【読書記録】未来の年表 を読んで

 今日は久々に読書記録です。カタイ感じの新書なのですが、この本はこれから日本で生きていくつもりの日本人全員が読んでおくべき本だと思います。

1 本の概要

書名:未来の年表 人口減少日本でこれから起きること(リンク
著者:河合雅司
出版年:2017年

 著者の河合さんは人口政策、社会保障政策の研究者のようです。これから日本の人口が減少するのは周知の事実ですが、それによって社会に何年ごろ、何が起きるか、ということを、統計等のエビデンスをもとにまとめてくれています。そしてその大変化を前に、日本という国はどのような体制を整えていくべきか、という提案を後半で述べています。
 ちなみに2015年には1億2710万人いた日本人は、2065年には8808万人になります。率にして69.3%、たった50年で3割も人口が減ります。そしてこのnoteをお読みいただいている50歳以下の方は、何もなければ50年後も生きています。私含め、これは生きている間に起こることです。


2 覚えておかなくては、と思った部分


 本では何年に何が起きるか、ということを細かく記載してくれていて、すべては覚えきれないと思ったのですが、個人的にポイントとなる部分をメモ的にあげておきます。
①これからの日本は、高齢者の高齢化が進む
 現在、高齢者が増えつつあるということで、高齢者に就労機会を!とか高齢者になっても健康維持!とか、言われています。が、その時想定する高齢者って、比較的元気な高齢者、イメージ年齢で言うと、60歳~75歳くらいじゃないかな、と思います。この本の中では、それより上の年代の高齢者、つまり75歳~100歳以上の高齢者がどんどん増えていくのだと書かれています。いわれてみればそうですよね、長寿命化が進み、今ボリュームゾーンにある高齢者が減らないで年齢を重ねていくのですから。そうすると、高齢者の活用といっても限度があるな、と考えました。

②若者がいなくなる
 若者はほとんどすべての地方から消えつつあります。ではどこに行っているのかというと、東京等の都市部に集まっています。東京等の都市部は、日本中から若者を吸い上げることで発展を続けてきました。でもこれからますます少子化・人口減が進むと、吸い上げる対象の若者が、数としては今よりもすごく少なくなってしまう、とのことでした。これも、人口減の行く先を考えれば当たり前のことですが、読んで初めて、ああその通りだな…と思いました。これで外国の方も移住しないとなったら、日本は本当にどんどん年老いていく国になるのだ、と気付きました。

③2042年問題
 著者の河合さんはこの本の中でも繰り返し「2042年問題」というワードを出しています。13年後の2042年に何が起きるのかというと、高齢者(65歳以上の者)の絶対数が3935万人とピークに達するのですが、その時点で勤労世代の人口は2025年と比べて1256万人減少しているためだそうです。高齢者=支えられる存在、勤労世代=支える存在、だとすると、自分含め勤労世代にとってはかなりキツイ状況であることは間違いなさそうです。
 しかも、2042年にほぼ全員がこうれいしゃになる団塊ジュニア世代は、就職氷河期世代でもあり、不安定な雇用環境に置かれて勤労時代を過ごしたものが多いため、老後のたくわえに乏しい、貧しい者が多い見込みである、とのことでした。すると、勤労世代への負担はますます重くなります。(これを見越してか、政府も、就職氷河期世代への就労サポートを最近はじめようとしています)

3 感想

 この本を読んで、本当にぞっとしますが、未来の日本をより具体的に描けたことはよかったです。個人的な感想を言いますと、状況はこの本に書いてあるよりも悪くなると思います。なぜかというと、勤労世代が国外へ出てしまうことの可能性について、全く記述がないからです。
 これは証拠も何もないので、私の推測に過ぎません。が、今後数十年で、国境を越える転居は、もっと容易になっていくのでは、と思います。自分が、田舎は嫌だ、東京へ出よう、と思って出たようなノリで、自分の子ども世代は、日本は嫌だ、外国へ出よう、ということができる時代になる気がします。で、どんな層が海外へ出ていくかということですが、やはり、優秀な層、稼げる層、若者等未来のある層、が海外へ出ていくのではないかと思います。(稼げない層は、そもそも国外で生きていくバイタリティもない、と推察します)そうすると、日本でとどまって、支え手になってほしい層が出て行ってしまうことになります。
 話を戻しますが、私は今のところ、日本で暮らし続ける予定です。これから日本ではこういうことが起きるということを、好ましくない予想が多いですが、把握して生きていく、ということは、これから日本で生きていく全員に必要だと思います。そして、社会基盤について、どうしたら長く、なるべく望ましい形で維持できるか、と構成員ひとりひとりが考えなくてはいけないのではないか、と思いました。


4 思考 ひとりひとりは、明日から何をすればよいか

 この本を読んで、日本という国に起こる事態はわかりました。では、ひとりひとりの人間は、明日からその事態に対応するために、何をすればよいか、考えました。
 私の考えは、「健康維持のための習慣を身につけること」「なるべく長く働き続けるため、自己研鑽をすること」です。この本の中で、日本は出生率低下・高齢化進展・勤労世代減少、という三重苦に悩まされると書かれています。その3つの事象が具体的に何を引き起こすのかというと、支え手が支えられ手を支えきれなくなり、社会基盤が維持できないほど不安定になること、だと理解しています。ではどうするか、というと、一人でも多くの人が、少しでも長く「支え手」であり続け、100%の「支えられ手」になる期間を短くする、ということが、個人レベルでできる最大限の貢献ではないかと思います。健康はすべての資本ですから、健康に活動できる期間を人生においてなるべく長くする。金銭も、生活していく上では不可欠なので、なるべく長く稼げるように、稼ぐ能力を身につける。これを一人一人が地道にやっていくことが必要ではないかと思います。好き放題生きていく、老後は国に面倒を見てもらう、という安易な人生の見通しではなくて、日本という社会を維持するために、なるべく多くの人が自分と社会の面倒を1日でも長く見ていく、という気持ちで暮らさないと、数十年後の日本は本当に厳しい状況になるのでは…と思いました。

5 気になったワード CCRC

 この本を読む中で、中高年の地方移住策として、CCRC(Continuing Care Retirement Community)という政策があることを知りました。米国で、リタイア後の中高年が地方に移住して、大学で学び、健康面に問題が出てくれば大学病院や連携している介護施設等で暮らすのだそうです。大学と連携している場合が多いのだそうです。この政策は少し調べてみたいなと思いました。何より、自分が中高年になり、リタイアしたら、好きな街で住みながら学ぶ、というのは楽しそうだなと思いました。

6 まとめ

 この本はとにかく、日本で暮らし続ける人は絶対に読むべき本だと思います。避けては通れない現実が記載されています。また、今後社会はどうなるのか、はこれから日本で生きていくつもりの自分としては関心の強いテーマです。河合さんはこの本の続きとして何冊か本を出されているようなので、そちらも読んでみたいと思いました。

以上

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