好意と憎悪
あなたのキスを、ハグで止めたあの日のこと
私のずるさを、愛おしさとしたあの日のこと
私は自分自身のことを、優しくて素直であると思っていたし、そうであってほしいと思っていた。しかし最近は、プラス冷静で卑怯だとも思う。
人からの好意は嬉しいけれど、下心は怖い。結局、恋愛に発展してしまう男女の関係感覚を目の当たりにして、軽い吐き気すら催すのだ。好かれたいのと女の人として見られたいのでは訳が違う。怖いなと思う。
あなたが手を繋ごうとしたら、私は無邪気に周りの建物を指さすし、眠そうに肩にもたれかかったら話し相手がいないと寂しいからと言いあなたを起こす。あなたがキスしようとした時、私は精一杯の策として、そのままハグをした。あざとさは武器なんかではなく、私の防具だ。
相手を傷つけないように、という優しさのように見えて、自分が傷つきたくない、嫌われたくないだけなんだと。嫌われないために好かれようとする。結果的にいつか相手を傷つけるけれど、私は気づかないうちに、あなたの無自覚の愛で、グサグサとドスドスと、何度も刺され殴られ、傷つけられている。だから、おあいこだから。きっとお互いに傷がついた時、その時に批判されるのは私だろうけれど。
私は憎悪の気持ちを無邪気さで必死に隠し、貴方はそんな私の狡さを愛しさとする。愛される事を放棄しない、それが近いうちのテーマであったが、私は正しく愛される事ができないみたいだ。
何度も憧れて何度も信じてみた恋愛という感情、それを周りと比較しては、精神をすり減らした。私の好意は何度も殺される。
もう自分にも相手にも落胆したくないので、もう誰からも殺されたくないので、どうか、早く成仏してくれ。それかいっそ、どうにもできないくらいに、次の傷が増えても何も感じないくらいに、分からないくらいに、気づかないくらいに、私の精神を傷つけ殺してくれ。
同じになれない自分への憎悪
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