私が恋した坂本サトルさんの文章3選
坂本サトルさんの書く文章が大好きです。
シンガーソングライターだから、歌、詞、曲が素晴らしいのはわかる。
ラジオも30年以上やっているからトークも上手。わかる。
しかしなんと、文章もめちゃくちゃうまいのです! 参った。
サトルさんの文章の素晴らしさは、以前、自分のnote「坂本サトルエッセイ集『weekend caravan plus』のこと」でも書いたことがあります。
リズムが良くて読みやすい。
サトルさん独特の書き口・文体がある。
そして物事を見つめる視線がウェット過ぎずドライ過ぎず、絶妙。
今回は、私の大好きな、恋焦がれた、年に何度か読み返す、
そんなサトルさんの素敵な文章を紹介したいと思います。
①エッセイ『Hey Jude』
初出は、2000年に出版されたサトルさんの著書『終わらない歌。』(バウハウス刊、現在は絶版)。
幼い頃、ご両親との思い出が描かれたエッセイです。
初出時はご両親ともにご存命でしたが、2012年にお父様が逝去され、上記ブログではエッセイの続きが綴られています。
書き出しからすごい。
壮絶な出来事が淡々と書かれ、冒頭から引き込まれます。
全文はブログで読んでほしいのですが、一番好きな箇所は以下の部分。
1日の終わり、日が暮れた道を走る車中の情景が目に浮かぶようです。
幼い子らが眠る車内は、リンゴの香りに包まれていたのでしょう。
この文章を読んだときに湧き上がる、胸を締めつけるような切なさ、そして温かさ、懐かしさ…。
本当に素敵な、素晴らしいエッセイだなと思います。
②これうま!だてうま!ブログ
TBC東北放送ラジオで放送されていた番組「あがLINE」との連動企画。
宮城の名物やメニューをサトルさんが食べ歩いた、全10店舗のレポートです(2013年11月~2014年4月)。
このブログほんとに大好きで、連載しているときオンタイムで読んでいました。
10店のレポート全部が秀逸。
サトルさんのユーモアたっぷりの文章がとっても楽しい。
なかでも、お店の背景や店主の人柄に関する文章はピカイチです。
一番好きなのはこれかなー。
「村上屋でづんだ餅」。名作。
③Graphic Edition of 蒼い岸に立つ
ソロ4枚目のアルバム『蒼い岸に立つ』(2005年)発売の際に企画された、自分で写真をセレクトできる写真集兼セルフライナーノーツ。
いわゆるアートブックです。
私は「メルカリ」で買いました(笑)。
(ありがとうインターネット!ありがとう出品してくれた方!)
このセルフライナーノートの文章が、びっくりするぐらいすべて名文でした。
あまりにも名文すぎて、年に何回か引っ張り出して読み返しています。
その中で私が一番好きな文章が、あとがきのような、最後のページに載っていた文章です。
一部引用したかったんですが、すべてが素晴らしすぎて、全文引用となってしまいました。(怒られたらひっこめます)
「誰かを愛することの尊さと愚かさ」。
これを書いたのがサトルさん38才のとき。
人生において音楽がなぜ必要かを明確に言葉にしているのも、清々しい覚悟を感じます。
そしてサトルさんの音楽人生が、このときから現在までブレていないのも感動してしまう。
この人の音楽に一生ついていってもいいかなーと思わせる文章でした。
このほか、「君にくらべれば」のライナーノートに記載された、
「感情は相対的なものではない」という一文にも痺れました。
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サトルさんの文章をこうして並べてみると、改めて、言葉に対する誠実さが伝わってきます。
言葉遣いが正確で的確、それでいて個性的なのがすごい。
サトルさんの文筆家として才能、もっと注目されてほしいなーと思います。
●サトルさんの文章を楽しめるブログ『日々の営み』。
最近はブログをお休みされていますが、
過去の膨大なブログ記事から、
きらりと光る名文を発見するのもまた楽しいです。
●サトルさん執筆のメールが届く「サトルからのメール」。
いつも長文ありがとうございます!という気持ちになるほどの長文メールが届きます。
不定期。
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