2023年10月6日・7日伊東洋平「静岡と東北 きずなコンサート」@清水マリナート
10月6日(金)清水マリナート小ホール
仙台市在住で、宮城県を中心に活躍するシンガーソングライター・伊東洋平さん。
静岡県静岡市清水区から、洋平さんを熱烈に応援する望月先生との出会いをきっかけに、2017年よりほぼ毎年、静岡市の清水区でライブを開催されています(※2020年のみコロナ禍のためお休み)。
今年も、10月6日(金)清水マリナート小ホール、10月7日(土)マリナートリハーサル室にて、2daysのコンサートが行われました。
望月先生と洋平さんの出会い、ライブ開催の経緯については、昨年のライブレポをご参照ください。
望月先生のご挨拶
洋平さんのコンサートは、”音楽で街を元気にする”という志で活動を続ける「清水うたい隊」が主催であり、その主宰を務めるのが望月先生とその奥様です。
望月先生は長年、小学校の教師、教頭先生を務められ,数年前に退職されました。
今回、望月先生による開幕のご挨拶で、私がとても心に残ったお話がありました。以下、望月先生のご挨拶から抜粋します。
望月先生は2013年から毎年、岩手県山田町や、仙台、気仙沼など東北の被災地を訪れ、「歌で元気を届ける」というボランティア活動を続けていらっしゃいます。
震災から10年以上たった今なお、活動を継続され、被災地に思いを寄せられているのは、こういう思いがあったからなのだと、胸にこみあげてくるものがありました。
被災地でのボランティア活動をきっかけとして、仙台で伊東洋平さんに出会い、洋平さんの歌と人間性に惚れ込み、清水でのホールコンサートを成功させるまでになった望月先生。
不思議な縁と、望月先生の熱意、歌の力を信じる心に、胸が熱くなりました。
第1部
まずはオープニングセレモニーとして、清水区のゆるキャラ「シズラ」が登場!
洋平さんや、「清水うたい隊」から2023年5月に誕生した静岡市出身の大学生4人組アイドルグループ「Orange Leaf(オレンジリーフ)」とのフォトセッションがありました。
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フォトセッションのあとは、静岡を拠点に活動する3組が登場。
1人目は、「清水うたい隊」のボランティア活動に過去3回参加されたという鳥羽達也さん。ピアノの生伴奏で、「見上げてごらん空の星を」(坂本九)、「糸」(中島みゆき)の2曲をマイクなしで独唱しました。
2人目は、清水を拠点に活動するラッパーNOIZHOUND(ノイズハンド)さん。「スタンド・バイ・ミー」をサンプリングをしたトラックにのせてラップを披露するなど、幅広い層も楽しめる曲で会場を盛り上げました。
そして3組目、Orange Leafが登場。
今年5月に活動を始めたばかりの4人組ですが、「Ready Go!」のプロモーションビデオには、総勢704名の清水の皆さんが登場していたり、清水のイベントに数多く出演するなど、早くも話題を振りまいています。
この日は、「Ready Go!」と、清水エスパルス応援ソングとして制作された「Victory」の2曲を披露。
「Ready GO!」「Victory」はともに藤井理央さんが作曲・編曲。
ダンスパフォーマンスもかわいらしい、元気いっぱいの曲に、観客も笑顔になりました。
第2部(伊東洋平さんライブ)
第2部、伊東洋平さんのステージ。
この日のサポートメンバーは、ピアノ藤井理央さん、Eギター芳賀義彦さん(ヨティさん)、パーカッション安部優莉奈(ゆりな)さん。
ステージに登場したメンバーと洋平さんは、円陣を組み「エイ!」と気合の咆哮をあげ、「Let set jump」からライブがスタート。
明るく疾走感のある洋平さんらしいナンバーで、オープニングを飾ります。
ヨティさんのエレキギターの音色が楽曲にアクセントを与え、いつもとは違った雰囲気でとても良かったです。
洋平さんは「声をきかせて!」と、観客に「♪ララララ」「♪ヘヘイヘイ」とコール&レスポンスを煽ったり、2曲目「ピース」ではサビのピースを一緒に歌ったりピースサインの振り付けとしたりと、冒頭からオーディエンスとの一体感を作り上げていました。
清水マリナート小ホールでのライブは、昨年に引き続き2回目。
MCでは、「昨年も来た人」「初めて来た人」を尋ねたところ、半々くらいの割合で、昨年のリピーターと新しいオーディエンスが入り混じる会場でしたが、洋平さんの清水でのライブが定着していることを感じました。
続いて、「皆さんの中にある”ありがとう”という気持ちを感じながら聴いてくれたら」と歌った「ありがとう」。
洋平さんがドイツに旅をした際、海外の街並みや街の歴史からインスピレーションを受けて制作したという「星空のオーケストラ」は、理央さんのグランドピアノで奏でる旋律が美しく、ヨティさんのギターもやさしく、ゆりなさんのカホンやウィンドチャイム、シェイカーで作り上げるサウンドがとてもロマンティックで、素敵な雰囲気でした。
ドライブしているような流れるメロディが心地良い、秋の風景を描いた「Sunny」と3曲を歌い、会場は温かな雰囲気に包まれました。
サポートメンバーが退場し、洋平さん1人の弾き語りタイムに。
「望月先生と出会えた感謝の歌」として、「♪出会えた奇跡があるからこそ」と、「希望の扉」を望月先生に贈りました。
続く「ブラシカ」も弾き語りで、明るく力強く歌い上げます。
この日のライブで、白眉だったのが「花は咲く」でした。
2011年3月11日、当時はイケメン’ズというデュオで音楽活動を行っていた洋平さん。震災当日は、イケメン’ズのライブ出演のため大阪におり、地震のことをニュースを聞いてとても驚き、高速で仙台へ向かい、その日の夜になんとかたどり着けたのが、静岡だったそうです。
その晩は、「静岡のホテルで眠れない一夜を明かした。翌朝の空がよく晴れていたことを覚えている」とお話されました。
それから時が経ち、望月先生と出会い、静岡で「東日本大震災」について真剣に耳を傾け、向き合ってくれている人とたくさん出会ったという洋平さん。
「皆さんとこうして笑顔で生きていることに感謝」「心をこめて歌いたい」と、マイクから1mほど離れた場所に立ち、ギター弾き語りの生声で「花は咲く」をフルコーラス歌い上げ、ホールに歌声を響かせました。
マイクがない分、観客も歌声に集中して引き込まれるように聞き入り、歌い終わった後の拍手がとても大きく、鳴りやみませんでした。
「花は咲く」はイケメン’ズとしてボーカルに参加しており、挨拶代わりのカバー曲として、今までも何度か静岡で歌っていました。
しかし今年の歌声は、洋平さんの歌、洋平さんの「花は咲く」になっていると感じました。とても素晴らしかったです。
サポートメンバーが再登場し、明るさと希望に包まれた「リボン」を演奏。洋平さんは自由にのびのびと、ステージを大きく動き回りながらギターを奏でます。「♪君に出会えてよかった だから清水に来れた~」というご当地フレーズがうれしい。理央さんの心華やぐピアノソロ、ヨティさんのソリッドなギターが冴え、会場全体が明るさに満ちていきます。
続く「イモ天サンデー」では観客と一緒にダンス。一体感に包まれたまま「The game is still on」へ。洋平さんの熱唱、オーディエンスの頭上でのハンドクラップ、理央さんの超絶技巧ピアノソロ、ヨティさんのキレキレのギターが会場に熱気を運びます。「♪限界なんてまだまだ」というフレーズが刺さる。
洋平さんから「命燃やしてます!」というセリフが飛び出しました。
「生きていく中で、思った通りにならないことや伝えきれないことが、誰にもあると思う。そんな思いを歌にして、音にして、みんなの気持ちと重なっていけたら」と言って披露した新曲「あいのうた」。メロディアスで情熱的なラブソング。ヨティさんのギターソロがパッションあふれて最高でした。
ラストの曲、「繰り返していくから新しい出会いがある。新しい感じ方がある。そう思ってみんなと生きていきたい」と思いを述べ、「Refrain!」を歌い、ステージを終えました。
アンコールでは、メンバー全員がYoheiTシャツを着て登場。
洋平さんが観客全員とじゃんけんをして、最後まで勝ち残った人に源氏パイを配るというコーナーがありました(源氏パイは、後述する洋平コラボメニューを提供する「宮本商店」さんから頂いたもの)。
毎年、洋平さんがその年の集大成として挑む大きなライブが、来年1月28日に仙台PITで行われることを発表し、
「静岡からも来れたらぜひ。望月先生の大型バスに乗ってきてほしい」
とお話されました。(望月先生は一昨年の仙台サンプラザホール、昨年の電力ホールと、大型バスをチャーターし仙台までかけつけたのです)
変わっていくもの、変わらないものを歌ったという「TKDB」では、メンバーそれぞれのソロがあり、味わい深く、歌に深みを増しているようでした。オーラス、「また会えますように!」とあいさつをして、「TSUBASA」を力強く歌い上げ、で1日目の幕を閉じました。
■1日目セットリスト
10月7日(土)マリナート・リハーサル室
翌日10月7日(土)のライブ会場は、マリナートのリハーサル室。
リハーサル室という名前ですが、明るく広々とした気持ちの良い会場です。
ただし音響設備が備わっていないため、音響機材は望月先生の自前、オペレーターも望月先生のお知り合いの方にご依頼するなど、手作りで開催するライブとなります。
今年は2日目のチケットが100枚近く申し込みがあったとのことで、観客の椅子がギュッと密集した、熱気ある空間となりました。
望月先生の挨拶のあと、洋平さんおひとりで登場。
昨日の疲労がなかなか抜けなくて…と若干お疲れが見えた洋平さんでしたが、観客との距離も近いあたたかな空間で、リラックスしたムードで笑顔で歌っていました。
大学時代、自分が何をしたらいいかわからなかったとき、ギターを持って歌い始めた。そんな22歳ごろに、当時の友達のことを思って作ったという「風に吹かれて」を弾き語りで歌ったのち、サポートメンバーが登場。
本日のサポートメンバーは、ピアノ藤井理央さん、パーカッション安部優莉奈(ゆりな)さんのおふたり。リハーサル室とはいえ、さすが楽器の街・浜松を擁する静岡。ピアノはグランドピアノを置いています。
「リボン」「月が微笑ってた」「星の屋根」と、理央さんとゆりなさん、洋平さん3人での間奏のセッションも楽しそうでした。
ピアノ、カホン、アコギのアコースティック編成で奏でる「ミルクキャンディ」は、都会的で大人っぽい雰囲気。とても素敵なアレンジでした。個人的に「ミルクキャンディ」は大好きな曲で、胸がキュンとします。
秋の情景が今の季節にぴったりな「Sunny」と、心地よい曲が続きます。
サポートメンバーがいったん退場し、洋平さんおひとりのMCタイム。
飲食店とコラボした「よーへー丼」を洋平さんも食べに行ったというお話や、「音楽でみんなの心に触れる時間を過ぎしていきたい」「音楽をキャッチしてくれる気持ちがうれしい」と、ライブにかける思いをお話されました。
「あのとき、ああできていれば良かったという後悔があって作った曲」と紹介し、弾き語りで「あかり」を披露。
ギターはささやかにつま弾きながら、マイクから離れ、ほぼ生声で、歌詞のメッセージをしっかり伝えるように歌っていました。
サポートメンバーが入場し、3人で演奏したインスト曲「暁(あかつき)」。今回の演奏は、洋平さんのギターのほか、理央さんのピアノ、ゆりなさんのジャンベなどの打楽器も加わり、穏やかな雰囲気から徐々に激しさを帯び、胸の奥に深く熱く入り込むような演奏に感じました。洋平さんにとって挑戦だという「暁」の演奏は、セッションメンバーによって毎回印象が変わり、新鮮な余韻を残します。
後半は、「Door」「君に逢いに行く」と、疾走感ある前向きなエネルギーに満ちた曲が続きます。
「ブラシカ」は、前日はギター1本弾き語りでしたが、この日は理央さんの奏でるピアノの旋律や、ゆりなさんのカホンのリズムとコーラスが加わり、より明るく背中を押してくれる印象でした。
「大空Refresh!」では、サビで手を振りながら指を突き上げ1直線ポーズ。
「みんなの笑顔キラキラだったよ!」と洋平さんのセリフの通り、一体感のある楽しい時間でした。
地球で暮らす動植物の命の尊さ、つながりをメッセージに込めた「成分」は、オーディエンスが楽曲に聞き入り、不思議な雰囲気に包まれました。
最後の曲として、またみんなと一緒に会えるようにと「Refrain!」を歌って、いったん退場。
アンコールでは、「望月先生と出会えたことなど、人生を積み重ねることで、響きあっていくことがある。そういうことに感謝を込めて歌いながら、命を燃やし続けていきたい」というメッセージを込めて、マイクなしで「HERO」歌い上げました。
オーラスの「TSUBASA」では、オーディエンスみんなでサビを歌いながら、大きな拍手に包まれて終演しました。
洋平さんがライブ中に仰っていた
「仙台のインディーズシーンで活動しているミュージシャンで、静岡・清水でこんな大勢の前で歌えるアーティストなんてどこにもいない」というコメントが印象的でした。
洋平さんと清水の、特別で不思議なつながりが強く感じられる、幸せなライブ空間。
2日間とも、忘れられない時間となりました。
■2日目セットリスト
清水の飲食店とのコラボ企画
今年は、清水区の2店舗の飲食店とコラボレートするなど、望月先生の手腕が光る企画が登場しました。ファンの方もたくさん訪れたようです。
6日マリナートの会場に飾られていた写真
小ホールには、望月先生と洋平さんが清水で開催してきたライブの記録や、「清水うたい隊」の活動記録の写真が展示されていました。
藤井理央さんのブログ
清水での公演のことを綴った理央さんのブログ。会場の写真もたくさん掲載され、会場の雰囲気が伝わります。
Orange Leaf「Ready Go!」プロモーションビデオ
清水の皆さん総勢704名が一緒に踊っています。
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