【読書記録】実践的ライター入門
松枝 史明 (著)
この本を手にとったきっかけ
面談をする機会が多く、話を聞いて纏めるにあたり
相手の言葉を「最大限にのこしつつ」わかりやすい文章にしたいと、文章を書く関連の本をいくつか手に取りました。そのうちの1冊です。
要点
ライター取材の心得
・できるだけ聞き役に徹する
・質問は想定読者レベルで・・・
・取材内容に広がりを持たせる
→テーマに沿った効率的な取材ではなく、できるだけ話を脱線させて、いろいろな角度から語ってもらうことです
専門用語や業界用語などは、「どういう意味か」を正して、ライター自身が読者レベルの理解をしておく必要があります
ただ、書き出しで一つだけ守った方がよい事があります。それは「できるだけ短い文章にする」ことです。長い文章だと、後が続けにくくなる。短い書き出しのほうが、先へ書き進めやすいし、読者もすっと入っていける。この二つの効用を考えたら、短いほうが断然有利なことがおわかりになるはずです。
「である調」はきびきびしてスピード感があり、威勢がよく、明快率直な印象、「ですます調」のほうは、丁寧でやさしく、堅苦しくない感じがします。
むしろ、いま気をつけなければならないのは、男性でも女性でも、へたに「である調」で書くと、エラそうな印象を与えてしまうことです。
それよりも、「ですます調」を選択した時に、一つ知っておくべき大切なことがあります。それは几帳面に全ての文章を「です」「ます」にしないことです。かりに一つのパラグラフに五行あるとき、最初の一行と最後の一行が「ですます調」なら、中間は「である」でも「だ」でもかまわない。そのほうが読みやすくなります。
いくら「ですます調」であっても、ときどき「である調」を交ぜるほうが、「ですます調」本来の良さが生かせると思います。「ですます調」で書くとき、全ての文末を「です」「ます」にする必要はさらさらありません。
読まれる文章は漢字と仮名の配分がうまい
漢字を使いすぎないこと。漢字が多いと字がびっしり詰まった感じになって読みづらい。
文章内で漢字と仮名を適当に散らばらせること。
重要でない漢字は仮名にする。
漢字率が三十五パーセントを超えると、視覚的に「感じが多い」と感じる。現代の文章では二十五パーセントくらいが適当だと思います。どうしても漢字が多くなってしまう文章の時は、「私」「今」「思う」「考える」のように漢字でも平仮名でも通用する言葉は、「わたくし」「いま」「おもう」「かんがえる」にして、仮名を増やしたらよいと思います。
ぜひ貫いてほしい「一文一意主義」
文章を書くとき、原則として、一つの文章では一つのことしか言わない、と決めることです。こうすると、文章の通りがすごくよくなる。また、書くほうも書きやすくなります。
なぜ、長たらしい文章ができあがるか。大きな原因の一つは「が」の使い方にあります。
わかりやすい文章のためには、できるだけ「が」を使わないようにすることです。
一文一意を目指すなら、安易に「が」を使わないようにすることです。
「よい文章」とは「達意の文章」のこと
文章表現の目的は、自分の意見や考えを伝えることですから、伝わらない文章はよい文章とは言えない。どんな目的で書かれた文章であっても、「伝達」という要素を抜きにしては考えられません。
ハイテンションで書く文章は、酔っぱらったような文章になる
文章からはできるだけ修飾語を少なくすることが大切です。
文章について考えるとき、書き手側の立場だけでなく、読み手側にも立って考えてみる必要がある。自分が読み手のとき感じることを、書き手になったとき実践してみるという姿勢が大切。
一番いいのは、書き上げた原稿を読み直すとき、著者としてではなく、一読者になって読んでみること。それも思い切りケチをつけるつもりで読んでみるといい。書いている時気付かなかったアラが見えてきます。
ユーモアは文章の質を引き上げる
内容がつらいものであっても、そこに笑いを見つけられるのが人間であり、笑いは人を救う効果のあることがわかります。
ユーモアセンスを磨くことは、そのまま文章力を磨くことにつながる。笑いの要素を全く含まない魅力的な文章は存在しないといってもよいでしょう。
文章表現上は感動を人間系と自然系の二つに分けて考えたらよい
人間系の感動を綴るときは、感情移入して書く、自然系の感動はむしろ淡々と写実的な表現に徹して感情移入はしないほうが、結果的には感動させる文章が書けるように思います。
人間系の感動を生み出すコツは、恥ずかしがらないで自分の気持ちを素直に出すこと。陳腐であれ、紋切り型であれ、自分の気持ちを素直に出せば、読み手に気持ちが伝わる可能性は高くなります。決め手になるような言葉は意外と平凡だということ。
感動的な文章は上手に書くとだめ。
読みやすい文章を書く秘訣はリズム
① センテンスを短くする
② 平易で明快な表現を心がける
③ 句読点に配慮し、適切な改行を行う
④ 見た目が美しい文章にする
一文一意を貫くよい方法は、一つのセンテンスには主語が一つと決めること。主語を一つにすれば、文章構造が複雑になりようがない。自然に文章は短くなります。短い文章で言い表そうとすると、言葉を選ぶようになる。少しでも適切な言葉を使いたい。とういう思いが文章を簡潔・明解へと導いてくれるのです。
句点も読店も「打ちすぎる」よりも「やや少なめ」のほうが、文章としての品位は保てる。
共感を得たいときは控えめに表現する
読者の多くは共感したがっている。そういう人たちは、書かれたものを「そう、そう、」とうなずきながら読んで、書かれていないことまで勝手に補完しながら、自分で納得していく。その余地を与えてくれるのが控えめな文章なのです。
こちらの本心は自分の考え方や意見に賛同してもらうことですが、控えめに上手に表現すると、読み手のほうはこう考える。「ああ、私の考えていることと同じだ」控えめな表現は幅があるので、そうなる可能性が大きいのです。
文章を書く上で一番大切なものが何かは、人によって異なるのでしょうが、私は「喚起力である」と思っています。読んで退屈する文章と生き生きした文章の差は喚起力の問題といっていい。
独学で文章の書き方を学ぶとき、よい文章を読むのが一番です。文章を書くのはアウトプット。アウトプットはインプットの中身によります。よい文章を読めば読むほど、インプットが増えて文章センスは磨かれるのです。
感想
聞き役に徹するや短い文章が良いなど分かりきったことが多かったのですが、やはり分かっているのと、実際にやっているのは雲泥の差があります。また文章を書く上で「大切なものは喚起力である」とか、「ユーモアは文章の質を上げる」というところは興味深かったです。だからお笑いの又吉は売れたのか?w(彼の本は一度も読んでおりませんw)あとは脱線はウエルカムですね。そこに相手の本音が隠れていることも多々あるので。脱線するようにあえてもっていくこともあります^^
個人的には相手のそのままの表現をなるべく生かすというところは、心がけています。例えば、「そう思うねん」と言われたらそのまま表現したいです。「そう思っています」にしてしまうとその方の生の声が本当のニュアンスで伝わらないと思うからです
もともと文章における漢字と仮名のバランスに興味があり、この本によって漢字率が三十五パーセントを超えると、視覚的に「感じが多い」と感じる。現代の文章では二十五パーセントくらいが適当だと思います。どうしても漢字が多くなってしまう文章の時は、「私」「今」「思う」「考える」のように漢字でも平仮名でも通用する言葉は、「わたくし」「いま」「おもう」「かんがえる」にして、仮名を増やしたらよいと思います。ということが分かり、参考になりました
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