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20230422 ラテンの宴(エン) テーマ「耳を開くステップ」

2023年4月のラテンの宴
レコード紹介テーマ「耳を開くステップ」

横浜元町の"Gallery + Sushi あまね"で毎月開催されていた音楽ラウンジ「ラテンの宴(エン)」
「DJラウンジ+音楽解説+寿司」という基本線を保ちながら現在は不定期&流浪のイベントとしてやっています。
今回は「不定期&流浪」となっての第一回目。
関内のJazz-Bar「JAZZY AFTER HOURS」さんで開催。

そのイベントではDJの時間とは別に、テーマを決めて音楽紹介も実施。
今回は「耳を開くステップ」と題して少し動いてみよう!という会でした。


今回のテーマは「耳を開くステップ」と銘打ちダンスミュージックの聞き方についてお客さんと一緒に考えてみようかと。
「ダンスミュージック」って言われている音、そのすべてでみんなは踊れる?観点を変えてみて少し違った角度から音楽(ダンスミュージック)を聞いてみよう

問い

問① ノリにくい音楽があるけどどうしたらいいの?

問② カッコよく踊りたい、特に「音がわかってる」ように踊りたい。
   どうしたらいい?


答え

答① 踊りにくいのは「オンビートにアクセントを強く感じない」ものだと   思うよ。そのような音楽は歩いてリズムを取ると踊れるかもよ。

答② 現代の商業音楽は4の倍数で構成が変わってゆくよ。また構成が変わるときには音でヒントがあるよ。
それを意識すると”わかってる感”が出せると思うよ。


いきなりの「問い」と「答え」です。
最近はサブスクばやりで「イントロの長い曲はきかれない」という事で
イントロを短く、サビ始まりってのが多くなっているようですね。
(世知辛い世の中だぜ全く…)
という事でこの記事で言いたい事の大部分は以上で終了です。
以降は興味のある人だけ読んで下さいな。


①ノリやすい音楽、ノリにくい音楽について

人間のダンス能力って、棚みたいなものがあって、最初から実装されているものと、あとから差し込んでゆく2種類があると思ってます。
最初から実装されている(上の図では【A】の箱)能力って、顎や指やつま先なんかでリズムをとったり、縦に飛んだり跳ねたりする能力。習わなくてもできる動き。つまりフェスなんかでみられる動き。
対して【B】の方は何らかの学習を経ないと動けないダンスの領域。具体的にはサルサやタンゴや社交ダンスといったペアダンス、ソロのダンスでもタップやUKJazzDanceなど。

多くの商業音楽は【A】の方に向けて音楽(リズム)を作っているんじゃないかな?

【B】の領域のダンスってレッスンしなきゃ!やらで難しくおもわれてると思う。そこで使われるダンストラックも一聴難しそう。
でも【B】で使われるダンストラックでも少しのコツで動けるようになるんじゃないかな?んで実は【B】のコツって「歩いてリズムとる」ってだけなんじゃない?(上の図のオレンジの立方体の部分の事ね)という問いかけが今回の主題。

砕けた言い方をすると「サルサを踊るのに辛く厳しいレッスンを経なくても、歩くようにリズムに乗れば自己流ながら動けるようになるんじゃね?自己流でもよくね?たのしければ」ってこと。それを今回は一番言いたい+体感として感じて欲しいなと。


【A】習わなくても踊れるダンス
  タテノリ的、膝を曲げる。 (ロック、テクノ、ハウス、)
  オンビートにリズムアクセント

【B】訓練しないと踊れないダンス
  ステップを踏むダンス。サルサ、タンゴ、社交ダンス
 
【B】の基本となる所(オレンジ部分)は「歩くこと」だと思う.
(歩くことで「片足への過重+反対側の足がフリー」を体感でき、自己流の動きが作りやすくなるのではないかと)

  「ラテンの曲をサンプルに歩いてリズムを取ってみること、音に合わせて動いてみることをしてみよう→動けると音楽の聞き方がそれ以前とは違ったものになるな」という事を体験してもらいたいというのが今回の主旨。


JoeCuba / 「 Estamos Haciendo Algo Bien!」 (Tico / 1966 USA)

ビブラフォン奏者、ジョー・キューバの1966年の作品。
キャリア最初期から英語詩のポップなマンボ作品を残しているが
時代的にもブーガル最初期の作品ゆえ、多彩なリズム・曲調が含まれている。

ブーガルーとはアメリカのポピュラーミュージック(特にブラックミュージック)に強く影響をうけたラテン音楽の事で、それらの担い手は主にスパニッシュ・ハーレムの移民2世。
つまりアメリカに移住してきた中南米の2世が、自身のルーツ的音楽+移住先のアメリカの音楽にシビれた!という足し算でできたハイブリッドな音楽。(なので音楽の特定スタイルの事を明確にさす用語ではなく、モヤっとしたおおざっぱな区分だと個人的には考えています。)

今回は以下3曲を紹介。

【A】BOCHINCHOSA(salsa/Guaguanco的リズム)
【B】CLAVE MAMBO (mamboのリズム/クラーベ)
【C】EL PITO  (ブーガルー代表曲とされる。オンビートに強いアクセント)

【A】と【B】はラテンダンスの経験がないと動くことが難しいリズム。
【C】は誰でも動けると思われるリズム。
各曲で理解してもらいたいポイントは以下。

【A】 → 4で解決するステップ(ボックスステップなど)でリズムがとれるんじゃない? ステップ=歩くことでリズムにのれると「片足過重+反対足で遊べる」という可能性まで感じてもらえるとよいな。

【B】 → サルサのリズムの基本、クラーベの音を聞いてみる。(イントロで2-3クラーベが聞こえる)サルサダンサーはこの音を聞いているんだと知ってもらいたい。

【C】 → オンビートに強烈なリズムアクセントがある。誰でも踊りやすい。ブガルー期のレコードには難しいリズムもあるしこのような単純なリズムもあり混在しているのかという事を知ってもらいたい。


【C】のEL PITOでのダンス風景。
正直この曲は”単純でアホすぎて”自分のDJではほとんどかけたことなかったのですが、まさかの超盛り上がりにて”おかわり”までされました。
曲がアホで単純なほどフロアー側でフリとかキメのポーズとかが勝手に発生し、それで遊んでゆくことで共有感が醸成されるのだなと爆笑しながらも感心した瞬間でした。


オンビート/オフビートを体感的に理解するにはリズムマシンで遊ぶと良いかと。音符で説明する方法もあるけれどDJ的にはリズムマシンの方が”気分”じゃないかと。リズムマシンで遊んでみると色々な発見があると思うよ。

以下は名機TR-808をはじめRolandのリズムマシンをWebブラウザー上で再現したサイト。ファイル書き出しも出来るようなのでこれでトラックを作っても面白いかも。


②音楽の構成について

およそ現在のダンスミュージック(商業音楽として流通しているもの)は、その構成は4の倍数で展開が進んでゆくことが多いかと思います。
また展開が変わる直前には音に何らかの合図があることが多いです。

リズムにのれた上で構成が分かった踊り(つまり構成が変わった瞬間に動きを変える)をすると相当に”わかっている”ように動けるんでないかと。

どんなジャンルでも上手く踊れる人は無意識でこの辺りを認識しているようです。ほとんど言語化されてない部分であり個人の資質にて体得してゆく部分だと思います。

今回遊びに来てくれていたダンサーも「意識した事なかった。初めて言葉にされたのを聞いた」とも言ってました。

Copa Salvo / Love Letter form Far East (2006 Japan)

日本産のハードコア・ラテンの名盤。
リズム的にバラエティーに富み、日本語詞の曲もあるが、
それらの中でも特に冒頭の3曲のヤンチャ具合は出色の出来かと。
今回はA1の「Hasta La Victria Siempre」をチョイス。

Copa Salvo 「Hasta La Victria Siempre」
(1分過ぎくらいから演奏がはじまります)

ベースが重く聞きやすいのでそれにに合わせてステップをしてみる+展開の際のフックを意識して聞いてみて、展開変化に合わせて動きを変えてみる。

曲調がひたすらにダルく悪い感じなので、ベースにのれてリズムが取れるようになったら、フロアでビールの小瓶なんかを下げ、ワルくダルく踊ったら気分なんじゃないでしょうか。


音楽が好きで、それがダンスミュージックだったら踊るべきです。
踊ると色々救われます。


text by まんぼばか (2023/4/22)

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ラテンの宴
 organize 竜太郎、NIL、まんぼばか

横浜 関内 JAZZ AFTER HOURS


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