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町田そのこさんの「星を掬う」

25年以上勤めたお堅い職場を早期退職して、現在、小学生男子を育てながら主婦をしているまめさとです。

さて、本日ご紹介するのは、町田そのこさんの「星を掬う」。
別れた夫からDVを受け、お金をせびられ続けている千鶴。

ラジオ番組の賞金目当てに、小学校1年生の思い出を投稿します。
夏休みに母と二人で旅をし、楽しかった日々。
しかし、その後、母は自分を捨てて家をでていってしまう・・・というもの。

その番組を聞き、母と同居する女性が千鶴を訪れてきてきます。
激しく抵抗を感じながらも、元夫のDVから逃れるため千鶴は母親と住むことに。
しかし、再会した母は病に侵されており、また同居する女性たちもそれぞれ事情を抱えていた・・・。

といった感じなんですが、とにかく話が重い。
読んでいる間、ずーっと息苦しさを感じていました。

そもそも私、DVの描写が本当に苦手で。
DVを行う人間自体に嫌悪感があるのはもちろんですが、こんなにまでひどいことをされながら、そんなになるまでこの状況に甘んじ、なぜ逃げないんだ、もっと外に助けを求めることをすればいいのに、とイライラするのです。

それは私が恵まれた環境にいるので、そう思うだけであって、渦中にいるとそんな冷静な対応はできない・・・という事も頭ではわかるのですが、感情的に受け付けない。

そういうわけで、しんどいなあ・・・と読んでいる間ずーっと思いつづけながらも、結局、最後まで読み通してしまった小説です。
それはひとえに、千鶴を捨てた母、聖子の存在が強烈だったからかもしれません。
すべてを捨てて生き方を変えた聖子の強さと弱さ、人間の複雑さとその業。そして避けることのできない老いと死への心構え。
これからの自分の生き方の指針に対するヒントをもらった気がします。

読むのに結構覚悟のいる本ですが、その価値はあるかと思うので、心の余裕のある時にぜひ読んでみてください。

それにしても、最近、子育ての過程で母親が意識的・無意識的に子供にかける呪縛とそれに苦しむ子供の小説をよく読みます。
それだけ母親というのは子供に対して絶大なる権力を持っているのだなと・・・。

私自身は、自分の母親からきつい呪縛を受けた覚えもないし、息子に対して強く支配しているつもりもないのですが、ひょっとしたら無意識のうちにそういうことを行っているのかも・・・と少し怖いような気がしたのでした。

本日の写真:ハイビスカス(アオイ科)
南国に行きたいです・・・。

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