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おやつ
小川糸の『ライオンのおやつ』と言う本を読んだ。昨年の本屋大賞第2位で、 NHKのドラマにもなったようだが、TVをあまり観ないので、知らなかった。友人のご主人がターミナルケアを四国で受けていたこともあって、最初の数ページでとても身近に感じ、引き込まれて一気に読んだ。
この本を読んで、もう何年も前に亡くなった母のことを思い出した。骨折をして入院したことがあったのだが、その病院では確か1週間に1度だったと思うが、お菓子のワゴンサービスがあった。和洋数種類のお菓子が用意され、自分の好きなお菓子を選んでよく、電話でその様子を話す母から、それをすごく楽しみにしていることが伝わってきて、こちらまで嬉しくなった。
最近、義母が骨折して入院したのだが、コロナ下で、ベッドのカーテンは常に閉めていなければならず、食事もそんな状態でベッドの上で食べるのだと聞いて、心が痛んだ。
その義母が外科病院からリハビリ専門病院に転院する際、病院からはコロナ感染が怖いので、途中、どこにも寄らないでください、と念をおされ、外食の夢破れた義母がタクシーに乗り込む際に「甘いものが食べたい」と漏らした。
今は家族でさえお見舞いはご法度、だから果物やお菓子といった差し入れもない。楽しみがなくて、病んで行きそう。この本はホスピスでのおやつの時間の話だが、今、コロナでお見舞いを受けられない、普通に食事ができる入院患者にもこんなおやつの時間があったらなぁと思う。食べる楽しみ、おやつの楽しみは心を上向きにするのではないかしら。