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人も映画も合縁奇縁

2021年もたくさんの映画を観てきた。

その中には、みんなが「面白い!」と評価の高い映画もあれば、逆にみんなの評価は高くないけれど「自分としては面白い」という映画もあった。

例えば『おいしい家族』という映画。個人的には、歴代でも3本の指に入るくらい面白い映画だったけれど、映画レビューアプリでは5点満点中3.5点と、何とも微妙な点数だった。(ちなみに私は4.8をつけている)

この映画は、たまたま読んだふくだももこ監督のインタビュー記事で知った。ふくだももこさんは私と同い年で、同じ年齢の人がどんな映画を撮るのだろうと気になって観たところ、ズバリとハマったのだった。

映画でも人でも、なんか妙に自分と合うこともあれば、逆に全然合わないこともある。「運命的な出会い」をしたわけではなく、何かの拍子にたまたま出会って、そこから妙にハマることがある。いや、それをむしろそれを「運命的な出会い」と呼ぶのだろうか。

そんなことを考えつつ、新年一本目の映画は、たまたまNetflixで見つけた『アイネクライネナハトムジーク』を観た。

街頭アンケートに立つ会社員・佐藤の耳に、ふとギターの弾き語りが響く。歌に聴き入る紗季と目が合い思わず声をかけると、快くアンケートに応えてくれた。 
二人の小さな出会いは、妻と娘に出て行かれ途方にくれる佐藤の上司・藤間や、分不相応な美人妻・由美と娘・美緒を持つ佐藤の親友・一真、その娘の同級生・和人の家族、由美の友人で、声しか知らない男に恋する美容師・美奈子らを巻き込んでいく・・・・・・。

この映画の中で、劇的な出会いに憧れている佐藤に対して一真が言う印象的な台詞があった。

「出会い方とかそういうのはどうだって良いんだよ。あとになって、あの時あそこでで出会ったのが、彼女で本当に良かった、って幸運に感謝するのが一番なんだよ!」

出会いがないという人、出会い方ばかりを探してしまって、すでに出会っている人を大切にすることを忘れてしまっている。

同じ様に映画についても、肝心の観る時間を削って「面白い映画はどれだろう?」と探してばかりいると思う。それよりも、その日その時に観た映画がこれで良かった、面白かったと幸運に感謝する姿勢が大事ではないか。

とはいえ、人も映画も自分にとって合う/合わないがあると思う。それは自分が悪いとか、相手(作品)が悪いとかではなく、ある種の縁のようなものではないかと思う。

これを四字熟語で合縁奇縁というらしい。「合うも合わないも、不思議な因縁によるということ」と思えば、良い悪いで判断したり、それによって一喜一憂することはなくなるだろう。

今までは人にも映画にも、とにかくたくさん出会うことを重視して生きてきた。どれだけ多くの人と知り合ったかとか、どれだけたくさん映画を観たかということを気にしてきた。その度に良かった悪かったを判断してきたと思う。

だけどこれからは、出会いの数や良し悪しにとらわれるのではなく、合縁奇縁と考えて、一つひとつを大切にしていきたいと思う。

2022年も色々な映画を紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

文章:真央

編集:彩音

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