建築設備士から始める一級建築士学科試験の戦略
1.はじめに
【作成時期】
この記事は、令和5年11月時点の情報を元に作成しています。
【対象者】
この記事は、以下のような方向けに書いています。
(私が受験した時のスペックでもある)
・建築設備士を取得した(または設備士相当の知識がある)
・建築学科出身ではない
・資格学校に通うほどの資金はかけられない、または通学が難しい
・自主的に学習する習慣がついている
・テキストや動画を見れば、内容が8割程度は理解できる
【資金計画】
この記事に沿って勉強を進めた場合、最低でも以下の資金が必要です。
建築資格研究会年会費:30,000円
TK office 過去問アプリ購入費:1,220円
テキスト関係:30,000円程度
模擬試験受験費:5,500円
合計:67,000円程度
【教材・サービスの解説】
一級建築士は建築設備士とは異なり、その受験者数の規模と難易度から多くの教材やサービスが存在します。その中で私が活用した教材、サービスを以下に紹介します。
A)建築資格研究会
学科試験過去問20年分を分野別にまとめた資料と製図試験過去問14年分、及びこれらに関する解説資料とYouTube動画、音声教材がセットになっているサービスで、年会費3万円というコスパぶっ壊れなのに何故かあまり知られていないモンスターコンテンツ。動画は無料で見れるので、一見の価値あり。
B)TK office 過去問アプリ
過去問18年分から約4,000問の1問1答演習が1,220円で利用可能な、これまたコスパぶっ壊れのモンスターアプリ。これがあればいつでもどこでも1問1答演習が可能。暗記ノート機能も秀逸。
C)原口 秀昭先生(ミカオ先生)の著作シリーズ
一級建築士受験スーパー記憶術、建築法規スーパー解読術、ゼロからはじめるシリーズなどで有名。テキストに連動したYouTube動画解説も多く配信されているので、理解できない単元の補強に最適。
D)建築学生が学ぶ構造力学 一級建築士の計算問題解説集セット
構造関係で分からないところが出てきた時にネット検索すると、大体トップに出てくるサイト。内容が学生向けに分かりやすく解説されているため、初学者に適している。一級建築士の力学計算過去問を分野別にまとめた計算問題解説集が1,980円で購入可能。
E)一級建築士と学ぶ建物事例集+クイズ形式コンテンツ
計画科目の鬼門である建物事例がビジュアルと解説で理解できる書籍。クイズ形式コンテンツでは書籍の内容が1問1答で演習可能。セットで5,200円。
※C)〜E)は資格学校のテキストをメルカリ等で購入しても代用可能だと思います。
F)法令集
建築資格研究会の法令集メソッドを活用しようと思うなら総合資格の法令集1択。インデックスは建築資格研究会のインデックスを別途注文することをオススメします。2,000円也。
※法令集に関する記事を別途noteにまとめましたので、興味があればご覧ください。
G)資格学校による一級建築士模擬試験
基本的には本試験の過去問さえマスターしておけば本試験も大丈夫ですが、当日のペース配分などを把握しておくために、会場受験を1回でも体験しておくと良いです。私は総合資格と日建学院両方の会場受験を体験しましたが、日建学院の方が法令集のチェックもやってくれて、本番に近い雰囲気で受験できたのでオススメします。
2.目標到達点の設定
まずは勉強計画を立てるに当たり、一級建築士学科試験の基本ルールと自身のスペックとのすり合わせを行うために、一級建築士の合格サポートを実施されているちゃこさんが提供する「一級建築士学科試験 最短合格戦略ガイド」を入手してください。
おん、宣伝か!?と思われるかもしれませんが、まあその一面もあります。笑 ただ、私がちゃこさんを紹介したことによるインセンティブは何もありませんし、提供されている資料の情報量は素晴らしいです。私自身ちゃこさんとやり取りを始めたのは学科試験を受験した令和5年の4月からでしたが、奇遇にも同じ学校の後輩だったということが後に明らかになりました。笑
なので応援したい気持ちはあります。
これからの説明はこの戦略ガイドを前提として進めていきます。
戦略ガイドを読んでいくと、科目別の目標点数を設定するステップになります。戦略ガイドの内容に基づき、自身の目標点数を設定してください。
(学習ピラミッドにおける①全体像把握を行なった後に1回直近の過去問を解いてみると設定しやすいかも)
ちなみに私の目標点数と令和5年度本試験の点数は以下でした。
【目標】
計画:12〜16/20
環設:17〜20/20(建築設備士の意地)
法規:25〜28/30
構造:20〜24/30
施工:18〜22/25
合計:92〜110/125
ちゃこさんの戦略ガイドに習い、目標最低点と目標最高点を以下のように決めることにする🔥
— まめ吉@建築電気設備技術者 (@mamekichister) March 29, 2023
計画: 12~16/20
環境: 17~20/20(建築設備士の意地)
法規: 25~28/30
構造: 20~24/30
施工: 18~22/25
合計: 92~110/125
目標最低点との乖離が大きい科目から優先して復習しよう! https://t.co/AKfLiSekzY
【本試験】
計画:13/20
環設:16/20(目標不達…)
法規:27/30
構造:23/30
施工:19/25
合計:98/125
皆さん、学科本試験お疲れ様でした!遅ればせながら報告します。
— まめ吉@建築電気設備技術者 (@mamekichister) July 23, 2023
【学科本試験結果(総合資格採点サービスによる)】
計画:13/20
環設:16/20
法規:27/30
構造:23/30
施工:19/25
合計:98/125
過去の学科合格最高基準点が97点なので、おそらく学科試験突破です‼️
※令和5年度学科試験の合格基準点は88点でした。
ここで立てた目標と過去問を解いた際の点数のギャップを把握し、ギャップの大きい科目を優先して学習を進めていくと効果的です!
3.共通的な学習スタイル
以下の手法がオススメです。
①全体像把握:テキストをサラッと読む&建築資格研究会のYouTube動画を見る
②具体論理解:テキストを深く読み込む&原口先生のYouTube動画(ミカオ建築館)を見る
③出題形式確認:過去問アプリの1問1答
④言語化:建築資格研究会の音声教材
⑤暗記:過去問アプリの暗記ノート
⑥時間内演習:本試験過去問(20年分を建築資格研究会から入手可能)
本試験過去問は1問1答を少なくとも1周してから取り組まれるのをオススメします。理由は、過去問の得点によって目標への到達度を確認するためで、先に本試験過去問に取り組んでしまうと、正解の選択肢を覚えてしまう可能性があり、正しい到達度が測定できないからです。
4.科目別の学習ポイント
【計画、環境・設備】
これらの科目は建築設備士でいうと建築一般知識と建築設備にあたるところで、設備士で勉強した内容もある程度出てくるので、一番とっつきやすいかと思います。ただし、計画の建物事例だけは設備士には出てこない&知らないと解答できないので、別途時間を設け、建物事例集を使って直前期に集中して取り組むのがオススメです。
【法規】
学科試験攻略のための最重要科目です。最低でも25点以上を取れるように学習しましょう。法規の学習の重要性は建築資格研究会の教材で詳しく解説されていますので、一読しておくことを強くオススメします。
法令集への線引きは、時間重視なら建築資格研究会の線引き例を丸写し、学習効果重視なら過去問を解きながら線引きすると良いでしょう。最終的には、法令集の速引きを極めるか、暗記で対応するかの選択になりますので、自分に合ったスタイルはどちらか、試行錯誤してみてください。ちなみに私は暗記重視派でした。
なお、過去問アプリでは法規の1問1答ができないので、私の場合、建築資格研究会の過去問を全て「Anki」というアプリに登録して1問1答を行いました。
※Ankiアプリを活用した学習方法について記事を書きましたので、興味のある方はどうぞ!
【構造】
学科試験攻略のための、2番目に重要な科目です。しかも、本記事の対象者のスペックだと最も苦労する科目でもあります。構造科目は力学計算と文章題に分かれます。文章題は過去問アプリで1問1答できますが、力学計算はできませんので、教材で紹介した計算問題解説集を活用して、コツコツ演習しましょう。
よく言われるのが、学科試験に合格するには、法規と構造の合計点で50点以上を取る必要があるということです。かなり高い目標ですが、それくらいを目指すつもりで学習しましょう。
【施工】
この科目は、計画や環境・設備のように一見とっつきやすい科目に見えるのですが、いざ問題を解いてみるとその認識が破壊されます。笑 なぜなら、高い暗記の精度が求められるからです。ここでは過去問アプリの1問1答だけでは暗記の精度が不足しますので、暗記ノートを活用しましょう。一級建築士スーパー記憶術の語呂合わせが最も活用できるのもこの科目です。
巷で難しいと評判の速学模試。現在無料で受験できるので、S模試の前哨戦として受けてみた☺️その結果がこちら↓
— まめ吉@建築電気設備技術者 (@mamekichister) May 19, 2023
計画:13/20
環境:12/20
法規:22/30
構造:14/30
施工:9/25
合計:70/125
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施工: 9/25!
目 が 覚 め た ! 🤩
5.おわりに
これまでに独学を前提とした学習方法についてお話ししました。独学における強みの1つとして、自分に合った教材を組み合わせられることが挙げられます。そのため、私は自分に合った教材を1つ1つ選択していった結果、このような学習方法に行きつきました。これらの試行錯誤は面倒だが、資格学校へ通学することも難しいという方には、今までお話ししたようなカリキュラムがパッケージ化されている通信専用のサービスを活用するのもオススメです。代表的なものとして、合格ロケット、速学、スタディングなどがあります。いずれも10万円以下で利用できます。
この辺の解説はネットで検索するといくらでも出てきますので、そちらをご覧ください。ちなみに私は、最初はスタディングを活用していましたが、活用としては全体像把握と1問1答の1部に留まりました。
本記事が皆さんの学習の一助になれば幸いです。