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儀式レポ:断髪式
とある日の深夜1時。友人の断髪式を執り行いました。恋人との別れなどを経験し、新たな気持ちで歩み出したいとのこと。
我が家のキッチンで、これから断ち切る髪の毛を日本酒で清め始めた彼女。これは神聖な儀式である!私と同居人も急いで準備をする。
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儀式にふさわしい服装、ろうそく、土偶、お香、屋久島の海水から作った塩、ティンシャ。祭壇を作り、雅楽を流す。
それぞれの準備が整い、友人は部屋の中心、祭壇の前に静かに正座。仄かなろうそくの灯りのせいか、厳かであたたかい空気に包まれた部屋。同居人の鳴らすティンシャがよく響く。
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髪の毛を切り落とす役を仰せつかったので、一礼してはさみを受け取る。はさみを持って友人の後ろに立つ。束ねた髪の毛の根元に、はさみを当てる。髪の毛というのは束ねてしまうとなかなか一太刀では切れない。ゆっくりと、何度もはさみを動かす。流している音楽よりも、髪の毛が少しずつ切断されていく、じりじりという音のほうがよく聞こえる。
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どこからどこまでがじぶんなのだろう。さっきまで彼女の一部だった、パーマのかかった髪の毛を見て思う。彼女の一部だったものを、祭壇に備えて塩をかける。
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最後に、新たな日々を過ごすための占いを行った。浮かび上がった言葉は「心地よさ」。他者の気分を害していないか、自分の行いが正しく受け入れられているかを気にし過ぎてしまうことに悩んでいた彼女。明日からの新たな日々の中で、自分の「心地よさ」とどう向き合っていくのか。どのようにあっても、すべてが彼女を見守ってくれるでしょう。
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すべての役目が終わり、私と同居人は一礼して部屋を後にした。