次代として。
今年でようやく30年を迎えることができ、この調子でいけば、もっと伸ばせる。
ここに来るまでは、すごく厳しく辛いことが多かった。
23で親の会社に入る。
その少し前が町の観光産業のピークだったと思う。黒川温泉と言えば、知らない人がいないくらい。と同時に林檎の樹も知名度を上げていった。
その頃はSARSで海外渡航禁止だったこともあり、テレビ番組は国内の観光地、温泉宿の特集だらけだ。
簡単に言えば、手招きすればお客さんが入ってくる状況。
平日、土日関係なくお客さんが流れ込んでくる。飲食店が少なかったということもあるし、男性が女性をデートに連れて行くのにお茶ができるような場所がなかったこともある。
しかし、突然観光客が激減する事態が起きる。
ハンセン病宿泊客拒否の問題だった。テレビでもかなり報道されて、次の週からお客さんがぱったり止まった。
それに付け加えSARSの海外渡航解除もあり、流れは一気に逆風。
社内はちょうどその頃、別会社を設立し、隣にレストランをオープンして間もないころで、借り入れがかなりあった。当時の事務員にはお金をかなりの額抜かれていた。少し前には、喫茶店でもレジからかなり抜かれていた。税務署も入り、かなりの追徴課税が来た。
そして、市内に店舗をオープンしていた。
すぐに厳しい状況になっていった。
連日来ていたお客さんは一見さんがほとんどで、そのときリピーターの大事さを痛感した。
私は帰ったばかりで、数字のことはわからない。ましてや、借入の総額なんて教えてもらえない。
必死に仕事をするしかなかった。パン製造という全くわからない分野で、売り上げは伸ばさなければいけない。店が暇なら近場でいいから移動販売に行かなければいけない。
心が荒んでいった。
20代前半は結婚なんてまだまだしなくていいと思っていたが、後半は結婚なんてできないと考えるようになった。
それには二つ大きなことがあって、
一つはその時の事務員に「今の時代に自営業に嫁がせる親なんていないよ」と言われたこと。
もう一つは「その頃お付き合いしていた人に「私は自営業に嫁ぐ勇気はない」と言われたこと。
この二つの言葉は、今でも時々思い出して凹む。
遅かったが結婚はでき、妻も一緒に店を切り盛りしている。しかし、申し訳ない気持ちがどこかにあるし、こんなところに来てくれてるのだから変に怒ったりしたらダメだ。という気持ちがある。
でも、今後も妻と頑張っていこうという気持ちは強くある。
話は戻りますが、心が荒んでいた頃に製造していてなにもアイデアが浮かばない僕を数名の先輩が連れ出してくれた。
そこで話になったのが、移動販売をしに来ないかという提案。
場所は天草。
私の住んでいる南小国町から天草は片道3時間。
少し考えたけど、悩んでる暇はないと思い、一念発起し、天草へ。
それをSNSに書いたら、いろんなところからお誘いがあり、6年のうちの3年はほとんど移動販売に出ていました。会社の売り上げに貢献するだけでなく、お客さんの直接の声が聞けて、製造もしてるので、次のアイデアの参考になる意見ももらえました。
それで、売り上げが上がって給料が増えたわけではないけど、すごく充実した6年間でした。最後の方は会社の人手不足もあり、出る日が少なくなり、結果3年前に毎日行く移動販売は終了しました。
でも、この経験は誰にでもできるものではなく、社員にさせれるものでもないので、私だけの宝物だと思ってます。
現在、会社の主な事業は3つです。
・茶菓房林檎の樹 飲食店
・パンの製造販売
・パンの全国への卸
熊本市内の店舗は16年しましたが、去年閉めました。タイミング的にはコロナが流行り出した頃だったので、ギリギリセーフでした。
熊本地震のあった2016年ごろから、卸先からの注文が少しずつ増えてきていて、今では一つの柱になっています。理由はわかりません。
中間業社に商談は任せているので、バイヤーさんから気に入ってもらえてるのかなと感じてます。
それまでも卸はしてたのですが、その頃はまだ店側の方が強い時代。
安くしろは当たり前の時代。
その時から私は、安くすることはしませんでした。それだけ信念持ってものづくりをしているからです。
うちの見積書を見て、首を捻ったところには卸さないように決めています。会社が厳しい状況でもそこを妥協したらもっとキツくなるからです。
皆さんも商品を外に出すときはくれぐれも気をつけてくださいね。あと、全国で信頼ができる中間業社さんにしてください。
何件かは飛ばれたことがあるので。
この3年は少しずつですが、会社も伸びてきています。そして、今季も前年比増で終われそうです。
このコロナ禍でプラスで終わる飲食店は少ないらしく、自分としてもすごく嬉しいです。ただこれからの一年がどうなるかわからない時代なので、今後も気を引き締めてスタッフ一丸で盛り上げていこうと思います。
すごく長くなりすいません。
ではまた。