2023年4月9日 坂本サトル Tour2023 with 佐藤達哉「In my STUDIO」仙台公演ライブレポート(セットリスト・ネタバレあり)
佐藤達哉さんとのデュオツアー初日
ライブの概要、イントロダクションはこちらをお読みください。
※以下、4月9日仙台公演の曲目や内容のネタバレを含んだライブレポートです。
ライブレポート
仙台公演の会場は『誰も知らない劇場』。
ステージにかかる赤と青のカーテンのドレープが美しく、非日常的なムードで、ピアノ×ギターというデュオツアーの雰囲気にぴったりでした。
以前映画館だったときのものをそのまま使用したという椅子もクッション性が高く、じっくり腰を据えて、集中してライブを楽しむことができました。
大きな拍手に迎えられ、達哉さん、サトルさんが登場。
今回のライブは、フライヤーで事前告知があり、「マスク着用の上での歓声・歌声OK」。
「サトルさん!」という観客の歓声も交えての拍手が、コロナ禍以前のライブの感覚を呼び起こし、胸が高鳴ります。
客席から向かって左側に達哉さん、少し右寄り中央にサトルさんが位置し、今回のライブでは、サトルさんは終始スタンディングで歌っていました。
(今回、私が座った位置からは、達哉さんのお顔が譜面で完全に隠れており、演奏されている様子があまり見えなくて、席選びをちょっと失敗しました…)
サトルさんが「よろしくお願いします」と一礼し、1曲目は「コーンスープ」。
サトルさんの力強く包容力のある歌声が、会場に響きます。
この日の歌声は、普段より少しハスキー気味に感じました。
「コーンスープ」2番の冒頭、サトルさんはギターの手を休め、達哉さんの演奏だけで歌うなどし、二人ならではのかけあいの呼吸を楽しみながら試しているようでした。
2曲目「愛の言葉」。なんと冒頭で歌詞間違い!
「この曲を間違うなんてめったにないのに!」と、かなり悔しがっていたサトルさん。演奏を止めて、もう一度初めから。
終盤の「♪ラララ…」のコーラスを、「みんなも一緒に!」と促し、観客も参加して歌います。
達哉さんのピアノを控えめにして、コーラスに耳を傾けるサトルさん。
そしてオフマイクで「…すばらしい!」と一言。
この時のサトルさんがとってもいい表情をしていて、観客と一緒に楽しむライブを取り戻している感動を、噛み締めているようでした。
MC。達哉さんと「ライブって緊張する?」「(ステージに)出てみないとわからない」「歌詞間違っちゃった」そんなお話。
そして、「(坂本サトルの)ライブ初めての人?」という観客への問いかけから、ライブ前日にサトルさんが「昭和歌謡酒場プレイバック」で出会いライブに誘った20代の若者たちが、会場に本当に来てくれたことが判明!
サトルさんもうれしい!観客もうれしい!
3曲目「やぶれかぶれ」。斜陽を思わせるようなオレンジ色の照明が曲の雰囲気をより魅力的に盛り上げ、観客を歌の世界にぐっと引き込んでくれます。
4曲目「4月3日に生まれて」。
今回のライブでは、「’21年12月に発売したライブアルバム『In my STUDIO』収録の曲はほぼ演奏する」と事前にラジオなどでお話されていましたが、この曲は、アルバム収録曲以外の曲となります。
サトルさんの「ダンッ」という大きな足踏みと、勢いのある歌声、演奏、そして観客の手拍子が、会場を熱く盛り上げました。
「宮城が誇る大先輩、稲垣潤一さんの曲」と紹介された、5曲目「夏のクラクション」。歌詞の海辺を思わせる、ブルーのライティングが素敵でした。
軽快なシティポップである原曲に対し、ピアノとギターで奏でるアコースティックアレンジはバラード調で、筒美京平メロディの美しさがより際立って聞こえてきます。この曲の特徴ともいえるイントロのメロディがピアノで美しく奏でられるのも印象的。サビの「♪In my Heart」の部分を歌い上げるハスキーで切ないボーカルが、サトルさんらしい歌の世界観を創り出しているようでした。
続いて6曲目もカバー曲「Woman"Wの悲劇より"」(オリジナル:薬師丸ひろ子)。こちらも歌声がすばらしい。ステージの雰囲気、照明、演奏、歌声が相まって、映画のようなドラマチックな歌詞の世界が見事に表現されていました。
ここで、サトルさんがギターを置いて、ピアノのみの演奏で披露した7曲目「君に会いたい」。
スローバラードで胸を締め付けるようなアレンジですが、Cメロ以降の感情が昂るようなエモーショナルな演奏に、CDとはまた違った印象を持ちました。エコー(ディレイ)も巧みに機能しているのだと思います。
サトルさんのブルースハープの演奏もすごく良かったです。
8曲目もピアノのみの演奏で「木蘭の涙」。スターダストレビューの楽曲を、2002年に小田和正さんプロデュースのもとサトルさんがカバーしてシングルリリースした、サトルさんの楽曲としても人気の高い1曲。客席からは観客のすすり泣く声も聞こえてきました。
前半終了。休憩。
後半では、おふたりがツアーグッズの「MUSIC&GRICO」Tシャツを着用して登場。
後半の始まりは、達哉さんのソロ演奏から。
達哉さんのソロアルバム『Confession』より、「懐郷」、そして冒頭に青葉城恋唄の伴奏がインサートされた「松島ラグ 仙台ver.」が披露されました。
「懐郷」「松島ラグ」ともに宮城に関連する曲を仙台で聴けたことが感慨深かったです。
サトルさんが登場しMC。「青葉城恋唄」(さとう宗幸)に関連して、2018年2月に仙台で開催された『ハーフ&ハーフ仙台編』で、坂本サトル with His Bandが宗さんのバッキングを務めたときのエピソードをお話されていました。
9曲目。新しい曲ということで「猫と踊る」。
「♪僕には僕の役目があるから」というフレーズが優しくて温かい。達哉さんのキーボードの音色も温かです。サトルさんはギター、ブルースハープを演奏。
この曲は、サトルさんの公式ファンクラブ『サトル部』限定で配信されるラジオ「シューイチラジオ」のテーマ曲で、歌詞に出てくる猫は、サトルさんの愛猫グリコさん。今回のツアーグッズでもほぼ全グッズのモチーフに採用されるなど、愛猫家ぶりが爆発しています。
音源は、2023年2月9日に発売されたデモ音源集『demo plus』に収録。
10曲目「半月」。「In my STUDIO」配信ライブで披露された新曲で、有観客ライブで演奏されるのは初めてではないかと思います。
歌が終わってからのアウトロのピアノとギター、ブルースハープのセッションが熱い。「赤い月」を想起させるような力強い演奏が絡み合い、感情を揺さぶります。達哉さんのコーラスも最高でした。
MC 仙台公演翌日の4月10日がJIGGER’S SONのライブ一般発売日ということで、7月15日に仙台darwinで開催されるJIGGER’S SONライブについて。
このライブに、佐藤達哉さんが参加されることも発表されました。
11曲目JIGGER'S SONの楽曲ということで「バトン」。こちらも間奏のピアノとギターのセッションがエモーショナル。ギターのみの弾き語りでは味わえない、新しい曲の魅力を感じました。青と白の照明も素敵でした。
12曲目「大丈夫」。アルバム収録の、軽やかなジャズver.です(通称ニューオリンズver.)。観客だけで、ハモリも交えつつサビを大合唱。ずっとやりたかったライブシーンが待っていました。
13曲目「Carcharodon Megalodon」。ロック!!照明もロック!!
観客は座りながらも頭上で手拍子!そして達哉さんは立ち上がる!ヒートアップ!
MC 狩野英孝さんにラブコールされたお話。そこからツイッターフォロワー数のお話。コロナ禍の融資のお話など。
14曲目、がんばった自分たちに向けてと「アイニーヂュー」。
ライブではおなじみの曲ですが、ピアノが入ることで、Bメロの哀愁が増したり、サビがより力強くなっていたりと、デュオツアーならではの魅力を感じました。
「皆さんが望むなら、最後の曲です」と、本編ラスト15曲目は「天使達の歌」。何度聞いても新鮮な、心の奥から湧き上がる感動がある曲です。
一度ステージを立ち去るお二人ですが、アンコールの拍手に応えて出てくるのが早い(笑)。
アンコールで披露されたのは、10 for 10 TOHOKU「10年後の僕ら」。
東日本大震災から10年目を迎えた2021年に制作された大切な曲で、音源には佐藤達哉さんもピアノで参加していらっしゃいます。
「ツアーの順番を決めるときに、仙台公演は最後にしようか迷ったけど、初日で良かった。温かく送りだしてくれて、いいスタートが切れた」とサトルさんが仰ってくださったのが、うれしかったです。
ステージの最後には、写真撮影OKタイムがありました。
ライブ終了後は、ツアーグッズ購入者へのサイン会あり。
サイン会に関しても事前にフライヤーでの指示があり、非常にスムーズでした。
シューイチラジオで明かしたステージ上での葛藤
2023年4月11日(火)配信のファンクラブ限定ラジオ『シューイチラジオ』では、リスナーから寄せられたライブの感想を紹介するとともに、意外な思いを吐露していました。
もともと映画館であったところをリノベーションした会場での演奏は、「なかなか難しかった」とのこと。
映画館の性質上、防音や吸音が優れており、そのせいでステージ上では音が響かず、演奏に入り込むのが難しい。自分の経験を信じて、観客には絶対に良い音で届いているはずと信じてやっていた。
会場に合った声質に変えたり、マイクの特性を鑑みてマイクに対する位置を変えたり、自分で気持ちよく聞こえるところを探したりと、経験で積み上げてきたもの最大限に発揮しながら、ステージ上で微調整を続けていたそうです。
3年半ぶりのツアー初日ということもあり、そういった「PA・音響スタッフとのやりとりや、スタッフと協力してやりやすいように導くこともまたツアーの重要事項である」ということを思い出した、とのことでした。
今回の仙台公演で照明を担当されたのは、サイトウ(東北共立)さん。
人気照明プランナーでありながら、昨年のジガーズサン・ライブもなんとか都合をつけて担当してくれた、サトルさん愛にあふれた方とのこと。
今回も、とても素敵なライティングで、会場の雰囲気を盛り上げてくださいました。
今回のデュオツアーは、各会場の雰囲気が異なるため、それぞれの会場で違った味わいの、唯一無二のステージを楽しめると思います。
サトルさん、達哉さんが、楽しみながらツアーを無事完走されるよう、応援しています。
■セットリスト
ライブアルバム『In my STUDIO』
■サトルさんによるアルバム解説ページ
■アルバム購入ページ
■『In my STUDIO』私的レビュー
以前書きました『In my STUDIO』の私的レビューです。