METAL HAMMER No.349(2021年5月27日発売)|BABYMETAL10周年記念特集記事 邦訳
※注釈1:METAL HAMMERの実際のページの順番通りに翻訳、表記しています。
※注釈2:文中に登場する「Yuka Okubo」は大窪由香さん。(その後登場する「大窪さん」は全て同一人物) 別冊カドカワのBABYMETAL特集号、さくら学院の10周年記念ブックの編集をされているエディター、ライターの方です。
※注釈3:最後の武道館公演のレビューを書いている「Ryosuke Arakane」は荒金良介さん (いつもヘドバンほか様々なメディアでBABYMETALのアルバムレビュー、コンサートレビューなどを書かれている方)
注釈4:各種情報はMETAL HAMMER本誌に書かれているものをそのまま翻訳しています。
P3
●EDITOR'S LETTER - エディターズ・レター
○MERLIN ALDERSLADE(エディター):
「そう、 10年です。」
でも、心配しないでください。「さっぱり分からない…」「全くついていけない…」と絶望する必要はありません。
BABYMETALがチョコレートをゲットすることについてのビデオでイギリスに初めて侵攻してきたのは2014年だったので、私たち皆んなが彼らのことを初めて耳にしてからまだ10年も経っていません。
でも、BABYMETALが結成10周年を記念して、東京の伝説的な会場である日本武道館で大規模なライヴを行なうと聞いて、私たちもこの彼らをお祝いする機会を逃すわけにはいかないと思ったのです。
結局のところ、最近の記憶の中で、彼らのようにメタル界に影響を与えたアーティストがいたでしょうか?
注目度だけでなく、彼らが我々のコミュニティに引き起こした実存的危機においても。
今でも、BABYMETALに関する投稿がSNSにアップされると、熱狂的な崇拝から、(滑稽なほどの)純粋な怒りまで、最も極端な反応が返ってきます。もちろん、彼らはすべてを受け入れてきました。
だからこそ、彼らが十分な休息を取る準備をしている間に、メタル界で最もユニークな力を持つバンドの、驚くべき10年間を振り返ってみようと思いました。
ケーキ(というかチョコレートの方が良いかな?)を切り分けて、一緒に楽しみましょう。
○STEPHEN HILL(ライター):
(※訳注:ライターの紹介。この本人が下の文章を書いているのではない)
これまでで最大のカバー特集となる今回は、スティーブにBABYMETALの10年分の伝承やまとまった文章を整理してもらおうと思いました。噂によると、彼はBABYMETALのファンクラブに入会したとか...たぶん。
○荒金良介(ライター):
(※訳注:ライターの紹介。この本人が文章を書いているのではない)
日本を拠点に活動し、BABYMETALの10周年記念武道館公演をはじめとした、BABYMETALの代表的なライブに立ち会ってきた良介さん。今回は、そんな良介さんに現地での様子をレポートしてもらいました。
(※訳注:誌面ではもう1人ライターの紹介があるが、BABYMETALと関係ないので割愛)
P4
■CONTENTS-目次:
特集
36(ページ~)
BABYMETALが10年前に結成されたとき、彼らは世界を混乱させました。
そして彼らは「現象」になっていきました。
ぎゅうぎゅうパンパンに詰め込んだ充実の20ページで、これまでの彼らの桁外れの信じられないようなトーリーを振り返ります。
P36
■10 YEARS OF BABYMETAL - BABYMETALの10年
先月、BABYMETALは東京の伝説的な会場の日本武道館で10回に及ぶ壮大なショーを行ないました。
このライブはBABYMETALの10周年を記念して行われたものです。
私達もBABYMETALの10周年を祝して、最初はJ-POP界の端くれだった彼らが、音楽業界で空前の勢いで成長していった、BABYMETALのジェットコースターのようなキャリアを究極の形で紹介します。
彼女たちが短い休息を取っている今、次に何が起こるのかはキツネ様だけが知っていますが、ひとつ確かなことは、これまでがワイルドな旅であったということです。これが現代のメタル現象の全貌です。
P37
■I: IN THE BEGINNING - はじまり
- BABYMETALが「ギミチョコ!!」で世界を驚かせる4年前、伝説の種が蒔かれていた -
「メタルはどんどん古くなっていくばかりでした。誰もやったことがないような、新しいことをやりたかったんです。」と、BABYMETALのマスターであるKey Kobayashi(小林 啓=KOBAMETAL)は2014年に語っています。「アイデアは天から降ってきました。」
天使に触発されたかどうかは別にして、彼はメタルに革命を起こすという目標を達成したと言っていいでしょう。 結成から10年、BABYMETALのハイパーなJ-POP、ブルータルなリフ、ヘビーメタルの爆音のミックスは、アリーナを完売させ、主要なフェスティバルを圧倒し、メインストリームを征服し、ジャンルの伝説的な人物たちと親交を深め、METAL HAMMERのFacebookページの一部のメンバーには幼児のような癇癪を起こさせました。
(BABYMETALがここまで躍進するとは)誰も予想していませんでした。では、なぜそうなったのか?
私達はこう言われます。「Only THE FOX GOD knows」。
さてキツネさん、私たちは十分に待ちました。- そろそろ秘密を明かすときかもしれません。
これは、BABYMETALがいかにしてヘヴィメタル界の王族になったかという物語です。
時は2010年。日本の芸能事務所、株式会社アミューズは、学校をテーマにしたアイドルグループ「さくら学院」を結成しました。メンバーは10歳から15歳までの10〜12人で、校長先生と先生もいます。メンバーは「生徒」と呼ばれ、「クッキング部」や「新聞部」、「帰宅部」などの課外活動を行うサブユニットに分かれています。これらは、そうです、メタルではありません。
その中のひとつ、「重音部」は、KOBAMETALこと小林 啓さんが考案・プロデュースしました。メンバーは(中元)すず香、(水野)由結、(菊地)最愛の3人で、彼らはSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALとして知られるようになります。
彼らは、アンスラックスのようなバンドのように結成されたのではない、と言って差し支えないでしょう。
「J-POPとメタルを融合させることで、日本のメタルや日本の音楽を表現できるのではないかと考えたんです。」とKOBAMETALは語っています。
やがて、重音部はさくら学院のコンサートで歌を披露するようになりました。
ライターの大窪由香さん(訳注:別冊カドカワのBABYMETAL特集号、さくら学院の10周年記念ブックの編集をされているエディター、ライターの方/
https://twitter.com/okbsmile/status/1316027786125996033?s=20 )
は、雑誌『CDデータ』の編集者で、当時アイドルシーンを取材していました。
「私はメンバーの女の子たちと、彼女たちがBABYMETALになる前から会っていて、そのころから親密に取材していました。」と彼女は語りました。
「2010年にさくら学院で見たときに、彼女たちはBABYMETALとして最後に登場したんです。正直に言うと、本当にかわいくて、そして日本の一般的なアイドルグループとは全然違うな、とは思ってはいましたが、その時はこんなにビッグな存在になるなんて全く予想もしていませんでした。」。
さくら学院では、学校と同じように、卒業と同時にメンバーはバンド(部活動)からも脱退するのがルールです。
アイドル・アクトのメンバーとしての最後のショーの1つで、BABYMETALは現在私たちが知っている姿を世界に披露しました。
「その時は彼らはバッキングトラックを使ってBABYMETALのライブをやっていたんです。」と大窪さんは振り返ります。
「でも、2012年に渋谷O-EASTで観たときに、アンコールで神バンドが出てきたんです。それを見て私たちは、『ああ、彼らはこのスタイルで進んでいくんだな』と実感しました。彼らの本気度が伝わってきました。」
その頃、BABYMETALはいくつかの曲をリリースしていました。「ド・キ・ド・キ☆モーニング」はさくら学院のデビューアルバム『さくら学院 2010年度 〜message〜』に収録され、デスポップバンド「Kiba Of Akiba」とのスプリットシングルを発表し、初のソロシングル「ヘドバンギャー!!」をリリースしました。これにより、同年夏に千葉と大阪で開催された日本の有名な音楽フェス「サマーソニック・フェスティバル」に、グリーン・デイ、リアーナ、ニュー・オーダーと並んで出演することになりました。サマソニ史上最年少の出演者でしたが、その時はそこまで期待されて出演したわけではありませんでした。
「最初は、みんな日本のかわいいガールズバンドとして認識していました。」と大窪さんは言います。
「彼らはいつもそのジャンルにカテゴライズされていましたが、そこから抜け出したかったんです。でも当時はそれができなかった、なぜなら誰も彼女たちの事を本物のバンドだとは認めていなかったからです。彼女たちが状況を変えようとしていた時、『当時は自分たちが認められていないと感じていた』と彼女たちは私に言っていました。」
年が進むにつれて、BABYMETALは、ティーン向けの雑誌から日本のロック・プレスへと移行し始めました。
2013年にはサマーソニックに出演し、さいたまスーパーアリーナで開催されたラウドパークフェスティバルにも参加し、メタリカの映画「メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー」のスペシャルイベントで上映されるプロモーションビデオを公開しました。
2014年2月26日にリリースされたデビュー・アルバムは、日本のビルボード・チャートで2位を記録し、3月には東京の伝説的な会場・日本武道館で2夜にわたって演奏することが決まり、合計で約28,000人のファンを動員しました。
「この時が、彼女たちは本当にビッグになると確信した瞬間でした。」と大窪さんは言います。「武道館公演の初日に、YUIMETALはステージから落下してしまったのです。でも彼女は起き上がって、その後も(ステージに戻って)パフォーマンスを続けました。他の2人はYUIMETALをしっかりとサポートしていて、何かが変わったことを実感しましたし、私は彼女たちの中に強い決意を見ることができました。」
BABYMETALは変化を見せつつありましたが、日本のメタル業界では、彼らはいまだに疑いの目で見られていました。
しかし、5,845マイル離れた、ヘヴィメタルを発明した国では、何かが蠢(うごめ)いていたのです。
インターネットで注目を集めるものといえば、猫の動画でしょう。インターネット上で注目を集める別のものがあるとすれば、それは奇妙で混乱したユニークなものをアップロードすることでしょう。2014年の初め、BABYMETALはメタル界に真の「WTF?」(What the FUCK?)の瞬間を届けました。 - それが「ギミチョコ!!」のMVでした。
その曲を発表したことは、(BABYMETALが世界に衝撃を与えた)瞬間でした。
突然、誰もが「これ見たことある?」と聞かれるようになりました。
「私は、『これはクレイジーだ!』と思いました。」と語るのは、BABYMETALの英国での初公演のブッキングを担当したプロモーター、キリマンジャロのアラン・デイ氏。
「ビデオを見て、他の人たちと同じように『これは何なんだ?』と思いました。クレイジーで斬新な曲のように思えましたが、今までに見たことのない曲でした。」とベテランの音楽ジャーナリスト、ポール・ブラニガンは語っています。
テッセラクトのギタリストであるジェイムス・モンティスは、BABYMETALが2014年にイギリスでデビューする直前にソニスフィアのメインステージで演奏することになりますが、その時のことを思い出します。「誰かがビデオを送ってくれて、僕は思ったんだ...」
(私達に当てさせてみて、「何だこりゃ?」でしょう?w)
「...これはかなりバカげてると思ったんだよ、本当に。彼らが何をしているのかわからなかったけど、でも妙に惹かれてしまったんだ」。
まあ、3つのうち2つは悪くないですね。しかし、重要なのは、ここイギリスではBABYMETALが我々の注目を集め始めていたということです。
P38-40
■II: UK TAKEOVER - イギリス征服
- 「ギミチョコ!!」の成功を受けて、BABYMETALはついにイギリスに上陸。そして、今後二度と同じような事は起こらないであろう、そんな事が起こった。 -
「ギミチョコ!!」がバズったことで、イギリスは彼女たちから逃れられませんでした。
2014年にMETAL HAMMERが初めて彼女たちに話を聞いたとき、SU-METALは「オンラインでイギリスから本当にたくさんのコメントを頂いて、こんなに素晴らしい反応を得られるとは思ってもいませんでした。」と話していました。「受け入れられているような気持ちにさせてくれます。夢のように感じます。」
「自分たちが日本以外の世界の他の地域で受け入れられているという噂が流れ始めたとき、それは日本で本当に変わったときでした」と大窪さんは回想します。 「(ベビメタチームの?)人々は、英国のファンが彼らにどのように反応しているかを本当に知りたがっていました。」
このようなBABYMETALへの関心の高さから、彼らを英国に呼ぶための競争が始まりました。
2014年7月5日、BABYMETALはソニスフィアフェスティバルでイギリスでの初ステージ立ちました。
(Iron Maiden、Deftones、Anthrax、Ghost、そしてオープニングのTesseractたちと同じ日に出演。)
「すぐに彼らのマネージャーが誰なのかを突き止めなければなりませんでした。」とプロモーターのアラン・デイは語ります。 「なんとか彼らを捕まえて、ソニスフィアと、フェスティバルの直後にKentish Town Forum(ロンドン)をブッキングしました。
(ソニスフィアでは)最初はテントで演奏することにしていたのですが、そんなことをしたら危険なほど満員になってしまうということがすぐに分かりました。それで、私たちは何とかメインステージの枠を確保したのです。彼らのステージは、午後1時からのセットでは、これまでに見た中で最大の数の観客が集まっていました。」
TesseractのJames Monteithは次のように語っています。
「自分たちの演奏が終わって機材を片付けていると、彼らが準備をしているのが見えたよ。彼らはとても目立ってた。若い女の子たちがコスチュームを着て、毛むくじゃらのメタルヘッズたちと一緒にいた。そして、残念ながら亡くなってしまった彼らのギタリスト(藤岡幹大)が、コスチュームにフェイスペイントをしてウォーミングアップしているのを見た。彼は素晴らしいプレーヤーだった。俺は思ったね『まあ...毎日見られるものではない。』」
BABYMETALがステージに登場する頃には、会場には改宗した熱狂的なファン、好奇心旺盛な人達、冷めた猜疑心を持つ人々が混在していました。「ほとんどの人が、あごを床につけていました」とアランは笑います。「彼らは自分が見ているものが信じられなかったんですよ。」
「俺は家族を探しに前列に行き、彼らのショーを見たよ。息子はとても気に入ったようで、その日は自分の父親がプレイしていたことすら忘れていたみたいだったw」と、絶対に、絶対に苦しくない(Tesseractの)Jamesのため息が聞こえてきます。
彼女たちのパフォーマンスは週末の最大の話題であり、BABYMETALの熱狂に包まれたのはファンだけではありませんでした。カーク・ハメット、チノ・モレノ、ケリー・キングらと一緒に写っている写真を見ると、このジャンルの人たちがいかにBABYMETALに魅了されているかがよくわかります。
「ソニスフィアは素晴らしい経験でした。」とSU-METALは2日後、Kentish Town Forumで私たちに語りました。「あんなに大勢の観衆の前で演奏したのは初めてでした。」
この日の観客の一人、earMUSICのMDであるジョナサン・グリーンは、自分が見たものに感銘を受けていました。「周りを見渡して、ここで何かが起こっていると思いました」と振り返る。「観客の反応はとても素晴らしいものでした。まるで一瞬の出来事のようでした。」
earMUSICは、UKとEUROPEでバンドと契約し、2015年6月1日に『BABYMETAL』をリリースしました。「私たちは、この作品が世界のメタルの進歩の中で重要な瞬間になると信じていました」 とジョナサンは振り返ります。
ソニスフィアとフォーラムが、この新しいタイプのアイドル・メタル・バンドに対する人々の好奇心から生まれた成功例であるとすれば、次に訪れたのは、彼らが決して一瞬の出来事ではないことを証明するものでした。2014年11月8日、彼らは5,000人のキャパシティのブリクストン・アカデミーをソールドアウトにしました。
「通常、いろいろな国のバンドをブッキングすると、その国の人たちが集まってくるものです」とアラン・デイは言います。「私がフォーラムに行ったとき、イギリスのメタルヘッズばかりだったんですよ。これは絶対に『来る』と思って、彼らをブリクストンに呼ぼうと考えました。彼らを見ることができるのは、ブリクストンだけという限定的なものにしました。そして、"ギミチョコ!!"をクリックしたり、"メギツネ"を聴いたりする人が増えれば増えるほど、需要はどんどん高まっていきました。」
しかし、誰もが納得したわけではありませんでした。頑固なメタルヘッズの中には、この10代の女の子たち、つまり作られたポップスターたちが、メタルをギミックとして使っていると考えて、青筋を立てる人もいました。彼女たちはまともな服を着ていない!微笑んでいた! 踊っている!...YUIMETAL(忘れてはならないが、当時16歳)はCarcassのReek Of Putrefactionを聞いたことがないだけでなく、彼らがグラインドコア・バンドとして始まったことさえ知らなかった。WTF?しかし、このような信仰の擁護者と思われる人々からの怒りの声は、彼女たちと増え続けるファンとの絆を強めることになりました。
METAL HAMMERのライター、ポール・ブラニガンは、「彼らが賢明だったのは、自分たちを根っからのメタル・ファンとは見なさないことでした」と肩をすくめます。「彼女たちは、このジャンルへの最初の一歩を踏み出した若い女の子だったのだから」。
「もっと多くの人にメタルを楽しんでもらいたい」とYUIMETALは2015年に語っています。「実を言うと、BABYMETALに加入したときは、メタルという音楽を全く知らなかったんです。でも、今はメタルの良さがわかって、多くの事を学びました。」
メタルが全く新しいファン層を獲得する可能性があることを喜ぶ声がある一方で、メタル・コミュニティの著名なメンバーの中には、BABYMETALの跳ね橋を引き上げ始めた人もいました。
「フェスティバルのブッキング担当者である私個人としては、彼らがダウンロードの精神に適しているとは思えないという判断を下しました。 」と、アンディ・コッピングは2015年にポッドキャスト「That's Not Metal」で語っています。
しかし、その年の後半にフェスティバルが開催されると、状況は変わり始めました。METAL HAMMERは週末ずっとBABYMETALと一緒にいましたが、BABYMETALの新曲"Road Of Resistance"ですでにフィーチャリングしていたパワーメタルのレジェンド、Dragonforceが、金曜日の午後のセットでBABYMETALをステージに招き、"ギミチョコ!!"を即興で演奏することにしたのです。
「どういうわけか、彼女たちが現場にいるという噂が広まってしまったんだ」とジョナサンは振り返ります。「彼女たちがDragonforceと一緒に出演するという噂が広まると、テントは満員になったよ。外では、テントの
中に入るために争っている人もいたんだよ。」
「彼らが "Golden Gods "のためにイギリスに来ることは知っていたので、僕らは共演したら楽しいんじゃないかなと思っただけだよ」とハーマン・リは笑います。「彼らがステージに出てきたときの(観客の)反応は忘れられないよ。マニアックだったからね!」
その3日後、ロンドンで開催されたMETAL HAMMERのGolden God Awardsで、BABYMETALはBreakthrough賞を受賞し、短いセットを演奏しました。その夜、バックステージからフロントまで、ベテランのメタル・ミュージシャンが皆、彼らのパフォーマンスを見に来ていました。
"ギミチョコ!!"を聴いてから1年半経っても、人々が最初に考えた15分の名声よりもはるかに長い間、イギリスはBABYMETALに魅了され続けていました。しかし、その一方で 彼らは単なる一発屋ではないかという疑念も高まっていました。BABYMETALはどこまで大きくなれるのか?
P42
■HERMAN LI - ハーマン・リ インタビュー:生粋のBABYMETALファンボーイ
- Dragonforceの天才的なシュレッダーが、彼がどのようにしてBABYMETAL の最大の支持者の 1 人になり、彼らと一緒に曲を書いたのかを語ります。
(Q.)初めてBABYMETALを聴いたのはいつ?
HERMAN LI:アルバム『The Power Within』をレコーディングしていたから、2011年の話のことだけど、BABYMETALの話題を耳にしたんだ。インターネットでミュージックビデオを見ることにしたんだけど、ロックやメタルとJ-POPのものがミックスされていて、クールだと思ったよ。自分は日本の文化に慣れ親しんでいるから、全然ショッキングではなかったけどね。多くの人が、「Oh may god! 彼らは何をやってるんだ!?」みたいな感じだったろうけど、でも自分は、この組み合わせはクールだし、とてもオリジナルだと思ったね。そして、曲はとてもキャッチーで、とてもメロディックなので、夢中になったよ。
(Q.)なぜ彼らに対する反発があったのだと思う?
HERMAN LI:人と違うことをすれば、何でも嫌われてしまうものさ。それが良いか悪いかは関係なく、インターネットは愛と憎しみのためにあるものさ!正直に言うと、ロックやメタルのファンの多くはとても頑固で、違うことをされると嫌がる。彼らはやり方が違うことを好まないのさ。ただそれを受け入れて、自分のやるべきことをやるしかないんだよ。
(Q.)Road of ResistanceでBABYMETALとコラボレーションすることになった経緯を教えてくれる?
HERMAN LI:まだBABYMETALのファーストアルバムが発売される前に、彼らから連絡があったんだよ!メールのやり取りの中で、彼らは自分たちが何者かを説明しようとしていたけどが、俺は「君たちのことは正確に知っているよ!」って感じだったよw。サム(トットマン、Dragonforceのギタリスト)と話をして、二人とも絶対にやりたいと思ったんだ。僕らは他のバンドからよくゲスト出演の依頼を受けるけど、新鮮でオリジナルなものでなければ断ってるよ。でも、今回は即答でイエスだったね。
(Q.)この曲の制作過程は、あなたたちにとってどのようなものだった?
HERMAN LI:KOBAMETALと話をしたら、「Dragonforceで演奏しているのとまったく同じように演奏してほしい」と言われたんだ。「曲はできているから、やってみてくれ!」と言われたよ。当時はまだ歌もなく、ただのデモだったので、自分たちのためだけでなく、彼らのことや、彼らがどこから来たのかを考えながら演奏したよ。
(Q.)バンドに初めて会ったときはどんな感じだった?
HERMAN LI:僕らが日本でライブをした時に、彼らが見に来てくれたんだ。SU-METALも来ていたし、スタッフも全員揃っていた。面白いことに、曲について少し話したんだけど、彼らはもっと過激なギターソロを望んでいたんだ!OK、それならクレイジーにやろう!と。ハハハ! 彼らはとても礼儀正しく、尊敬の念を持っていて、本当のDragonforceファンだったんだ!
(Q.)「ギミチョコ!!」での共演についてくれる?あの2015 年のダウンロードの時の…
HERMAN LI: 僕らはちょっと変わったことが好きだし、BABYMETALがダウンロードに出演できないという話もあったので、彼らを起用しようと思ったんだ。Golden Godsのリハーサルを行う前にショーを行い、初めて一緒に演奏したのが "ギミチョコ!!"のパフォーマンスだったんだ。緊張していたのか、パソコンのイントロを3回も押してしまったんだ! 何度も止まってしまうので、パニックになってしまって、ふとSUを見たら僕を「何してるの?」って感じで見てたんだ。
俺が彼女にパニックになっているような表情をして、二人で大爆笑したんだよw
僕らはリハーサルをしていなくて、彼女は俺が「うわあぁぁ なんでぇぇ?」みたいになっているのを見てたんだよw
彼女たちは本当に楽しくて、面白い子達なんだよ。
(Q.)そして、その数日後のGolden Godsでの「ROAD OF RESISTANCE」の演奏は、これまでに一度しか演奏していない曲だよね?
HERMAN LI: その通り。僕らがこの曲を演奏したのは一度だけだね。その場にいた人にとっては、ちょっとした歴史になるんじゃないかな!? ファンやMETAL HAMMERがBABYMETALをこのように受け入れるのを見て、とても素晴らしいと思ったよ。あの時は一緒にリハーサルをして、とても思い出深いものになったよ。
P44-45
■KITSUNES UP! - キツネアップ!
今月初め、私たちはBABYMETALの大ファンの皆さんに、写真やストーリーを送ってほしいとメッセージを送りました。
皆さん期待に応えてくれました。
●@fzj80_METAL
これらは私がコレクションとして所有しているBABYMETALの公式Tシャツ全302種類です。
あと1種類のTシャツを手に入れれば、"フルコンプリート"となります。
(つまり、1種類以外の全ての公式Tシャツを私はコレクションしています。)
私が掲げている旗は、私がBABYMETALのLIVEに参戦する時に必ず持参しているフラッグです。
●JO FLEISCHER
2016年5月、BABYMETALはCarolina Rebellionフェスティバルに出演しました。私の息子、ハーレー(写真でひざまづいている)は大ファンで、BABYMETALが演奏する小さなステージに、日本から来たファンのグループが何時間も前から陣取っていたことに、少し不満を感じていました。すべては順調に進み、BABYMETALは大きな反響を得た(David Draimanもサウンドブースから見ていた)。その後、日本のファンが写真を撮っていたので、私はハーレーも一緒に撮ってもらえないかと頼んだ。彼らはとても親切でした。
●@BABYMETAL_JPG
私は4年以上収集しているので、すべてをカメラに収めることはできませんが、ここではBabymetal化した私の部屋の最良の部分を紹介します! 私はBABYMETALを生きているし、呼吸しているので、彼らのために複数の神社を持つことは、私が彼らのためにできる最低限のことです...
●@CAMMETAL98
ファンになって約6年、彼らは私の人生を変えてくれました! METAL HAMMERさん、いつもBABYMETALを応援してくれてありがとうございます。
(※補足情報1:上記のBABYMETALファン特集は、METAL HAMMER No.349の本誌以外で、METAL HAMMERのサイト内で別に特集が組まれており、さらに詳しい内容になっています。)
↓↓
Inside the Metal Galaxy: why Babymetal have the most devoted fans on the planet|METAL HAMMER
(By Rich Hobson ( Metal Hammer ) published June 10, 2021)
(※補足情報2:尚、こちらのWEB特集記事はBABYMETALIZEさんで邦訳されておられます。)
↓↓
Metal Galaxyの内部 – どうしてBABYMETALには地球上で最も献身的なファンがついてるのか
P46-48
■III: GLOBAL CONQUEST - 世界征服
アメリカに進出し、メタルレジェンドたちとステージを共にすることで、BABYMETALの熱狂は巨大化していった。
ウェンブリー・アリーナは、地球上で最も権威のある会場の一つです。ここでヘッドラインを務める機会を得られるメタル・バンドはそう多くはないし、仮にヘッドラインを務めることができたとしても、それはたいてい何年もかけて努力した後のことです。
アイアンメイデンは1988年の「Seventh Tour Of A Seventh Tour」で初めてヘッドライナーを務め、その2年後にはメタリカが「And Justice For All」のツアー中に同じようにヘッドライナーを務めました。メタル界の大物バンドは10年近くにわたってハードワークを続けてきたのです。BABYMETALは、3回目のイギリスでのヘッドライン・ショーでウェンブリー・アリーナ完売しました。
ウェンブリーでの凱旋公演の前日、BABYMETALファンなら誰もがカレンダーに記録している日があります。4月1日、別名フォックス・デー。2016年以来、この日はバンドのある種の記念日を意味しています。当時、BABYMETALはセカンドアルバム "Metal Resistance "をリリースしました。The Observer誌やメタル・プレスから熱烈なレビューを受け、我らがドム・ローソンは8/10のレビューで「滑稽だけど、見事なまでの楽しさ」と評し、バンドはキャリアを決定づける瞬間に向けて完璧に準備されたのです。
「まだ現実感がないんです。」と、2016年初頭にバンドを取材した際にSU-METALは話してくれました。「ウェンブリー・アリーナがとても伝説的な会場であることは知っているので、そこで私たちが演奏することを考えると、少し不安になります。」
MOAMETALは思いました。「誰も来てくれないのではないかと思っています。」
しかし、そんな心配は無用でした。デビュー・アルバムの成功、Sonisphere、Download、2015年のReading and LeedsフェスティバルでMetallicaと同じ日に演奏したことによる知名度、 - そしてちょっとしたスターダスト - が、彼らに完璧な追い風をもたらしました。
「昔のケビン・コスナーのようなものです。」とearMUSICのジョナサン・グリーンは微笑みます。「作れば来る。私たちはこのバンドを本当に信じていましたし、その信念は報われました」。
プロモーターのAlan Day氏は、2016年4月2日のことを思い出すと、いまだに理解に苦しんでいます。
「会場に行ってみると、コンサートグッズの販売スタッフの一人が、Tシャツが足りないからと新しいTシャツを刷りに行っているのを見たんです。」と、信じられないような表情で振り返ります。「今までに見たことがない光景でした。開場前にグッズが足りなくなって、新しいTシャツを刷りに行かなければならないなんて...。あの会場で一晩に販売されたグッズの記録を更新しました。最後に販売ブースを見て回りましたが、何もありませんでした...どこにも商品がなかったのです。そして、それは日本のアーティストがこの国で行った最大のヘッドラインショーでした。彼らの3回目のヘッドラインショー...ほかに誰がそんなことができると思いますか!?」
賞賛の声はイギリスだけでなく、アメリカでもバンドに注目が集まり始めていました。ウェンブリーから3日後、バンドは権威あるトーク番組「The Late Show With Stephen Colbert」でアメリカのテレビデビューを果たしました。「何を見ようとしているのかよくわからないが、かなり楽しみだ」と司会者が笑うと、バンドは "ギミチョコ!!" を演奏し、アメリカ中西部の人々を困惑させました。
「BABYMETALのノイズは悪魔的だ!これはヒドイ!」1人の特に怒った視聴者がツイートしました。- この意見は、アメーバ脳のような宗教的狂信者たちも同様で、3人の少女がどれだけチョコレートを楽しんでいるかを歌った曲に、メタルのエリート層と同じように怒りを感じているようでした。
しかし、そんなことはどうでもいい。彼らを非難する人たちがおもちゃを投げつけても、ほとんどのメタル・ファンにとっては、ロブ・ハルフォードという人物がBABYMETALを支持するということの方がはるかに興味深かったのです。だから、BABYMETALが2016年のAlternative Press Music Awardsに招待されたとき、ジューダス・プリーストの名曲「Breaking The Low」と「Painkiller」を演奏するためにメタル・ゴッドを起用したことは、信じられないような大成功でした。
「俺はいつだって、大きな牽引力になると思う何かを支持するんだよ」とロブは言います。
「だから、ああいう依頼を受けたことを嬉しく思ったよ。慌ただしい一日で、あっという間に終わってしまったけど、とても楽しかったよ」。
世界がすぐに追いついてくる中、日本では事態がさらに進んでいました。メタル・レジスタンス・ツアーは9月19日に終了し、BABYMETALは55,000人収容の巨大な東京ドームをブッキングしました。翌日には2回目の公演が追加されるほどの盛況ぶりでした。
「日本ではメタルが盛んだというイメージがありますが、それはちょっとした神話なんだ。」ポール・ブラニガンは言います。「メイデンやメタリカは別として、大物バンドが東京ドームで演奏できることはありません。僕は向こうでAvenged Sevenfoldを見たことがありますが、彼らは日本のアリーナではプレイできません。だから、BABYMETALのようなバンドが東京ドームで2晩やるというのは、前代未聞なんです」。
「彼らは私を東京ドームに招待してくれました」とアラン・デイは回想します。 「ここは世界最大の屋内音楽会場だと思います。ここでは、ウェンブリー スタジアムで U2 を見に行くのと同じです。文字通り、これ以上の大きさはありません」
これはバンドにとって画期的なことであり、数年前にはほとんど考えられなかった夢でもありました。
「日本では武道館のような大きな会場で演奏してきました」とSU-METALは公演の準備中にKerrang!に語りました。 「でも、東京ドームはずっと夢見ていた場所でした。日本でも、誰もがここでパフォーマンスできるわけではありません!」
もうひとつのバケットリストの瞬間は、2017年1月11日、韓国・ソウルの17,000人収容の高尺スカイドームで、BABYMETALが史上最大のメタルバンドのメインサポートを務めたときに刻まれました。「メタリカは私たちにとって神のような存在です」とSU-METALは当時語っていました。「長い間、彼らに憧れていて、一緒に演奏することを夢見ていたので、こんなに早く実現するとは思っていませんでした!」
これまでのBABYMETALのキャリアは、次から次へとサクセス・ストーリーが続き、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで上昇してきました。しかし、2018年はBABYMETALにとって、ある種の 「恐怖の年」となりました。
2017年12月30日、長い間神バンドのギタリストであった藤岡幹大が、天体観測中に転落。悲劇的に彼は怪我を負い、1月5日に妻と娘たちに囲まれて36歳で亡くなりました。バンドは、彼らの曲「The One」の歌詞と一緒にこの事をツイートしました。「We are the one, together, we're the only one, you are the one, forever.」
この出来事に揺れるバンドは、それでも2018年5月にはツアーに向かい、後には自分たちのコミックブック『Apocrypha』を発売することになります。『The Legend Of Babymetal』という、バンドの原点ともいえる作品を発表しました。しかし、別の何かが襲いかかることになります。何の説明もなく、YUIMETALがバンドのUSツアーから脱落したのです。
バンドのマネジメントは「YUIMETALはバンドのメンバーであり続ける」と宣言しましたが、6月のヨーロッパ公演の時点でも彼女は不在で、10月には「健康上の問題」を理由にバンドを脱退したことが発表されました。
「何度も考えましたが、BABYMETALを脱退することにしました(中略)再びステージに立ちたいという強い気持ちがありましたが、万全の状態ではないという気持ちもあります」と、YUIMETAL自身のコメントが出されました。
「YUIMETALは、このグループにとって家族のような存在です。」 2019年にバンドを取材した際、SU-METALはこう話していました。「彼女は去ってしまいましたが、私たちはこれからも彼女を応援していきます。」
長年のファンである大窪由香さんも、最初はこのニュースにショックを受けていました。「彼女たちが小学校からの付き合いであることは知っていたので、その絆はとても強く、ずっと一緒にいられると信じていました。でも、YUIMETALと話をして、彼女は自分の道、自分の夢を貫くために行かなければならないと説明してくれました。彼女はこれからもBABYMETALの一員です。」
これまで成功続きだっただけに、これはフォックス ゴッドの計画の一部であるとは思えませんでした...
P51
■ROB HALFORD - ロブ・ハルフォード インタビュー:もしBABYMETALがメタルゴッドを十分に満足させるなら、それはあなたにとっても同じはずです!!
- メタルゴッドは、BABYMETALを早い段階で聴いて恋に落ちた。そして、共演することになった。
(Q.)初めてBABYMETALを聴いたのはいつ?
ROB HALFORD: 彼らが最初に活動を始めた頃だと思うよ。2012年とか2010年だったと思うけど、ファーストアルバムが出て、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のような曲を聴いて、彼らの人気が出始めてから、彼らの魅力にとりつかれたよ。日本人はとてもクリエイティブで実験的で、他の国では見られないようなことをやっていて、気負いがないんだよ。彼らの姿は俺の心を捉え、音楽は今まで経験したことのないものだったね。
(Q.)最初に彼らと会ったときはどんな感じだった?
ROB HALFORD: ああ、素晴らしかったよ!フェスのバックステージだったと思うけど、どこだったかは覚えてないけど、彼らは写真を撮りに急いで来てくれたんだよ。彼らは明らかに大のメタルファンで、とても礼儀正しく、素敵な人たちで、最高だったね。
(Q.)2016年のALTERNATIVE PRESS MUSIC AWARDSでの彼らとのパフォーマンスはどうやって実現したの?
ROB HALFORD: 彼らのマネージメントから連絡があって、俺はイエスと答えたんだ。俺は当時アメリカにいたから簡単だったよ。彼らは「Painkiller」と「Breaking The Law」を提案してくれたんだけど、これは素晴らしいアイデアだと思ったね。すぐにリハーサルをしたんだけど、彼らの効率の良さが素晴らしかったね。上品な声を持つ彼女たちだけでなく、バックバンドも大好きだよ。バンドのメンバーは驚異的で、彼らは少し見落とされがちだけど、それは不公平だと思うね。俺にとってはBABYMETALは(女の子たちだけでなくバンドメンバーを含めた)皆んなのことだよ。楽しかったね!盛り上がったよ。やることが決まってから、彼らの衣装を考えて、ヴィンテージショップに行って、黒と赤のレザーっぽいジャケットと、Amazonで黒と赤のTシャツを買って、黒と赤のスニーカーも買ったんだ。実際、BABYMETALとの共演のためだけの専用の衣装を用意したっけわけさ。それは今でも俺のクローゼットのどこかにあるよ。
(Q.)彼らとPRIESTの曲をやったら、今度はBABYMETALの曲をやりたくならない?
ROB HALFORD: やりたいね。「ギミチョコ!!」とか「ヘドバンギャー!!」とかで飛び入り参加できたら最高だね。でも、それ以上に、ぜひ日本語で歌ってみたいね、そんなことやった事がないから。BABYMETALの曲を歌うのもスリル満点だけど、彼らの既存の曲ではなく、何かユニークなことをしたいね。一回限りの特別なものを作ることができたら、それは夢のようだよ。今度、プリーストが日本に行くときに、スタジオに立ち寄って、オリジナルの曲を作ることができるかもしれない。名付けて「Fox God Metal God」みたいなね!
(Q.)彼らのイメージをどう思う?
ROB HALFORD: ああ、大好きだよ。過去に我々がプリーストでやってきた事ととても似ていて、フォックスゴッドのキャラクターやそれにまつわる神話など、メタルと日本の文化の両方を見事に表現しているんだよ。それに彼らは、プリーストや他のメタルアーティストが、自分たちの旅にインスピレーションを与えてくれたことを、とても丁寧に語ってくれているんだ。
(Q.)BABYMETALのTシャツにも実際プリーストをオマージュしたものがありますよ!
ROB HALFORD: それも最高だね。愛すべきオマージュだし、本当に最高の方法だよ。それは実体のあるものであることを示していて、非常に循環的であると思うよ。というのも僕らのアルバム「Unleashed in the East」(イン・ジ・イースト)で日本の書道を使ってちょっとしたことをやったんだ。(※訳注:詳細不明)
だからそれが僕らの方に返ってきたって感じじゃないかな。
(Q.)メタルファンがBABYMETALを受け入れるのにこれほど苦労した理由は何だと思う?
ROB HALFORD: 彼らは型を破った。話題になったものはたいてい成功するけど、それに気づいたことはあるかい?俺は(メタルファンがBABYMETALを受け入れないことを)全く理解できない。- メタルはみんなのものであり、受け入れること、心を開くこと、そして新しいモノをチェックすることなんだよ。俺はどんな表現であっても、どんなものであっても歓迎するよ。でも、もし10年という節目を乗り越えられたのであれば、それはもう立派なものだよ!
(Q.)BABYMETALへの10周年のメッセージはある?
ROB HALFORD: メタル10周年おめでとう!フォックスゴッドと一緒にラウドなメタルの未来に向けてホーンを上げよう!君たちのメタルゴッドより。
(原文:"Happy 10th metal anniversary. Horns up for a loud metal future with the Fox God, from your Metal God!")
P52-53
■ド・キ・ド・キ☆BABYMETALグッズ
BABYMETALのレアアイテムに迫ります。
見つかるといいですね。そして、フォックスゴッドと共にあらんことを。
(原文:Good luck finding it, and may the Fox God be with you.)(=スターウォーズのセリフ"May the Force be with you"=「フォースと共にあらんことを」の言い換え?)
●LIVE LEGEND I,D,Z APOCALYPSE ブルーレイ(2013)
BABYMETALのライブシリーズ「LIVE LEGEND I,D,Z」の3部作を完全収録したBlu-rayパッケージには、特別なマントが付いています!これを着て、自分の名前に「メタル」をつけて、アベンジャーズの一員になりきってください。
●BABYMETAL サングラス(2015)(ハズセメガネ - Type-S、Type-Y、Type-M)
このサングラスのデザインは、ラップソング「いいね!」にインスパイアされたものです。これをかけると、「アタマユラセ、メガネハズセ!」と言いたくなります。
●LIVE AT BUDOKAN 'BUDO-CAN':THE ONE LIMITED BOX RED/BLACK(2015)
2014年、BABYMETALは武道館で2回公演を行いました。
このパッケージは、「武道缶」と呼ばれる八角形の形をしています。
会場と同じ八角形をしており、1日目の演奏と2日目のライブCDが入っています。
さらに、限定のコルセットも付いています。
●BABYMETAL DEATH MASK(2015)
COVID-19の前からBABYMETALはフェイスマスクを販売していました。マスクが日常の装いの一部となった今、BABYMETALのファンであることを自分の顔でアピールしてみては?残念ながら、口を覆っている間は「チョコ!!」を食べることはできませんよ。
●BABYMETALマイクロラゲッジ(Bluetoothスピーカー付)(2016)
今までのつまらないスーツケースは捨ててしまいましょう!このスーツケースにはキックボードが付いています。Bluetoothスピーカーも内蔵されています。今どこにも旅行に行けない人は、地元のスケートパークで試してみてはいかがでしょうか。
●MAGIC CIRCLE PYRAMID(2015)
まるでBABYMETALが十分に謎に包まれていないかのように、彼らは独自のルービックキューブを発表しました。
6面ではなく4面なので、簡単に解けるはずです...よね?
●BABYMETAL MINI-ARROW GUITAR(2016)
ESPとのコラボレーションで作られたこの夢のギターは、ファンクラブ「The One」の会員限定で販売されました。 唯一無二のメタルゴッド、ロブ・ハルフォードとBABYMETALが共演した際にも弾いていました。
●GALAXY ARKテーブルランプ(2019)
2019年6月に行われたBABYMETALの横浜アリーナ公演で、彼女たちがメタルの銀河を箱舟で旅した部分を再現しましょう。必要なのは、このランプと小さな耐熱性のフィギアだけです。
●骨ロンパース & 骨ビブ(2020)
BABYMETALに夢中になるのに若すぎるということはありません!
このホネホネのよだれかけと素晴らしいロンパースで、あなたの子供たちをフォックスゴッドの魔法の下で育ててみませんか?
メタルギャラクシーの中で、子供たちが寒くならないようにしましょう。
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■IV: METAL GALAXY
- Glastonburyから始まり、彼らの3rdアルバムを聴いて、BABYMETALから逃れられないと思った
もしあなたが世界を制覇したら、次は何をしますか?当然、宇宙を征服します。
2018年の活動の後、BABYMETAL初めて、長期間スポットライトから離れていました。
2019年4月1日(BABYMETALのカレンダーではFOX DAY)に沈黙を破り、その年の終わりに3rdアルバムをリリースすることを発表し、「BABYMETAL Awakens - The Sun Also Rises」と「BABYMETAL Arises - Beyond The Moon - Legend M」と題した一連のヘッドライン・ショーを行なうことを発表しました。
6月28日、横浜アリーナでのライブの初日に、彼らは夏らしい爽やかなニューシングル「PA PA YA!!」を発表し、3rdアルバムのタイトルが「METAL GALAXY」であることを明らかにしました。
その夜、YUIMETALの代わりにダンサーがステージに登場しました。
KOBAMETALはそれを「新しいBABYMETALの始まり」と表現しました。
「SU-METALとMOAMETALに加えて、彼らを支えるアベンジャーズは、キツネ様が召喚した選ばれしダンサーたちである」と説明した上で、いつもの調子でこう付け加えました。「誰が選ばれるかは、キツネ様だけが知っている。」
「ファンはアベンジャーズを受け入れてくれていると思います」と、少し控えめに大窪さんは言います。「BABYMETALファミリーに参加する人なら誰でも歓迎します。でも、これからもオリジナルの3人の女の子のことを考えています」。
翌日、横浜アリーナでの2回目の公演を終えたBABYMETALは、飛行機に乗ってイギリスに向かい、ストームジー、ザ・キュアー、リアム・ギャラガー、カイリー・ミノーグといった大物アーティストが出演するグラストンベリーに参加し、メインストリームへの大きな一歩を踏み出しました。日曜日の午後、アザーステージで演奏した彼らは、日本のアーティストとして初めてグラストンベリーのメインステージで演奏したという歴史的快挙を成し遂げました。
バンドはピラミッド・ステージで、他でもないデビッド・アッテンボロー卿(本当です)と対バンしました。(※訳注:イギリスの著名な動植物学者で兄は映画監督のリチャード・アッテンボロー。Glastonburyのピラミッドステージで新しい自然史番組「Seven Worlds: One Planet」を紹介した。)
親切なデイブおじさんからアフリカのオジロビタキの交尾の儀式について学ぶのもいいですが、私達はサークルピットやリフの方がもっと好きです。
METAL HAMMERの編集者であるMerlin Aldersladeは、彼がレビューで「好奇心旺盛でそこそこの規模の観客の困惑が娯楽に溶け込み、純粋な喜びに変わる」と称したものを目撃しました。
「グラストンベリーが世界最大級のフェスティバルであることは知っています。」とSU-METALはBABYMETALのステージ出演の後でNMEに語りました。「私はとても緊張していましたが、何曲か演奏した後、観客の皆さんは手を挙げて叫んでいました。ビリー・アイリッシュを楽しみにしています!」
彼らは着実にエネルギーを高めていましたが、ニューアルバム「METAL GALAXY」にアーチ・エネミーのアリッサ・ホワイト=グラズが「Distortion」に、サバトンのフロントマンであるヨアキム・ブローデンが「Oh!Majinai」で、など、有名ゲスト達が参加しているという情報が流れ、期待は最高潮に達していきました。
これまでバンドに対して鼻持ちならない態度をとっていたメタルヘッズも、そのサウンドが非常にクールであることを認めざるを得ませんでした!
「参加して欲しいって言われた時は驚いたよ」サバトンのヨアキムはアルバムの発売前に私達に言っていました。
「でも参加しない手なんてあるかい?彼らは良い人たちだし、良いショーをやるんだぜ!」
「アーチ・エネミーは日本と強い関係があるの」とアリッサは付け加えました。「参加したいかと聞かれて、私はイエスと答えたわ。彼らがどのようなイメージを持っているか、本当に詳細な内容を教えてくれたわ」。
BABYMETALは、再びメタルシーンの話題をさらいました。待ちに待った世界は2019年10月8日(※原文通り)、『METAL GALAXY』をついに聴くことができ、彼らのキャリアの中で最も壮大で、最も多様で、挑戦的な作品であることがすぐに証明されました。ガーディアン紙は、カニエ・ウエストが2010年に発表し、ジャンルを超えて絶賛された傑作にちなみ、「カワイイメタルのマイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー」と評しましたが、メタル界以外のすべての批評家がこの作品を気に入ったわけではありませんでした。しかし、本誌METAL HAMMERに掲載された8/10のレビューでは、ダニー・ライバーズが「その存在自体が巨大な変化球(※原文:カーブボール)のようなバンドにしては、ここで見せられたいくつものタンジェントは、このバンドが我々の想像を超えた成長を遂げることができることを示唆している」と述べています。
『METAL GALAXY』は、イギリスのトップ40とアメリカのビルボード・トップ200で20位以内にランクインし、アメリカでは日本語のアルバムとして最高のチャートを記録、アジアのバンドのアルバムとしては初めてアメリカのトップ・ロック・アルバム・チャートの1位を獲得しました。BABYMETALは初のヘッドラインツアーを全米で行っていましたが、リリース日はLAのイングルウッドにあるThe Forumで17,000人以上のファンを前に初のアリーナヘッドライナーを務めた日と重なっていました。
また、グローバル・メタルの新たな魅力を証明するために、モンゴルのフォーク・メタラーであるThe Huを引き連れて、ポートランドとシアトルでショーを行ないました。
「私たち2つのバンドはどちらも、それぞれ独自のコンセプトを持っています。」The HuのJayaは言います。
「どちらも母国語で歌っていますし、ヘビーメタルと見なすこともできます。でも、BABYMETALと僕らの音楽には、日本やモンゴルの音が入っているので、まったく別のダイナミックさがあります。」
ライブについては?...
「バックステージを少しだけ見学させてもらいました。」と彼は振り返ります。
「私たちは毎晩、たくさんの愛とサポートを感じました。BABYMETALのファンはとても大声で「フー!フー!フー!」と叫んでいました。また、彼らのショーの一部を見ることもできましたが、彼らは素晴らしかったです。 彼らのボーカルと振り付け、バンドメンバーのレベルは非常に印象的でした。」
BABYMETALは、2020年にヨーロッパでの初のヘッドライン公演を行いました。 - しかし、フォックスゴッドでさえもパンデミックを予測することはできませんでした。
他の同業者たちと同様、彼らも従来のツアーサイクルに代わって、活動するための新しい方法を見つけなければなりませんでした。
彼らが最も注目を集めたのは、Bring Me The Horizonの「POST HUMAN:SURVIVAL HORROR」EPに収録されたBring Me The HorizonとBABYMETALのコラボレーション曲"Kingslayer"で、このジャンルの大物アーティスト2組が共演することになりました。
12月には結成10周年を記念したベスト盤をリリースし、1月から4月にかけて武道館で10回のライブを行いました。最終日の最後には、フォックスゴッドからのメッセージが映し出され、再び大きな変化が訪れることを暗示していました。
「BABYMETALは、パンデミックが続く中、再びパワフルなパフォーマンスを披露し、10回にわたる武道館公演を成功させました」とマネジメン トのプレスリリースにあります。「10回目の公演の最後に、BABYMETALは地球から旅立ち、LIVING LEGENDになることが発表されました。」
それが何を意味するのかは誰にもわからないし、BABYMETALという現象について予測することに意味はないように思えます。ほとんどの人が、単なる珍品、ギミック、一発屋だと思っていたグループにとって、この10年間は素晴らしいものでした。それどころか、BABYMETALは誰も予想していなかったサクセスストーリーなのです(まあ、一人のキツネ男はいたが、他には誰もいなかった)。
「彼らが結成された当時は、東洋文化やJ-POPに対する主流の関心はありませんでした」とポール・ブラニガンは言います。「だから、これが計算されたことだとか、簡単に成功する方法だとかいう考えは、…実際にはありません。信じられないようなことが起こったのですから、それが実現したことは驚くべきことです」。
「現在の彼らがいる場所は、『BRITISH STEEL』(※)でプリーストがいた場所だ」とロブ・ハルフォードは付け加えます。(※訳注:『BRITISH STEEL』-ジューダス・プリーストが1980年に発表した、スタジオ・アルバムとしては6作目となるアルバム)
「ちょっと考えてみてくれ。この業界で10年、それはバンドにとって非常に困難なことであり、もしそれを成し遂げれば、もうそれは本物であり、メタル界の立派な一員なんだよ。」
さぁ、ここから次の10年へ。
P57
■GRANT GELT
彼は、BABYMETALのNFTトレーディングカードの立役者です。このカードがどんなものかを説明するのに、これ以上の人はいないでしょう。
まずは基本を押さえましょう! NFTとは何ですか?どのように機能するのですか?
「NFTとは、ブロックチェーン(デジタル台帳の一種)上に存在するデジタルコレクションのことで、無限に譲渡可能で、変更できず、グローバルネットワーク上に存在するため、永遠に追跡することができます。私が非常に興味を持ったのは、それが本質的なリスクを取り除いてくれるということです。私は、ボブルヘッド、コミック、カードなど、信じられないような物理的なアイテムを収集してきましたが、それらには「このグラフィックノベルを読むことができるだろうか」「このレコードを開けることができるだろうか」と考えるような気遣いの要素がありました。つまり、コレクターとして気にかけない限り、手に入れたものを楽しむことができないのです。」
なぜトレーディングカードを選んだのですか?
「WAX(Worldwide Assert eXchange)では、デジタルのトレーディングカードやコレクターズアイテムが中心となっていますが、中でもコンプリートセットは入手が困難で希少価値が高く、編集にも手間がかかります。二次市場がどうなるかを判断するのは時期尚早ですが、私自身コレクターとしては、最初からコンプリートセットを手に入れることができるのは大きな意味があります。トレーディングカードは、BABYMETALにとって非常に意味のあるものでした。なぜなら、トレーディングカードには、BABYMETALが行うすべてのことに通じる物語と歴史があり、クリエイティブな観点から、時間をかけて発展させ、ゲーム化することができるからです」。
BABYMETALは、メタルバンドの中では最初に本格的に取り組んだバンドの一つです
「確かにその通りだと思います。NFTの空間やデジタルコレクションの空間はリアルタイムで進化していますから、BABYMETALのようにジャンルを超えた、多くの可能性を持っているアーティストが増えれば増えるほど、このような多様な巨大ファンベースを持つアーティストを見るのはとてもエキサイティングなことです。アーティストが新しいことに挑戦するだけではなく、リアルタイムで進化し続ける空間で何かをしているのです。」
彼らと仕事をする前からBABYMETALのファンでしたか?
「もちろんです!『ド・キ・ド・キ☆モーニング』は私の入門曲で、今でも毎日のように繰り返し聴いています。このバンドと音楽は、創造的なアイデアとして私たちの多くのものを提供してくれます。そして、これが多くのことの始まりであることを願っています。」
どのようなアイデアですか?
「たくさんありますよ!私たちと彼らのマネジメントの間には、このカードを口火にして、面白くてユニークなストーリーを伝え続けることができるチャンスがたくさんあります。」
10枚のカードがあり、それぞれが"METAL RESISTANCE"の年やエピソードを表しています。その物語の全体像はどの程度把握していますか?
「私たちは、メタル・レジスタンスのエピソードを生きてきた誰よりも多くのことを知っています。しかし、正直なところ、フォックスゴッドだけが本当に知っているのです!」
これらのカードが発売されたときに手に入れられなかった場合、どうすればいいのでしょうか?
「それは、流通市場の出番です!
興味深いことに、これらの商品には独特の二次・二次市場が存在すると思います。レコードは間違いなく人々のコレクションになるでしょうが、トレーディングカードは最初から独特の収集価値を持つものですからね。買い逃したとしても、Babymetal.cardでデジタルトレーディングカードに特化したニュースレターに登録すれば、より多くの情報を得ることができますし、今後のリリースやその他の機会についてもお知らせします。」
P58
■ビッグ・レビュー(2021年BABYMETAL武道館ライブレビュー)
日本の特派員、荒金良介が、BABYMETALの10回にわたる武道館公演の最終日に行ってきました。その様子をお伝えします。
BABYMETALはパーティーの開き方を知っています。昨年デビュー10周年を記念して、「10 BABYMETAL BUDOKAN」と銘打ち、2021年1月から4月にかけて、東京の14,000人収容の武道館で10回の公演を行うことを発表しました。この武道館は、2014年3月に彼らが女性アーティストとして史上最年少で公演を行った歴史ある場所です。
今夜は聖地・武道館で全10公演のうちの最後の公演を行います。COVID-19のため、主催者は感染防止に細心の注意を払っています。会場内はブロックごとに消毒され、携帯電話をカメラにかざすと、機械が電子チケットと体温を同時にチェックするという画期的なシステムが導入されています。また、観客一人一人にライブ中に着用するための、BABYMETALのロゴがプリントされた特別な「セイバー・マスク」が配布されました。また、物販ブースよりも、オンラインショップでコンサートグッズを購入するようにすすめました。
今回の武道館公演では、レアな曲も含めて、キャリアの中からバランスよく選曲されていました。3回目となる2月16日の公演では、海外版『METAL RESISTANCE』にも収録されている、SU-METALの高音ボーカルが特徴的なビートの効いた曲"From Dusk Till Dawn"を披露しました。2017年にアメリカで一度だけ演奏されたことがあります。ライブでは、その神秘的な雰囲気が印象的な壮大なスケールで演出されていました。
3月16日のライブでは、"BxMxC"の破壊力も凄まじく、かっこいいラップ・メタルにSU-METALのファルセットが炸裂していました。曲のアップダウンに合わせてエネルギッシュなダンスを披露し、そのダイナミズムで観客を魅了しました。
ソールドアウトとなった今夜のファイナルコンサートでは、マニア的な名曲はありませんでしたが、素晴らしいベストヒットのセットリストで行われました。360度八角形のステージは、1階と2階に座っている観客を利用して、アリーナのフロア全体を使っています。ビデオメッセージで「A Story of Destruction And Rebirth(破壊と再生の物語)」とアナウンスされた後、リアレンジされた"BABYMETAL DEATH"に突入しました。
そして、SU-METAL、MOAMETALと3人目のサポートダンサーが十字架につけられてステージに登場しました。このような儀式的な演出は、BABYMETALのパフォーマンスには欠かせない要素です。炎が飛び交う中、"イジメ、ダメ、ゼッタイ"に突入すると、神バンドのヘビーなギターが鼓膜を揺らします。サビの部分では、観客が一斉にジャンプして曲が最高潮に達しました。
スクリーンに「GIVE ME」の文字が映し出され、「ギミー・チョコレート!!」の声が響き渡ります。数え切れないほどのレーザービームが交差するBABYMETALは、360度のステージを最大限に活用しています。そして、デビュー曲 "ドキドキ★モーニング" のイントロに合わせて、みんなで手拍子をして、見事なダンスを披露します。
MOAMETALは4人のキッズダンサーを従えて"GJ!"を披露しました。三三七拍子のリズムに合わせて観客が手拍子をすると、「まだ足りないよ!もっとできるよね!」と観客を煽りました。SU-METALがソロ曲"No Rain, No Rainbow"を歌うと、雰囲気が変わります。ドライアイスが雲海のようにステージを覆い、驚くべきことに、SU-METALは初めてピアノを弾きました。これはショー全体の大きなハイライトでした。
"Distortion"では観客が拳を突き上げ、続いてパーティー・ソングの "PA PA YA!!!"では、パイロが鮮やかに燃え上がり、恍惚感が会場を包み込みます。観客はタオルを頭の上で振り回し、誰もがCOVID-19の危機を忘れてしまうような、ますますお祭り騒ぎの雰囲気に包まれました。
グルーヴ・メタルの"KARATE"がパンテラやLamb Of Godの曲のように炸裂し、SU-METALが "Everybody jump!"と呼びかけました。彼女たちとサポートダンサー、そして観客が同時に跳ねている姿は壮観です。"ヘドバンギャー!!"では、観客がBABYMETALにヘドバンをする場面も見られました。
アンコールでは、BABYMETALがマント姿で登場し、崇高な雰囲気の歌"The One"を披露し、一体感のあるメッセージで会場を盛り上げました。そして、スクリーンには、10年間の活動に終止符を打つ「メタル・レジスタンス」終了のカウントダウンが告げられ、魂のこもった法螺貝の音が響き渡り、"Road of Resistance"へと続きました。コール&レスポンスでは誰も声を出してはいけないので、観客の声援音を流して、観客とBABYMETALをつなぎました。曲の途中で、SU-METALが感謝の気持ちを伝えました。「ついにファイナルを迎えました。私たちの挑戦を応援し続けてくれた世界中のファンの皆さん、そして武道館に集まってくださった皆さん、本当にありがとうございます!」私たちの心が震えたのは言うまでもありません。
ショーの最後には、BABYMETALの10周年を記念して、SU-METALが10個の銅鑼を叩くという特別なパフォーマンスが行われました。エンディング・ビデオでは、10年間のキャリアを積んだBABYMETALの次の章は「LIVING LEGEND」として存在することだと発表しました。
端的に言えば、今回のライブは最高にクールでした。彼女たちが120%の力を発揮し、COVID-19の危機を乗り越えたことは称賛に値します。彼女たちの次の活躍が楽しみでなりません。