不妊治療備忘録③ 顕微受精2回目

5月末、1回目の移植は陰性となった。
もう一つ残った胚が異常受精したものということもあり、また採卵からやり直すこととなった。
高刺激のショート法でグレードの高い胚ができなかったということもあり、次はアンタゴニスト法で採卵することにした。

リセット(生理のこと)を待ち、次の予約のことを考えていた。
初回ということで、やれていないことも多く、もっと体質も改善に取り組もうだとか、悔やんでもしょうがないとなるべく前向きに捉えようとしていた。

そして待ちに待ったリセット。
しかしながら、これまた採卵後よりも重く、何よりも気分の落ち込みがひどかった。
採卵できる数、胚のグレード、陽性と陰性…など、人と比べてどうなのかということを、普段は競争じゃないんだからと理性で押し留めていたけど、この数日間はどうしようもなかった。

そんな気持ちを抱えつつクリニックへ行き、エコーで内診してもらったら確認できた卵胞は4つだった。
前回は7つだったので、今回は約半分くらいに減ってる。
目の前が暗くなりそうだった。

ゴナールエフを処方してもらい、自己注射を再開した。
2回目なので違う方法を試してみたいと、新鮮胚移植を希望していたので、卵胞のサイズだけでなく、内膜の厚さも大切になってくる。
しかし、4日後の内診で内膜が3mmとなかなか厚くならなかった。

ネガティブな気持ちがむくむくと湧いてきそうになったが、ニュートラルに、淡々と日々を過ごそうと意識していた。
ストレスが悪いのはわかっていたので、散歩やストレッチ、ヨガなど血行改善も兼ねて行ったり、少し離れていた好きなものに触れたりしてあまりこんを詰めすぎないようにしていた。
そして、内膜を厚くするため良いと言われていたビタミンEの摂取も始めてみた。

実際に立ててた採卵まで意識することリスト
出社割合を増やしてウォーキング頑張ってた

そんな成果もあってか、クリニックに行ったところ、卵胞が5個ほど取れそうであること、内膜が8.8mmとしっかり厚くなり新鮮胚移植可能な範囲となったことを教えてもらった。
本当に安心して「よかった」とついつい声を漏らしてしまった。

そして、そのままクリニックでガニレストを自分で注射することになった。オビドレルもできたんだから余裕でしょとか思ってたら、薬液を入れるとヒリヒリと痛くてびっくりした。
刺すよりも入れる方が痛いってある…?
注射っておもしろいなあと思った記憶。

そして翌日のD10で採卵決定となり、オビドレルの注射と点鼻薬と坐薬を使うことになった。
(メモが残ってなくて坐薬がどのタイミングか忘れてしまいました)

そして6月に入り、ついに採卵当日に。
前回の点滴用の針と採卵前の消毒の痛みが記憶に新しくすこし緊張しつつも、2回目であることもあり少し落ち着いてすごすことができた。
同じ手順で採卵を実施。違うのは手術着が不織布に変わったくらい。

しかしながら、採卵結果はまさかの卵子が2つだけ。

卵胞は5つあったものの空砲だったり未熟だったりしたそう。
先生にも注射ちゃんとできたか確認されるレベルで、「なんで」という気持ちで頭がいっぱいだった。
前回8個採卵できて胚盤胞になったのが2個、今回はもう無理なんじゃないか、そもそも受精から大丈夫なんだろうかとマイナス思考に埋め尽くされてしまった。

今回ダメでも次頑張ろうと気持ちを切り替えようとしつつも、比較的仕事も安定していたタイミングでこれなんだから、次回のタイミングだと仕事で部署の異動が決まっており、慣れない環境×激務でもっと悪くなりそう…と悪い方向に悪い方向に考えてしまうのをやめられなかった。
治療お休みして身体づくりからするべきかなあとか、仕事お休みしてストレスフリーに生活してみるとか色々考えてみたけれど、キャリアと年齢を考えるとその選択を選ぶ勇気もないななどぐるぐる考えしまった。
何よりも、前回よりもきっと良いはずと期待していた気持ちが大きかったんだろうと思う。

そんなこんなで胚の様子がわかるまでの2日間鬱々と過ごしてしまっていた。
電話で移植ができるか連絡いただけるとのことだったので、期待してはいけないと気持ちを抑えつつも、祈るような思いで電話を待っていた。

そして、移植予定日当日、なんとか1つ良好胚となったと連絡を受け、新鮮胚移植を行うことが決まった。

準備をしてクリニックへ向かい、培養士さんから胚の説明を受けたところまさかのグレード1の胚でまた驚いてしまった。

新鮮胚移植は4細胞もしくは8細胞に受精卵が細胞分裂をしているタイミングで、その割球の均等さでグレードが決まるそう。
今回の胚は4細胞の分裂が綺麗だったので、一番良いグレード1の胚と分類された。
なんとなく、この段階でかわいく感じた。

前回の移植とまた同じように進行して、また胚の流れ星は見れずに移植が終了した。

今回は新鮮胚移植ができたこと自体が、嬉しくて嬉しくてしょうがなかった。
毎日帰りの遅い夫がたまたま早く帰る日ということもあり、2人で願掛けでジンクスのマックのポテトを食べた。

前回は毎日の体調をメモとして残し、体調の変化と妊娠初期症状を比べて一喜一憂した結果、心が疲弊してしまったこともあり、今回はなにも記録せずに過ごした。
フライングの妊娠検査薬もやめておこうと決めていた。
今考えるとどういう傾向があったのかとか気になるけど、仕事がちょうど忙しくなったこともあり、あまり考えないようにしていた。

そんな日々を過ごしていた中、夫が体調を崩したかと思ったら、コロナに罹患。
判定日が近づく中で、濃厚接触者になったら判定にいけないこと、また自分もコロナに罹患した場合妊娠していたら薬の処方とかも変えてもらう必要があったため、あまりやりたくなかったけど、今後の状況の整理のために妊娠検査薬を使った。

…人生で初めて、うっすらだが2本線を見ることができた。

すぐさま寝込んでる夫を叩き起こして、妊娠検査薬を見せて、泣いて喜んでしまった。
ほんとうにうっすら線が見えたので、たまたまかもしれない、蒸発線なるものが見えただけかもしれないと心を落ち着けようとしたが、これまで陽性の線が1度も見えたことがなかったため、嬉しくてしょうがなかった。
夫はきっと身体つらいのに嬉しいみたいなわけわからない状況だったと思う。

そこから、これまで以上に接触や手指消毒など気をつけていた。
が、努力もむなしく罹患。
コロナ、カロナールと咳止めの漢方でなんとかしのいだけれど、本当につらかった…。

そして、もちろん予定していた判定日は延期。
陽性の場合、継続する予定だったワンクリノンも無くなったら終了となった。
大丈夫なのと不安が尽きなかったが、どうしようもないのでできることはただ祈ることだけだった。
そして、子がお腹にいることを確認したくて判定日まで何度か妊娠検査薬を使ってしまった。

そして、熱がすっかり下がってクリニックを予約。
妊娠検査薬で陽性判定が出ていたこともあり、クリニックで前回のように血液検査はなく、胎嚢確認の予定日を決めて終わり。
なんとなく自分の中で血液検査でhCG値を教えてもらえるものと思っていたのに、肩透かしを食らった気持ちだった。
hCGの値で妊娠継続率を調べて少しでも安心したかったができず、これまた不安でこの後も2回くらい妊娠検査薬使ってしまった。

胎嚢確認はまさかの自分の誕生日に決まった。
自分の年齢のことだけでなく、途中でワンクリノンをやめたこともあって、胎嚢が見えるのか、胎嚢確認が終わるまで自分に現れたサインを元に検索をし続けた。この時期どうしても検索魔になっちゃうよね…。
また、誕生日に駄目だった…とかわたしには耐えられなさそうすぎて、いくつも自分のテンションが浮上しそうなものを準備してた。

が、なんとか8.7mmの胎嚢が確認できた。
たくさんの検索結果から妊娠継続されていた方は10mmくらいのあることが多くて、ちょっとだけサイズが小さめだったので、また新たな不安要素を見つけてしまっていた。

この時期からにおいつわりが始まってきており、香水、ボディーソープの香り、揚げ油やお惣菜の匂い、排気ガスの匂い全てがだめに。

そして胎嚢確認から1週間後に1回目の心拍確認があり、ここでも問題なく心拍を確認することができた。
動いてる…という生命の神秘を感じてまた感動してしまった。

そしてどんどんつわり症状が出てきて、翌週に2回目の心拍確認ができ、心拍の音も聴くことができた。
お腹の中にいのちがいるということをようやく実感できたのもこの辺りだった気がする。
受精後からずっと見守ってるのに実感が遅い。

そして7月半ばにクリニック卒業が決まった。
産院の紹介状を書いてもらい、おめでとうという言葉とともにエコー写真たちが貼られたメッセージカードをいただいた。
先生を始め看護師さん、培養士さん…関わってくださった人すべてに感謝の気持ちでいっぱいだった。

現在はそろそろ妊娠7ヶ月目に突入するところ。
再来週、胎児スクリーニングを控えてまだまだドキドキする日々を送っている。
まずは無事に生まれますように。

この備忘録を書いたのは、まずは自分が忘れないようにしたいがまずあった。
そして、不妊治療はいろんなケースがあるので少しでも誰かの参考になればという思いです。

おしまい

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