いちご牛乳
「え〜!勿体無い!」
そっか、勿体無いと思うのか。
友人の営む小さいなお店で
その友人の友人が育てたいちごを買った。
「家に帰ったら、いちご牛乳にして食べよう♪」
と、言ったら、友人にそう言われてしまった。
小さい頃、いちごの季節になると
母が、いちご牛乳を作ってくれた。
先が二股に割れた、そこが真っ平らになっていて
いちごのつぶつぶの模様が付いているあのスプーンで
緑のヘタを残さないように包丁で切って
お椀の中に、入れてくれる。
その真っ赤ないちごの上から、砂糖をふりかけて
いちごのつぶつぶの模様が付いた
あのスプーンで、一つずつ潰してくれる。
時折、いちごがお椀を飛び出してきたり
果汁が飛び散って、白い服に、赤いイチゴの果汁が
シミを作ったこともある。
一つずつ、丁寧に潰されたいちごからは
赤い果汁が溢れてて、その真っ赤な果汁に向かって
白い牛乳を入れると、
赤と白が渦をまきながら、混ざり合っていく。
今はもうない
あの「いちごのつぶつぶ」が付いたスプーンを
思い出す。