松本麗華さんのお話を聞いたときのこと

地下鉄サリン事件。日本中を震撼させたその事件は、2018年のオウム真理教幹部死刑執行にて、再び話題になった。松本智津夫は結局、事件の動機や詳細を語らぬまま死刑が執行された。

以前、松本智津夫の娘 松本麗華さんのお話を聞く機会があった。たまたま職場の近くで講演会をするという案内を見たので行ってみた。

私はもともと麗華さんのツイッターをフォローしていて麗華さん本人が綴る文章を見て、今までメディアから聞かされてきたことと印象がちょっと違う、と感じていた。

自分は自分の意志でオウム真理教に所属したことは一度もないということ

オウム真理教が解体した後も何度も学校への入学や就職を断られ、元信者に勉強を教えてもらっていたこと

自分の家族がしたことについて、自分は何ができるだろうと考えていること

メディアからの情報はさんざん見てきた。今度はぜひ、麗華さんの口から直接お話を聞いてみたい、と思った。



講演会に行ってみると明らかに麗華さんを好意的に思っていない人たちも一定数いて、とても緊張感のある空気だった。

麗華さんが「何度も入学を断られた」という話をすると

「被害者の人権を侵害しておいて、自分の人権は主張するのか!」

とヤジを飛ばす人もいた。質問と称して、気に食わない返答があると暴力をふるおうとする人もいた。



いいとか悪いとか、抱く感情は人それぞれ。何を信じるかも人それぞれ。だけど、ものごとを多角的に見ることは怠ってはいけないと思う。自分が損するだけなら勝手にして、だけど、それによって余計な傷を負う人がいる。

本当のこと、信じられることは何なのか。「〇〇が言ってたから」という理由ではなく、自分で確かめて、考えて、判断したい。情報は玉石混淆だが、だれでも声をあげられるネットが普及したからこそ、今まで見えなかった情報が見えるようになった。麗華さん自身が言葉を綴るツイッターもそのひとつだ。

別に私は誰を擁護するという気持ちはないけれど、麗華さんの講演を聞いて、そんなことを強く感じた。



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