タイに行った。ただひたすらに綴ってみる③-1
そうだ、今日はパッタイを食べに行くのだと思い目を覚ます朝。前日のショッピングモールで一目ぼれしたワンピースに袖を通す。初日にあれだけ探し回ったのに、結局ショッピングモール内のお店ですんなり見つかった。たしか2店舗目で、あっさり購入した。青と黒のアジアンな感じで、とてもよい。象のイラストがないところも、ポイント。
友だちは私のワンピースの数倍、いや数十倍(そんなわけはないか)の値段がするブランドものらしいセットアップを着ている。ふたり並ぶといかにも観光客で、ホテルのエレベーターの鏡で並んで写真を撮る。この日は、一緒に有名なパッタイを食べに、朝散歩をした。
ホテルから30分ほど、まちを歩く。工事現場が多く、仮設歩道によく出会った。一か所だけ、たぶん誰かが手を滑らせたら私たちの頭上になにかが直撃するんだろうなと思うところがあった。それから、白い工事用囲いには小学生が描いたような緑と茶色の木のイラスト。少しでも緑を残そうと頑張っていた。
横断歩道を渡ることにも慣れてきて、次々に現れる屋台で朝食を食べている地元の人を横目に歩いていると、目的地が近づいてきた。と思ったらなにやら人だかり。さすが有名店、開店から行列かと思ったがそれはひとつ奥の店だったようで、我々の目的のお店にさくっと入店。滞在してはじめて、しっかりとした飲食店にはいった。
卵につつまれたパッタイをひとつずつと、オレンジジュース(小)を頼む。どちらも人気メニュー。お店のマークが描かれたシリコン製のマットと、箸、それからパッタイのトッピングが並べられた。生のもやしとにらがどっさりと、たしかバナナの花。バナナの花はあとから食べてみたが、あまり味がしなかった。あれはかじるものではなかったのかもしれない。
まずはオレンジジュースが運ばれてきて、友だちが注いでくれた。どぼどぼと果肉がはいったタイプ。その日によって値段が変わるらしいそれは、その日最初に口にするのにふさわしすぎる清涼感と甘さだった。果肉が吸えるようなストローだった。
丸くてかわいらしいフォルムのパッタイ。手前には立派なエビが2つ、ごろん。卵に箸をさすと、中から赤くて細い麺が出てきた。辛味はなく、甘い味付け。卓上調味料が豊富だったので、いろいろかけて楽しむ。辛い酢、チリパウダー、魚醬、砂糖、砕かれたピーナッツ、ライムがあったが、わたしのお気に入りは辛い酢だった。最後のほうはこれでもかというくらいのピーナッツをかけてやった。あと2皿食べたい。
カメラの充電が残り少ないことに気がつく。即座にホテルに戻ることを決心し、友だちに伝える。ここで一旦別行動にすることにし、会計へ。ガラス張りの厨房にカメラを向けると、シェフがフライパンをまわしながら決め顔をしてくれた。と思う、マスクをつけていた。前の日の夜ごはんなどで私が多く支払っていたということで、ここは友だちが奢ってくれた。
外に出ると、雨。それも結構な雨だが、私のホテルに向かう決意は揺らがない。友だちは迷いつつ一旦カフェに向かうことにしたらしい。16時に再合流しようと約束し、それぞれ歩き出す。11時。
ホテルの方向へ向けて歩き出す。最初は来た道を戻っていたが、ものたりずに一本逸れてみる。コーヒーを飲みたくてカフェを探すも、なかなかピンとこない。ホテルに到着し、無事にバッテリーを入れ替える。
さて、どうしようかと思いながらセブンイレブンへ。ツアーのガイドさんがやっていたように、レジでコーヒーを頼む。たしかカフェラテのノンシュガーを頼んだ。たしか20฿だったが、これもかなりの大きさだった。もちろん氷入り。普通に美味しい。
カフェラテを手に歩く。再び屋台群に出会う。なにか食べたいなと思っていると、お菓子が並んでいるのを見つけた。お菓子といってもスナック菓子ではなく、和菓子のような見た目のものが十数種類。どれも甘そうだなと思いながら、お店の人におすすめを聞く。ココナッツボールがいいよということで、それをもらう。おばあちゃんが手づかみでビニールにいれてくれた。
数十歩歩いた先で立ち止まり、ココナッツボールをひとつ口に入れる。周りはココナッツで覆われていて、その中にはでんぷん質でつくられたようなもちもちした皮、さらにその中にはじゅわりと甘い塊がはいっていた。これを元気玉と名付けることにした。
再び、ふらふらと歩き出す。雨も止み、歩きやすい。なんとなく南下しながら、小道に入ってみる。するとどうやら、地元の人が普段使いするような市場に辿り着いた。日用品から服、さくっと食べるようなパックにはいったごはん、もう少し奥には山積みになった野菜や果実。これは、おもしろい。
文房具やカトラリーが並ぶ店に立ち寄る。そうそう、屋台や市場というのはお祭りの屋台のようなつくり。ここの店も、くじの景品がずらりと並ぶように商品が売られていた。日本にもよくあるような〇〇マーケットとかマルシェとか、あとはお祭りとか、そういうものが好きな私はどうりで楽しいわけだ、と納得する。
ホテルから一番近い大きな市場は、服や飲食が多めで観光客向けでもあるのかもしれない。比べてこちらは地元の人がやってくるような場所。雑多におかれた果物も、それぞれの色鮮やかさが絵になる。炎天下の中に無造作におかれる肉の塊、日本のものよりひとまわり大きな葉野菜、不揃いやハネ品などという概念はきっとないのだろう、つるされたり積み重ねられたりする食材の数々、ひとつひとつの光景に心が踊った。
小さなその通りをゆっくりと噛みしめるように通り過ぎる。ちょっとにやけていたかもしれないなと思う。足取りもますます軽くなり、また歩き出す。ここで、トイレにいきたいことに気がついた。コンビニにトイレもないので、なかなか出会えないのだ。ショッピングモールに向かう。
だいぶ遠回りしながら着いた、なんだか荘厳さを放つショッピングモール。中へ入ると、吹き抜け1階部分にはまた食べ物の屋台が広がっていた。どれだけ食べるのだ、ここの人たちは。お菓子や果物、練り物や点心など、なんとなく一度見たことあるような食べ物たちになっていた。それでもやっぱり、ひととおりは見てしまう。
エスカレーターで上にあがると、1フロアすべてがシルク製品。高級そうな布や服がずらっと並び、人通りはほぼなく、どこか寒々しい。もうひとつ上にあがると、フードコートが。旅先で解放される食欲を抑えつつ、ここもぐるりと一周する。たい焼に惹かれた。
友だちと合流するのは16時。そこからカレーの名店に行こうと計画していた。それはぜひ、空腹の状態で迎え入れたい。だから今のわたしに許されるのは飲み物だけ。再びコーヒーを手に入れようと見つけたのは「HOKKAIDO COFFEE」。黒スーツを着て二本足で立つスリムな牛のキャラクターが看板に描かれていた。
ブラックを頼みたかったがその文字はなく、エスプレッソを頼む。ミルクがたっぷりはいっていたので後悔。アメリカーノを頼めばよかったのか。難しい。カタカナで「ホッカイドウコーヒー」と書かれたまたしても大きなプラスチック容器を片手に、また歩き出す。
この日のメインイベントは、マッサージ。16時の友だちとの合流から逆算して、そろそろマッサージ屋さんにはいろうと、探し始める。三大寺院の近くまで来ると、観光客でひしめきはじめた。このあたりにマッサージスクールがあり、そこが運営しているマッサージ屋があるとマップ上から勝手に解釈し、向かう。
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