19歳の質問「マメコーをはじめたきっかけは?」②
前回の続きです。
バイブル:マイパブリックとグランドレベル
湖南市での活動のバイブルとなった本があります。田中元子さんの「マイパブリックとグランドレベル」です。
2017年12月に発売されたこちらの本。販売とほぼ同時に購入して読みました。そして僕が湖南市に着任したのが2018年1月。片腕に携えて協力隊生活が始まりました。
マイパブリックとグランドレベルについては、ぜひとも本を読んでもらいたいので、超簡単に説明します。
マイパブリックは、その名の通り、自分で公共空間をつくることです。一例ですが、著者の田中元子さんは、無料の珈琲屋台を街中に出して、コーヒーを無料で振る舞うことで、その場に「誰でもサービスを享受できる=公共」空間をつくったりしています。
グランドレベルもその名の通り、「地上階」のことを指していて、まちづくりに於いて建物の1階は重要だぞ、という話です。海外の観光都市などでは、ビルの1階にはビルの受付ではなく、テナント(お店)にすることで街の様子が賑わって見えたり、しかもそのお店がテラス席なんかを用意すれば、建物(私物)と道路(公共)がなだらかに交わっていいよね、というものです。
バイブルと言っていながら、記憶が曖昧です。ぜひみなさんも読んでみてください。
2階の事務所
1階の重要性になるほど!と感銘を受けていたので、協力隊の事務所探しも1階の物件を探していました。しかし、なかなか条件の良いところが見つからず、事務所探しも数ヶ月かかった記憶があります。その間、僕らは駅前にあり、市役所からも近いコワーキングスペース(今プラス)を拠点として活動をしていました。
商店街のような人が歩く通りもほとんどない湖南市。そんなときにコワーキングスペースの2階の物件が空き、コワーキングスペースとのダブル利用も便利だったのと、駅前ロータリーに面していることもあり、遠方からの来客対応もしやすそうで、そこを借りました。
そして事務所としての利用が始まったのですが、やはり、建物の2階と1階ではまちへの開き方が全然違うなぁと実感。2階ではフラッと立ち寄ることができず、まちづくり拠点の1つになることを考えると、1階への思いは強くなりました。
無料の駄菓子屋
悶々とするなかで、バイブルを参考に始めたのが「無料の駄菓子屋」です。
コワーキングスペースの軒先を借りて、駄菓子を無料で配りはじめました。折りたたみの小さい机の上に、地元の駄菓子屋で買ったお菓子を並べ、「駄菓子・無料」の手書きの看板を設置。毎週木曜日14-17時で営業をはじめました。
地域の人がどんな反応をするのかを見たかったので、こちらから声をかけることはせず、ひたすら待つのです。
犬の散歩中のおじいさん、下校途中の小学生、高校生、コワーキングスペースの利用者などと話すきっかけになりました。
駄菓子ということもあり、小学生の友だちがどんどん増えて、途中からは店長をやってくれる小学生も出てきました。
小学校の先生に怒られたこともありましたが、およそ1年半、コロナの前まで続けました。
新聞に掲載いただいたこともあり、大津から来てくれた人もいました。
「駄菓子を無料で配りたいんだったら、夏休みのラジオ体操で配ってくれてもいいぞ」みたいなトンチンカンなことを自治会から言われたこともありました。
途中、無料の駄菓子屋が楽しかったので、朝に無料のコーヒー屋さんもやりました。
「マイパブリックとグランドレベル」の実践、実験。これがおもしろかったので、自分の場所がほしいと思うようになり、場所探しをやんわりとはじめました。