、このところ、悲鳴に近い内容が立て続けに届いているのは、感染拡大の医療への影響もあるのだろうかと胸が痛みます。


「次の診察までに、治療をどうするか決めてきてください」
「在宅なのか、病院なのか決めましたか?」


患者家族は、医師から出された『宿題』に、懸命に回答しなくてはと思っています。

医療者の側からも、『なぜ、そう問うたのか』という背景があると思うのですが、それが患者家族には伝わっていないのです。答えなければ見捨てられてしまうと思い詰めていることもあります。


「命に関わる選択をするのがこわい」
「わからない」
「少しでも辛さをとりたい」
「ちょっと休みたい」…

そう主治医に話していいのだということが、患者家族からは見えないのです。


自分の日常に、望んでいなかったことが起こったら、狼狽え、哀しむことは普通のことです。

私自身も『知ることは力になる』という発信をしていますが、狼狽えた状況で、冷静に情報を探し、自ら繋がっていくことは、なかなか厳しいと思います。

『知ろう』より、「いい」患者、家族を目指さず、思っていることを丸ごと話していい場所、人に繋げていくために何が出来るのかを、もっともっと考えなくちゃと思うのでした。


私にも必要だわ…

全国胃がんキャラバン、多くの人にがん情報を届けるグリーンルーペアクションに挑戦しています。藁をもすがるからこそ、根拠のある情報が必要なのだと思い、頑張っています。