芋さえあれば(マッシュポテトグラタン)|酒と肴 その八十四
富や名声は手に入らず、永遠の若さなんて望むべくもありません。だけど溢れるほどのジャガイモには恵まれました。
年に一度、お世話になった方の畑を訪れ、収穫のお手伝いをしています。
昔の仲間が集まって、掘れや洗えやの大騒ぎ。もちろんその後にお酒を酌み交わすのは、言わずもがなでございましょう。
とは言え、ここ数年はどうにもアレがナニでしたので、規模を縮小しての開催でした。今年は無事に年季も明けたので、満を持しての参戦です。
迎えた当日は晴天に恵まれ、汗と泥にまみれてのイモ活三昧。芋掘りロボットのゴンスケよろしくせっせと掻き出します。
おかげでカゴいっぱいのメイクイーンと男爵、きたあかりが採れました。
収穫祭はお宅の庭を借りてのバーベキュー、いわゆるガーデンパーティーです。
当日はなんとビールサーバーまでご用意頂き、まさかの生ビールが飲み放題。汗で失った水分を補って余りある程、乾杯を重ねます。
出会ってから十数年、それぞれの状況もだいぶ変わりました。だけど会えばあの頃のままに話ができるのですから、いい関係だったのかなと思います。仕事から離れても集まれる関係は、続けていきたいものです。
そんな夏の思い出を忘れぬ様、そして大量に頂いたジャガイモを消費するために、芋料理を作ります。
今回は数ある芋の中から、「きたあかり」を使いました。
まずはマッシュポテトを拵え、ミートソースと合わせてマッシュポテトグラタンにします。
シェパーズパイとかコテージパイとも呼ばれるイギリス料理。スターゲイジーパイが苦手な魔女宅のお孫様も、こちらのパイならお気に召してくれたでしょうか?
ポテト→ミートソース→チーズ→ポテト→チーズの順に重ね、グリルで焼き色を付けたら出来上がり、タバスコを振り振りいただきます。
料理に掛かる時間に比べ、食べるのはあっと言う間。人生と同じくらい儚いですが、それでも作ってしまうのですから、どれ程好きかお分かり頂けると思います。
こいつを食べてビールを呑めば、他には何も要りません。何ならマッシュポテトだけでも、丸のままレンチンした芋だけでもビール党員としては満足です。
そんな風に私たちを虜にするジャガイモ。世界平和とまではいきませんが、あまねく行き渡れば、多少なりとも心に平穏が訪れるのではないでしょうか。
イモノホウサクニワラッテヰル
サウイウヒトニ
ワタシハナリタイ
メニューと材料
・マッシュポテトグラタン(ジャガイモ、玉ねぎ、人参、合い挽き肉、チーズ、バター、牛乳、塩、こしょう)