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痛い!!

金曜日のある日

午前中から「耳が痛い!」「頭が痛い!」と指伝話で訴える娘。

マスクの紐かな?
車椅子の座り心地が悪いかな?
といつも通り、先生たちとあれこれ痛みの元を探すものの、

この日は、「耳が痛い!頭が痛い!耳が痛い!!」と繰り返し訴える。


ちょうど午後から、定期受診の日だったので学校を早退。


病院へ向かう車中でも、痛みを訴え続けていた。

主治医へ報告するも、残念ながら…
「耳が痛いくらいだと、ここの耳鼻科へはまわせない」と言われてしまった。

私も私で、ここの耳鼻科には期待していないので、強くは出なかった。

なぜなら、
「まめちゃんのような子は、どうせ中耳炎を繰り返すから、そのまま放っておけ」と言われるから。
なんなら、1年に一回の診察日に、耳を覗いたら中耳炎なりかけでも、↑が理由で、こちらが聞かなければ、その事実を伝えてこない。

と、いうことを主治医へ伝えたら、
申し訳なさそうに、我が家の近所で、土曜日もやっているクリニックをその場で探してくださった。
(でもそこは、以前私がかかったことのある、"薬は出さない主義のドクター"なので、気が進まなかった。)

夜になると、痛みの訴えが激しくなり、
泣きながら、振戦が止まらなくなった。

まずは振戦をとめるべく、いつもの頓用を1剤、2剤と使うも効果が出ない。

主治医が、申し訳なさそうに、自分にできることは…と処方を出していた、痛み止めを使ってみると、嘘のようにスッと泣き止み振戦も止まった。


次の日の土曜日も、朝から耳の痛みを訴え泣き、振戦が止まらない。
落ち着く頓用よりも、この時は痛み止めを一番に選択して飲ませると、やっぱり泣き止み振戦が止まった。

中耳炎だろうな…

休日診療担当病院を調べると、車椅子で人工呼吸器の娘でも受け入れてくれそうな病院が当番日だったので、いつでも行ける用意をしながら様子をみた。
(コロナ禍であること、行っても何にもしてもらえないかもしれないこと、無駄に心を傷つけられるだけかもしれないという不安から、本当ならすぐにでも受診させてあげたいけれど、様子を見るという名目で、第一選択を受診ではなく、痛み止めを選択し、効いてくれたからよかったものの、その間、我慢をさせてしまった私は酷い親だ)

午後になると痛みのピークが過ぎたのか、落ち着いた。

月曜日
朝イチでかかりつけの耳鼻科へ行くと、
やはり中耳炎だった。

もう痛みのピークは過ぎただろうとのこと。
中耳炎のお薬と、まめちゃんの痛みの訴えを信じている先生だからこその、
【もう痛くないだろうけど、念のための痛み止め】を処方された。

ここの耳鼻科のドクターとは、まだ一年にも満たない付き合いだけれど、いつも娘の痛みや辛い気持ちに寄り添い、指伝話での発話や会話も信じてくださるので、まめちゃんも初対面で先生を気に入り、心を開いている。


あの痛がる姿と、痛み止めがすぐに効いたことを振り返って、わかってはいたけれど、やっぱり、本当に、物凄く…

痛かったんだなと、心にズシンときた。


そして、これまでも、振戦が止まらなくて、使える薬全部をMAX量使っても落ちかせてあげられなかった時は、そもそもそれじゃない!という事だんだな…。

どこか身体の痛みがあったのではないか?と胸が締め付けられ、反省してもしきれない。


また、乳児期の複数回のオペの後や、入院で、
痛み止めを続けてあげて欲しい!と医師に懇願したものの、

毎回、娘の前に連れて行かれ、まめちゃんの目の前で、
「この子はなんにもわかっていない。痛みも感じていない」と言って拒否したり、

私が面会から帰った後すぐに、痛み止めを医師の独断で中止にして、その後何時間も振戦が止まらなかった報告を受ける日々を思い出し、あの気持ちが蘇ってきた…


今、まめちゃんは、指伝話で、気持ちを伝えられる。

家族や友だち、学校でも、コミュニケーションが取れるようになった。

「吸引してください」と学校看護師を自分で呼ぶ時は、音や胸の響く感じがなくても、吸引してみると、絶対に引ける。

痛みや身体の不調も訴えられるようになった。
時には、「おうちに帰りたい」と先生に早退したい気持ちを伝えることもある。


はじめは、誰もが、まめちゃんの言葉に半信半疑でも、
娘は諦めずに気持ちを伝え続けて、自分で信頼を得てきた。


一方で、もう何年もの付き合いなのに、信じてくれない人もいる。

そういう人には、娘もガン無視を貫くのだけれど、時々、声をかけて見たり、思わずお喋りしちゃう時がある。

そこで、距離が縮まればいいのに、相手も気付かないのか?誤作動扱いなのか…?
やっぱり認められないので、まめちゃんもまた心を閉じる。


近年、重度障害の大人や子どもが活躍し、日本の中でも認められ始めてきた。

彼ら芸能人のような才能を持つ、ほんの一握りのカリスマ障害児者だけでなく、普通の障害児者も気持ちを尊重され、試されたり疑われたり、心や身体を傷つけられることがなくなる…

そんな世の中になるまでに、後どのくらい時間がかかるのだろう?


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