
Killing me softly with his song
上の写真は宿泊しているアエル敷地内にはいってからの長いドライブウェイ。雪の壁が両脇にできていて、まるでボブスレーでもやっているようだった。今日から春のような気温(といっても4度とか5度)で、雪もだいぶ溶けてやせ細ってきてはいる。日照時間が長くなり、馬の冬毛が抜けはじめ、そこここに仔馬の姿を見かけるようになった。
いつものようにNPRという英語のニュースをネットで聞きながら、朝食を食べていると、Roberta Flack(ロバータ・フラック)の訃報とともに、彼女の代表作「The First Time Ever I Saw Your Face」が流れてきた。
なんて穏やかな曲なんだろう。私にとっては、タイトルに掲げたKilling me softly with his songこそが本命というか、忘れがたい曲、思い出の曲だ。
ネスカフェのCMで聞いたことがある、と言う人が多いのではないかと思う。CMで耳に残っていたこの曲、英語の歌詞が素晴らしく、聞いていて、脳内劇場にそのシーンがはっきりと映し出されるような気がするのだ。大人になってから、英語の発音を自ら矯正するために、この曲を何度も何度も口ずさみ、練習したので、本当に深い思い入れのある、忘れ得ない曲なんです。
今聞くと、かつてはこんなにゆっくりと歌っていたんだなぁと思う。年代的には日本はフォークソングの時代だろうか。私の勝手なこじつけかもしれないが、「なごり雪」とか、ちあきなおみの「喝采」に近いのかなと思う。いまや、ラップに限らず、どこで息継ぎするんだろうと、聞いている私が酸欠になりそうな曲が多いからか、なかなか歌詞、言葉が心に刻まれずに、次から次へと流れて行ってしまう。同時通訳をしていて、早すぎるスピーカーだと、言葉がどんどん先に言っておいてけぼりになる感覚を、仕事仲間と流しそうめんをつかみ損ねた感じ、とよく話す。あっ、待って! と思っても流れて行ってしまう。それに似ているかも。
今みたいにYouTubeですぐに動画を探せる時代ではなかったから、彼女の声は知っていても、姿かたちは知らなかった。訃報を聞いて初めて、彼女が黒人だと知った。
享年88歳。すばらしい曲を、歌声を有難うございました。