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才能の寄る辺(映像)

なにかの本の一節に「人類の知性の総量は時代によらず大体同じ量だ。
ただ、その知性が偏る所が変化するだけだ」とあった。

その一節を見かけてから「ああ、あれはその時の才能が集まっていたのかもなあ」っていう映像作品を幾つか思いだしたりした。

単に才能が有るだけではなくて時代や状況がそれを許してなんらかの形になったり残ったりしたもの。
映画でもプロモビデオでも深夜番組でもそうゆうものがあると思っていて。

海岸で、波打ち際の岩の脇にある、流れが淀み、色々なものが流れ着いて溜まっている地帯。
よくわからない、でも無視できないものが渾然と。

そんなものが記憶に残っているな、って。
こもっている才能(情念)ゆえだろうか?


【1】映画『ひなぎく』予告編


ヴェラ・ヒティロヴァ監督による1966年に製作されたチェコの映画。
ストーリも映像も前衛的だが、60年代のチェコのギャル?とも言える主人公たちの野放図な生活風景と圧倒的にポップな画面にやられた。未だに好き。
たぶん自分は「動くポップアート」と認識して見ていると思う。

>「1960年代の女の子映画の決定版」と紹介され、
>岡崎京子、矢川澄子、小泉今日子、野宮真貴、
>カヒミ・カリィといった著名人が称賛し、
>1990年代の渋谷系カルチャーの源流ともいわれる
(Wikiより)

そうそう確かこんな風の紹介されてた。

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【2】「ロシュフォールの恋人たち」予告編

監督:ジャック・ドゥミー 音楽:ミッシェル・ルグラン フランス 1967
やっぱりいつ見ても映像音楽共に最高な「ロシュフォールの恋人」
自分は完全に後追いのクチで、ここいらあたりは渋谷系カルチャーの「基礎教養を履修」な感覚で見ていたなあと。

渋谷系全盛時ってまだネットよりも雑誌が強力な影響力を持っていて
妄想全開の憧れ、誤解する余地、コンテンツにアクセスできない渇望感、なんかが発生する最後の時代だったのかなあと。
(その誤解や分断は結果的に幸せだったなあと)

「双子姉妹の歌」を聞いて胸かきむしられる貴方は確実に渋谷系サブカル症候群に罹患しているはず。

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【3】「 悲しみのベラドンナ」予告編

手塚治虫の虫プロダクションが制作した劇場用アニメーション映画。1973
興行的には振るわなかったらしいが、2022年の現在に見ても驚愕するクオリティーのアニメ映画だと思う。
(技術的、金銭的に現在ではつくれないんじゃないかな?)

サントラは佐藤允彦が手がけたクオリティーの高いサイケデリックジャズであることに加え、LPはイタリアのCinevoxからしかリリースされなかったという事で今ではトンでもない値段になっている。
(とても恐ろしい値段デス…)

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【4】Herbie Hancock - Rockit (Official Video)

MTVが開局してから「音楽だけでなくプロモーションヴィデオも重要である」という潮流ができたとき、確実にこの界隈には異能・異才が集まっていたと思う。
おそらく多くの人に"スクラッチ"という演奏を知らしめた最初の曲で、
リリース当時は斬新な音&映像で耳目を集めたと思うが、
今みてみると80年代のアメリカの病み具合が濃厚に出ているように感じる。

プロモビデオの作成はGodley & Creme(だったのね、調べて初めて知ったよ…)

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【5】Devo - [I Can't Get No] Satisfaction (Video)


まだ赤いカブリモノの"エネルギードーム"を装着する前の映像。
まだ幾分人間感は残っているも動きは相当に変。
ストーンズのSatisfactionのカバー(作詞作曲のクレジットがMick Jagger, Keith Richardsになっている)のようだが全く違う曲に聞こえる。

まあ見たとおりP-MODELやPOLYSICSの元ネタのバンドであるが、
やっぱりこのプロモにも「病んでるアメリカ」が濃厚に描かれている気がする。
(作成側が意識的かどうかは知らないが)

キモくてカッコいい。定期的に見たくなる。

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【6】The Flying Lizards - Sex Machine

デヴィッド・カニンガムのユニット、フライング・リザーズのジェームズ・ブラウン「Sex Machine」のカバー。1984
Devoやハンコックのプロモビデオが「アメリカの病理」を描き出してるとしたらイギリス人の皮肉や嫌味を映像化したのがこれではなかろうか?と。
(まあ「イギリス人の」では無くて「デヴィッド・カニンガムの」かも知れないが)

高度な知性が全力を費やして何かをおちょくっている感じを受けるというか。
ファンクのかけらもなくなったJBのカバー。
このビデオも定期的に見る。

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【7】Boredoms - Super Seeeeee !!!!!! (Full Short Film)

山塚アイが主催するバンドBoredomsのDVD作品「Super Seeeeee !!!!!!」 1998

3:50からの「Etot (Super you)」をリリース当初、渋谷タワーの5Fでみかけ、延々と見続けてしまった思い出がある。
(当時の渋谷タワーの5Fの隅の方に電子音とか前衛とか変な音楽集めたコーナーがあった)
映像クリエイターはDOMMUNE代表の宇川直宏氏。

ひさしぶりに見たけどやっぱり面白いな。
腕(?)を振ってあるく扉(?)みたいな奴がずっと記憶に残ってた。

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【8】バナナ・チップス・ラブ最終回1

いまでもソレが何を指すのか分からない"ハイパー・メディア・クリエイター"という肩書き。
その肩書きを引っさげた高城剛氏が監督をした深夜ドラマ。
1990年代初頭のニューヨークの映像を見れるという意味でも貴重。

今見てもサッパリわからんが、だからといって「ツマラナイ」わけではなく、「なんか新しい事をしようとしてたんだな、金もクッソほど回ってきてたんだな」という事だけは嫌というほど分かる。
これDVD化されないかな…たしかVHSしかないはず。

ORIGINAL LOVE 「月の裏で会いましょう」がオープニングテーマ。

いまは日本の80年代の感性がもてはやされているが、
同時代に生きて、その感性を超えようとしていたような勢いを感じる。


人類の才能は無意識的に面白いところに寄るとするといまその寄り所は何処だろう。

すくなくともテレビや映画、ユーチューバーにはそうゆう勢いをあまり感じないんだよなぁ…

今はなにが面白いんだろうか?
そこに行けばこれらの映像を見て感じたようなワクワクをまた感じられるのだろうか?


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