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チカラの抜き方、抜ける場所

甥っ子とプールに行った。
甥っ子はカナヅチで泳ごうと努力するものの、お手伝いと一緒で簡単な練習はしたくないようで、とりあえずバタフライから始めたいらしい。
泳げる私からみていると「まずは浮くことから」と思うのだけど、ただ浮くことがどれほど難しいのか、力を抜きなさいよって思ったことを書こうと思う。

「チカラ入れなきゃいいのになぁ」と、プールに浮きながら考えていた。
浮きながらハッと気が付いた。
私は水中ではチカラを抜いて浮けるけれど、実生活では全然チカラが抜けてないじゃない。
一方、プールで浮けない甥っ子はとても軽やかに実生活を生きているのだ。
前日、公園に行きたいというので一緒に行き、そこでネパール人の子と甥っ子がサッカーを始めた。
私がその子に「どこの国なの?」と聞いたら「ネパール」という。
それを聞いた甥っ子は、「ネパールかぁ。珍しいね」という反応。
甥っ子は自身がクォーターであり、フィンランドに住んでいたときは周りにいろんな国の人がいたからボーダーがないように思う。
それとも私が知らないだけで最近の子どもはそうなのかな。
そのネパール人の子は、甥っ子より年も下で小さい子でサッカーもだるまさん転んだもズルをする。自分のいいようにルールを変える。
私はみていて「嫌にならないのかなぁ」と思っていた。
18時になり、そろそろ帰ろうよと声をかけ家に帰る途中、「すっごいズルしてくるんだよ」と甥っ子が話し出した。
ただ、それがものすごくフラットで、ただ私に事実を伝えているだけのそのフラットさに驚いた。

プールで浮いているとき、ただ浮くといっても体全体で微妙なバランスを取りながら浮いている。
私は「ただ浮いてるだけ」と思っていたけれど、意識するとそれだけじゃなく傾かないように、並行を保つように、自然に身体を調整していた。

あぁ、そうか。
私は水の中でどういうふうにいればいいかを知っていて、それが得意だけれど甥っ子はそれを知らないだけなんだ。
ただ浮くことの心地よさも知らない。
だけど、水から出たら甥っ子のほうが力の抜き方や入れるところを熟知していて、だからこの子は強くしなやかで優しい。

フラットでいることの強さ。
どっちでもいいと思える柔軟さ。
オトナだから知っていることを教えようとしてしまうけど、子どもから学ぶことのほうがとっても多い。

「いつもぼくに優しくしてくれるから大好き」
と言ってくれたので、「あなたの周りには優しい人ばっかりだね」と言ったら、「うん。だってぼくがみんなに優しいからね」と。

うん、そのとおりだ。
気学で学んだ「出すが先」
小さなころは無意識にやっていたんだなぁ。

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