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自分なりの答えが見つかる

薦められた本

この本が面白いと聞くと、ぜひとも読みたくなる。『13歳からのアート思考』は絵が下手で、美術が大の苦手だった私に打ってつけの本だった。タイトルはこの本の副題。

早速

しかも、浦河の図書館ですぐに借りることができた。読みたいときに読めるというのは本当に嬉しい。試しに東京の自宅近くの図書館で予約を試みたところ、125名もすでに予約リストに名を連ねていた。順番が巡って来る頃には予約したことをすっかり忘れていた、なんてことになりかねない。

熱いうちに

おかげで読みたいというpassion(熱意)をもって一気に読むことができ、大満足だ。しかも内容が素晴らしい。

美術の授業

この本は、美術の先生が6回の授業を通して美術、いや、ものの考え方、自分なりの答えの出し方を、6つの作品を使って教えてくれる。しかも前書きに「13歳に戻って、思考OSをアップデートする」とあり、IT業界で働く私は一気に身近に感じ、教室の最前列に座って授業を受けよう!という気持ちを持った。

実は絵を描くのが下手で美術が苦手というか、嫌いになったのだが、何年も前に、美術館のキュレーターの通訳の仕事をしたことがあり、その時に今回の本で紹介されているような話を通訳して、美術に対する考え方が変わった。

ITの通訳が多い私に、いきなり飛び込んできた美術館の仕事ということで、相当の事前準備をした。このキュレーターが幸い本を出していたので、その本を依頼主の美術館から借りて、丁寧に読んだ。100ページくらいまで読むと、大体その人のボキャブラリーや言い回しがつかめるからだ(その本は大作で300ページはあったと思う)。

おかげで対面した時には、旧知の人のような気がしたものだが、とにかく話が面白かった。特に印象に残っているのが、美術館に名作を見に行き、名作だ、と思って帰る、そんな人が、あれ?って思う。常識を疑う、名作とは何かを問いかける作品と説明したものがあって、現代美術はただ「訳がわからない」と感じていた自分は、はっとした。とても新鮮だったのを覚えている。

美術史の知識を並べたような、アーティストと作品名を暗記していないとわからない話は一切なく、以後、美術館を訪れるのが楽しくなった。

そんな体験を今回、文字で、授業で追体験というか、きちんと学ぶことができた。アートが問いかけて来ることに気づき、自分がなんと応えるか、そんなやりとりの楽しさを教えてくれた。

共感

「おわりに」という最後の部分で、スティーブ・ジョブスがスタンフォード大学の卒業式で行った有名なスピーチに登場する言葉、Connecting the dotsでこの本を締めくくっている。私、実はこのスピーチが一時全文を暗記したほど好きで、人生の指針と言っても過言ではないのです。最後の最後まで、楽しみ、いろんな気づきがあって、共感することもいっぱいあって、ものすごく充実した読書時間を過ごせた。人に薦められた本だけど、私もぜひ薦めたい本です。

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