扉に手が届いた~全ゲノム解析によってスキルス胃がんの治療標的を同定
【全ゲノム解析によってスキルス胃がんの治療標的を同定。難治性がんに対する新たな治療法開発の可能性】
昨日行われた記者向けの発表後、私は直接、報を受け、17日付でこのことがプレスリリースされ、米国の国際学術誌「Nature Cancer」にオンライン掲載されることを知りました。
スキルス胃がんの発症に特徴的なゲノム異常が複数明らかになり、マウスの実験では、既存の分子標的薬の有効とみられる例もあったことで、今後、治療につながるがん遺伝子パネル検査への実装や分子標的治療薬の開発への展開が期待されます。
夫は、『自分の現実は厳しくても、受け止め、未来の扉が開くために何ができるかを考え行動する。それが僕の希望であり、生きてきた証なんだ』と話し、希望の会を立ち上げました。
スキルス胃がんの治療法につながることを願って、死後の病理解剖(剖検)を申し出て、2016年8月8日に旅立ちました。
あれから5年。8月20日は夫の60回目の誕生日を迎えます。
何よりの報告になります。
正直なところ、昨日、この報を受け、私は全身から力が抜け、様々な感情がこみ上げている状態です。
夫が自身のがんを公表し、希望の会を設立すると言った時、私は公表することで受けるであろう反応をおそれ、やめてほしいと言いました。
その時、夫は「患者からの声が、きっと研究を進める力になる。スキルス胃がんを多くの人に認識してもらいたい」と意思を曲げませんでした。
夫が旅立ち、理事長になってから5年。
無力ばかりを感じ、私が活動を続ける意味を見失いそうになることもありました。
でも、今、確かに思うことは、諦めなくてよかったということです。
夫が願った未来の扉に手がかかったということですよね。
研究に参加した多くの患者さんの想いが本日に繋がったことを胸に刻みたいと思います。
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