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出会いと雨宿りは雀荘で
梅雨の恋の始まりは―
雨宿りの軒下、
駅までの相合傘、
そして雀荘である。
「フリー雀荘」といえば。「カモられる」「場末」などのイメージを……持つのならまだいいほうで、特に女子には想像したこともない世界ではないだろうか。
わたしが雀荘デビューしたのは去年の雨の日のこと。急な雨に降られて、目の前にあった雀荘「ウェルカム」に駆け込んだ。
他に行くところもない……!1年分の勇気を使い切る思いで、1人で雀荘のドアを開けた。
そこで得たものは予想外に、麻雀の面白さでも勝負の臨場感でもなかった。
雀荘は出会いの場所だったのである!
フリー麻雀の「フリー」とは、別々に来店した客が4人セットになって対局すること。平日や昼間はそう都合よくフリー客が4人集まらないので、その場合はお店の人が混じってゲームが始まる。ここが重要なポイントだ。
店員の9割が若い男性、半分以上が大学生である!
しかもイケメンが多い。この時代に「麻雀を覚えて雀荘で働こう」などという気を起こす男子のことだ。揃いも揃って少しヤンチャなインテリといった風情。この時点で少なくとも目の保養確定である。
そして客はほとんどが男性、独身の若手もかなり多いのである!
「バクチ好き」や「反社会勢力」といったスタンスの方は皆無で、純粋に麻雀とコミュニケーションを楽しみに来ている紳士ばかりだ。それと、ここだけの話、繁華街の雀荘に朝方行けば仕事明けのホストの方がたくさんいる。高い金払ってシャンパン入れる必要はない……雀荘へ行けばタダでホスト3人と喋れるぞ!
ともかく女性のフリー客はめずらしいので、店員も客もみんな優しい。どんなに下手でも優しい。ハッキリいうとめちゃくちゃチヤホヤされる。合コンなどでありがちな「会話が盛り上がらない」といった心配も無用。なぜなら「麻雀」という共通の話題が目の前で進行しているから。初対面から互いの距離をここまで一気に縮められる場は、雀荘をおいてなかなかない。この事実が広く知られれば「少子化」と「不景気」2つの問題が大きく改善されるのではないか?
わたしは雀荘で友達がたくさんでき、プレイ後や休日に出かけることもある。そのうち彼氏ができる可能性も、街コンや相席居酒屋へ繰り出すよりははるかに高いと体感している。
婚活中の女子たち、悪いことはいわないから今すぐ麻雀のルールを覚えるべきだ!
ちなみに麻雀のルールは難しくない。ルールブックを読んでスマホアプリで少しプレイすれば数日で理解できる。複雑なのは点数計算だが、それは全てお店がやってくれるので基本ルールさえ覚えれば本当に大丈夫なのである。
福本伸行のマンガに出てくるような、路地裏の怪しい雀荘をチョイスする強者はあまりいないかもしれないが念のため店選びについて説明すると、「初心者歓迎!」と書かれた明朗会計の優良店が都市部のあちこちにある。ネットで検索すればたくさんヒットするので最初はそこを選ぶとよい。
「初心者で何も分からない!こわい!」と素直に告げれば包み込むように優しく、店員さんがルールから説明してくれるので次第に緊張もなくなる。1ゲーム(1時間前後)あたり勝っても負けても最大2000円ほどの収支なので金額的にも恐れることはない。多くの店が24時間営業なの急な雨に対応しているも嬉しい。
勇気がいるのはドアを開けるその瞬間だけだ。彼氏がほしい女子よ。何度でもいおう。雨が降ったら雀荘へいこう!
文:雀荘女子
編集:真央