2023年7月15日JIGGER’S SON Live2023「ローリング&タンブリング」レポート
アーカイブ動画が見られるうちは、レポートで残さなくてもいいかな…とも思いましたが、記録として。
************************
年に1度の再会の日。
2023年7月15日、JIGGER'S SONのライブが、ライブハウス仙台darwinで行われました。
Youtubeでのライブ配信
チケットSold Outにつき、Youtubeにてライブの生配信が行われました。
まだアーカイブが見られますので、レポを読むよりもぜひ動画で!!
JIGGER’S SON Live 2023「ローリング&タンブリング」
①「ローリング&タンブリング」とは
2023年のライブタイトルは「ローリング&タンブリング」。
これは、「JIGGER'S SON」というバンド名が決定する前に、ギターの渡辺さんが「こんな名前はどう?」と提案したバンドの候補名でした。
そのことについて、メンバー4人が語っているラジオの文字起こしのサイトがあります。ちょっと長いですが、詳しく書かれていますので、どうぞ。
2001年9月13日放送「MIDNIGHT RADIO CITY」(NACK5)
今年はこのライブタイトルで、ステージで渡辺さんをたっぷりいじる予定だったとのこと。ところが…。
②ギター渡辺洋一さんリモートでの出演
渡辺さんがご病気のため、今年のステージ出演は見合わせとなりました。
一度は、延期やキャンセルが頭をよぎったというサトルさん。
しかし、サトルさんが知恵を絞り、渡辺さんを常に感じられるようなステージを演出を考えて、サトルさん、マットさん、慎也さん、そしてキーボーディスト佐藤達也さんの4人で実施すると決定しました。
***************************
ライブの12日前に、北海道の芽室町まで渡辺さんに会いにいったサトルさん。
ライブの感想
1年に1回集まってライブをするという、ジガーズサンの存在自体が奇跡的なのに、今年はさらに、渡辺さん不在のピンチを乗り越えるという難題に挑んだ、ウルトラC的な展開のライブでした。
サトルさんが渡辺さんに会いに行くというオープニングムービーから始まり、渡辺さんの昨年のライブ音源やレコーディング音源を同期しての演奏、
一度ステージに出た3人がまた戻ってわたなべパネルを運んできたり、
テレビ電話をつないで一緒に演奏したりと、不在の渡辺さんが大フィーチャーされるという、渡辺さんの魅力を例年同様、いやそれ以上に感じられた、楽しく熱い、とても素敵な夜でした。
オーディエンスも、渡辺さんの不在を一緒に乗り越えようとするように、最初から大きな声援と手拍子でもりあげ、熱が凄かった。
昨年以上に、会場が一体となって作り上げた空間だったと感じました。
もちろんバンドのプレイも素晴らしく、達哉さんのキーボードも最高でした。
なかでも「バランス」や「カルカロドンメガロドン」で見せた、
サトルさんの恍惚のギタープレイが痺れるほどかっこ良かったです。
サトルさんのステージ演出の手腕が光る、サトルさんのエンタメ力が終結したライブだったんじゃないかと思いました。
たくさんの知恵と工夫、最新技術を使って乗り越えた、今年しか味わえない奇跡的なライブとなりました。
ライブレポート
アーカイブ動画のタイムインデックスに沿っての感想です。
*******************
入場。今年もサイリウムあり。入口で観客に配られました。
渡辺洋一による前説
恒例の渡辺さんによる影アナ。通常の注意事項をアナウンスされたあと、「今回は出演できず残念です、レコーディング音源および昨年のライブ音源で参加します」とのお知らせが。
渡辺「頼んだぜ、慎也、マット、サトル、たっちゃん!!」
〜オープニングムービー「わたなべに会いに行く」
ライブの約2週間前の7月3日、サトルさんが急遽、北海道の芽室町まで渡辺さんに会い行くロードムービーからスタート。
飛行機に乗り、バスを乗り継いで、帯広駅で渡辺さんと合流!
車の運転は普通にできるらしい渡辺さんに、若干拍子抜けするサトルさん(とオーディエンス)。緑豊かな公園で、サトルさんと渡辺さんが、病気のことについてや、そのときの気持ちを語り合います。
サトルさんより渡辺さんに「分身を飛ばしてほしい」と依頼。
さて分身とは…?
オープニングSE「あなたの味方」にのって、メンバー3人登場!
しかし「あれ?何か忘れたみたい」というジェスチャー。
いったんステージをはけて、メンバー3人で渡辺さん等身大パネルを抱えて再登場! 渡辺パネルを拝むメンバー。
サポートの佐藤達哉さんも登場。
M01. メリーゴーランド
サトル「よろしくー!」とスタート…のはずが、さっそく渡辺さんの音(ギターの同期音源)が出ない。
「今日はこんな感じです」とサトルさんがギターをおろしてセッティング。パネルに向かって「お前のせいだぞ!」と一喝。
「仙台ー!」という雄たけびとともにいよいよスタート。
2番Bメロ「一緒に歌おう!」鳴り響く渡辺ギターソロの音源。サトルさんが渡辺パネルにキック!のジェスチャー。
サビの「メリーゴーランド!」というコーラスはマットさん、慎也さん、達哉さんの3人で。この曲の渡辺さんの音はレコーティング時の音源使用とのこと。
M02. 再会20
M03. 令和もやろうぜ
サトル「レコーディングの音源だと渡辺さん間違えないね。この調子でいってみよう!」
鮮やかな照明のもと、ロックなナンバーが続きます。
「令和もやろうぜ」では、「♪Ah 帰ってきたよ~3人だけで帰ってきたよ ごめんよー!」と歌詞替え。
渡辺さんのギターソロがしっかり聞こえてきます。パネルと同期音源なのに、客席から見ているとそれが気にならなくなる不思議。
〜MC「サボり」〜
オーディエンス着席。
「渡辺はサボりです」と言いつつ(笑)。
サトル「最初は中止を考えた。一瞬だけ。だけどもう、みんなこの歳だし、いちいち中止にしてたら一生できない可能性もある。その年その年できることに知恵を絞って、みんなに面白がってもらいながら、1年1年なんとかやっていきたい」。
昨年、ライブ音源を販売しようと思い(※現在まで販売はしていない)、トラックごとにレコーディングしていたそうで、その音源を使ってライブをすることを思いついたそう。
終盤に言うようなことだけど…と前置きしながら
サトル「渡辺のギタープレイにじっくり向き合った数週間だった。30年前レコーディングしたとき、渡辺さんがうまく弾けなかったこと、すごくうまく弾けたこと、いろいろ思い出した。いい時間だった」
「みんなと一緒にのりこえていくライブになればいいと思っています」。
M04. バトン
イントロはサトルさんのギターから始まり、後からクリックを合わせて演奏、および同期音源を流すという、なかなか難しいやり方を行っているそう。しかしそんなことが気にならないほどスムーズに、じっくりと聞かせます。達哉さんのピアノが楽曲に彩りを添えてくれて、引き込まれました。
M05. 素敵な日々
「歌える人一緒に歌おう!」。着席だったオーディエンスも、2番からはスタンディングで盛り上がります。ピアノがいい!達哉さんも立って演奏!ギターソロのところで「わたなべー!」とサトルさん。白熱!!
のちのシューイチラジオで、この日歌っていて一番ぐっときた曲として「素敵な日々」を挙げていました。
〜MC「水着でライブ」〜
また座る観客。
サトル「ここに辿りついたことで今日の俺は終わっている(笑)。ライブが開催できたことで俺の仕事は半分以上終わっている。満足しています」
「この後みんなが想像していないことを僕らやるから。水着でライブとか」
観客「見たいー!」
サトル「見たい(笑)?見たいよね」
達哉さんの紹介。
サトル「昨年は達哉さんがお休みだったので、達哉さんの音源に合わせてやった。なかなか全員そろわないね」
M06. 何もしてあげない
M07. 告白
「何もしてあげない」「告白」ともに、達哉さんのピアノが曲の雰囲気をぐっと盛り上げてくれます。オーディエンスが集中して歌の世界に引き込まれていくのが感じられました。マットさんのコーラスも素敵。
サトルさんに「みんな打ちひしがれたの?」と聞かれるくらい、曲の余韻にジーンと浸っていたオーディエンス。
〜MC「渡辺とテレビ電話」〜
アコースティックコーナー。ステージに椅子が出され、サトルさん、マットさん、慎也さんがステージ前方に出てきて着席。
サトル「MCのときの渡辺がほしいね」。
渡辺さんパネル2体目が登場(笑)。MCしている渡辺さんパネルに交換されました。
「そろそろ本物に会いたくない?」と渡辺さんにLINEのテレビ電話。ステージバックの大スクリーンに渡辺さんが登場します。
慎也「どーもどーも」
渡辺「この度はご迷惑をおかけしまして」
慎也「ほんとですよ(笑)」
体調はちょっとずつ快復に向かっているとのこと。
テレビ電話だとタイムラグがあるため一緒に演奏が難しい。しかし渡辺さんに、3人が合わせて演奏するということは可能。ということで、画面で指揮をする渡辺さんに合わせて演奏することに。
M08. わたなべのうた2023
2023年用の歌詞で披露された「わたなべの歌2023」。1回目、渡辺さんのカズー演奏で会場大爆笑。カズー演奏でさっそく指揮を忘れてしまいやり直し。
2回目、オーディエンスの「わったなべさーん」からスタート。
無事成功!渡辺さんはいったんLINE電話より退出。
〜MC「メンバー紹介」〜
「1年何してました?」と観客にお尋ね。
JIGGER'S SONの中で渡辺さんが一番年上。年々渡辺さんを一番大事にしているというサトルさん。
メンバー紹介。
マット「こんばんは」 慎也「ようこそー」これだけ(笑)。
2023年6月に青森で行われたHOMETOWN MUSIC LIFEでも、サトルバンドとして出演アーティストのバッキングを務めたマットさんと慎也さん。
サトル「サトルバンドでドラム慎也、ベースがマット、ギターが山口君で演奏した。だけど、たった1人ギターが違うだけでやっぱりJIGGER'S SONじゃない。気持ちが違う。だから渡辺さんと4人でステージに立つことが本当に楽しみだった。残念だけど、バンドってそういうものなんだと再確認した年だった」
M09. オートバイに乗って
〜MC「昌人語る」〜
サトルさんギターチューニング中にマットさんがMC。
マット「HOMETOWN MUSIC LIFEは30曲くらい覚えて大変だった。それに比べて今日は気持ちが楽。楽しいだけ」
3人だけで演奏できる曲をと、アコースティックスタイルで「オートバイに乗って」。マットさんの高音のコーラスとサビの掛け合いが切なく、美しい青春の情景が浮かびます。引き込まれじっくり聞き入りました。
M10. 銀河県道999
M11. バンジー
達哉さんも登場し、ここからまたバンド演奏に。渡辺パネルも演奏用にチェンジ。2曲とも、渡辺さんギターは「SOUND of SURPRISE」(2017)レコーディングの音源を使っての演奏です。
サビの「♪県道スリーナイン~」はオーディエンスも合唱!達哉さんのオルガンの音色が楽しい。
続いて「バンジー」。これぞ大人のバンド。アダルトな雰囲気で引き付けます。赤の照明が妖艶でした。
M12. 君が降らせた雨
M13. 缶ビール
イントロのベースが印象的な「君が降らせた雨」。今年は達哉さんのキーボードの音色が彩りを添えてくれました。続く「缶ビール」。サトルさんが弾き語りでも演奏していますが、やっぱりバンド演奏の「缶ビール」が一番いいなぁ。「♪ふたり分の涙が 溶けて…」はオーディエンスが歌います。引き込まれました。
〜MC「まさかの3体目」〜
「渡辺の困ったところも見たくなってきたね」とのサトルさんの声に、スタッフ(田賀さん)が持ってきたまさかのパネル3体目! 渡辺さんの困り顔(痛い顔)パネルが登場。オープニングムービーで芽室町に行った際にサトルさんが撮影した写真使用とのこと。
サトル「今日は僕らの特殊な状況に付き合ってくれてどうもありがとう。みんなも思うようにいかないことあるかもしれないけど、こうやって1回1回のライブを乗り越えていって、知らないうちにJIGGER'S SONが何十年も演奏できているっていう状況になればいいと思います。これからもご協力よろしくお願いします!」
M14. バランス
「なべ!」というサトルさんの雄たけびで渡辺さんのギターリフ(同期音源)から始まる「バランス」。サトルさんがステージ前方にでて弾くエレキギターソロ、恍惚のプレイがかっこ良かった!
M15. また明日
「これからもJIGGER'S SONよろしくお願いします!最後の曲です」
サトルさんが右手を上げて歌い、観客も左右にサイリウムを振る、きれい。ときおり目をつぶって心を込めて歌う歌声が切ない。渡辺さんとサトルさんのツインギターのソロは、渡辺さんのパネルを指さして。スタンドからマイクをとってハンドマイクでステージギリギリ前まできて歌うサトルさん。メンバーもオーディエンスもこの時間が終わってほしくない、名残惜しい時間でした。
〜アンコール〜
グッズのJIGGER'S SON Tシャツを着て登場。サトルさん黒、マットさん達也さん黄色、慎也さん白。Tシャツの数字について、再結成12年目、デビュー32年目、結成36年目を意味しています。
ここで、渡辺パネルが3体勢ぞろい。
にぎやかなステージで行われたアンコール。
サトル「渡辺が多すぎる!」
M16. 世界の終わり
オーディエンスとともに大合唱。サイリウムをふって大盛り上がり。「♪海に続く空も 仙台の夜景も~」と歌ってくれました。うれしい。勢いそのまま次の曲へ!
M17. Carcharodon Megalodon
サトルさんがブルースハープを演奏するところ、今年はサトルさんの恍惚でセクシーなギタープレイ炸裂!その理由は…(後述)。
〜MC「渡辺とテレビ電話〜最後のご挨拶」〜
サトル「ありがとう!…なんとかやった、と思う」
渡辺さんに最後のテレビ電話。バックスクリーンに渡辺さん登場。
サトル「最後の曲になったよ。渡辺さんも一緒に歌って」
スクリーンの渡辺さんと、4人そろったJIGGER'S SONで最後の演奏です。
サトル「来年は2度とこういうやり方しない。来年同じことになったら担架に乗せて無理やり連れてくる!」
メンバー最後のご挨拶。
マット「今日はありがとうございました。こういう形になりましたけど、これはこれで貴重なライブになったんじゃないかと思います。来年は4人でやりますのでよろしくお願いします!」
慎也「1年に1回のJIGGER'S SONなので。また来年も元気で会いたいもんですね。僕らもそうですけど皆さんも元気で1年間過ごしましょう~」
達哉「渡辺さん!ついこの間、電車で芽室を通りました。すごい会いたかったんですけど、行くのやめました。どうぞお体お大事にしてください」
サトル「満員の会場のみんなが渡辺さんのこと思ってますから」
渡辺さん「今日はいろいろ大変だったと思います。しっかり見させてもらいました。来年はそこで、みんなに会いたいと思います。」
M18. 大丈夫
バックスクリーンに映る渡辺さんも一緒に歌います。
「♪離れていてもそばにいても君を見てる…」という歌詞が、今日のこの日の渡辺さんに向けられているような歌詞。
「大丈夫」はサトルさんソロでも何度も歌っていますが、バンドサウンドで、JIGGER'S SONのオリジナル音源で聴けるのは1年にこの機会だけ…と思うと、愛おしさが増します。
「JIGGER'S SONでした!どうもありがとう!」
〜エンディングMC〜撮影タイム〜
「わったなべさーん」とエンディングSEは「わたなべの歌」。
サトル「付き合ってくれてありがとう!」
撮影OKタイムがあり、渡辺さんパネル3体とメンバーが手をつないでいるところを一緒に撮影。渡辺パネルが持ち上がる(笑)。
サトル「この曲、最後にかける曲じゃないね、寂しい感じで(笑)、今回はこういうライブだったってことで!ありがとうございました!」
会場出口には渡辺さんのパネルがおかれ、観客は撮影OKでした。
***********************
渡辺さんのギター音源準備、オープニングムービー作成、そのほか諸々の準備のため、今年も睡眠時間を削って、ギリギリまでがんばったサトルさん。
お疲れさまでした。
ステージでサトルさんが仰っていた
「ジガーズサンがこのまま止まってしまうかもしれない危機的状況だった」という言葉に、ドキッとしました。
2012年の再結成から今までバンド活動を続けてきたこと、本当にすごいことを続けているのだと、いろいろな思いがこみ上げてきました。
改めて、坂本サトルファンは、毎回毎回、普通のアーティストのファンだったら体験できないような、すごいものを見せていただいているな、と思いました。
日本音楽史のメインストリームとは一線を画す、独創的で唯一無二な存在。
坂本サトルのファンでいるとわくわくしておもしろい!
そんな坂本サトルという稀有なミュージシャンが、ミュージックシーンに残していく爪痕を、ずっと追いかけていきたい!と思いました。
■セットリスト
ラジオのトークより
JIGGER'S SONライブ終了後のラジオにて明かされたライブのあれこれ。
ラジオに送った質問から。
2023年7月20日放送「坂本サトルミリオンレディオ」(エフエム青森)より
サトル「これはですね…忘れたんです。ハーモニカを。曲がはじまった瞬間に思い出しました」
リハーサル時、ハープを吹いた後、床に投げた時に変なところにいってしまい、片付けるときにパソコンバッグにしまって、そのまま…という状況だったのだそう。「ハーモニカ忘れちゃった!」と笑いにするか直前まで迷っていたものの、思い切ってフリーのギターソロにしたのだそう。
サトル「みんなこれね、勘違いしている方もいらっしゃると思うんですが…渡辺は、歌詞を考える能力、ゼロです!」
完璧にサトルさんが書いたそうです。
これまでのライブの渡辺さんのセリフも、全部サトルさんが考えているとのこと。渡辺さんのことを知り尽くしているサトルさんならではの回答でした。
「渡辺のことを泣かそうと思って書いてるからね!」