入試は平等でなくて当たり前。
入試シーズンも後半。
時々蒸しかえされる、医学部入試における男女不平等。
なぜ、東京医大は男性を優遇したのか。おそらく将来の戦力として男性医師がほしかったからだろう。
医学部はほぼ、入学=医師になる人数である。特に東京医大のような私学では、そのほとんどは臨床医になる。私は卒後約20年たつ女医で一般病院の常勤で働いているけれど、同級生たちの動向を確認すると、半数以上は働いていない。免許はあるけど、主婦をしている人。パートで週に2日程度働いている人がほとんどで、常勤フルタイム働いているのは1/3以下だ。子育て世代だから仕方のないことかもしれないが、一般の会社員と違い、子育てが終了してもフルタイムに復帰する人はほとんどいないだろう。医学がその間に進歩し、現場についていけなくなるからだ。大げさに感じるかもしれないけど、常に少しずつ医学は変わっていっている。数年離れていれば、あっという間に浦島太郎となってしまう。もちろん、数年であればリカバリー可能だが、「怖い」という意識も生まれてしまうため、第一線にはもどらない。同級生の女医の中には、入学当初から医師免許を花嫁道具がわりに考えていた者もおり、そうでなくてもお小遣いをかせぐための最強の資格として活用している人のなんと多いことか。これも特に開業医の子女が多い私立の医大に多い傾向である。
医学部における女子はこの50年で格段に増えた。しかし、その一方で第一線で働き続ける人数はむしろ減っており、また、体力的にきつい、仕事が忙しい、等の科では希望者が減少しているのが現状なのである。
こうなると、大学側はどうしても、ある程度しっかりと働き続ける可能性のある男性を多くとりたいと考える。また、女医に好まれない科でも継続しなくてはならないわけで、女性ばかりが増えるのは成り立っていかない、という現状がある。(女子医大って女性ばかりなのにきちんと継続しているじゃあないかと考える人もいるであろうが、女子医大は学生だけが女性で、大学病院の医師や大学職員は他大卒の男性医師をいれて成り立っているのだ)
こうした背景を十分に考えた上、入試とは学校側が希望者をふるいにかけて選ぶのではなかったか。点数だけでなく、校風に合った子、考え方のあり方、小学校や中学校においては家庭環境まで考慮の対象となる。男女比率だって募集に明記していない学校だってある。それは学校側が選ぶ側なのだ。
医学部入試とは将来の医師を選ぶ第一の選別試験である。女性だってもちろん門戸は開かれている。だけど、学力だけじゃないのだ。明るい子、ハキハキしゃべる子が優位なのと同様に男性が望まれているのだ。性格や雰囲気で選ぶのはよくて、性別を考慮することがわるいのかよくわからない。しゃべり方や性格だって生まれつきのこと。選ぶ側にとって望む人財たるポイントを備えているかどうかだ。入学試験、入社試験、すべての選別試験が選ぶ側にあるということ。縁故入試や縁故入社があってもいいと思う。そのような人材がほしいという会社なのであり、学校なのであろう。それも各個性の一つだ。
性別だって個性を表す一つのフラッグに過ぎない。それが望まれにくい状況だった、というだけの話。でも、それを凌駕する点があれば合格できるんだから、いいんじゃない?差別とは違うと思うけど。
男性が望まれている状況はしばらくかわらないだろう。患者が女医を希望する、とか言う次元とは別の話。全体の人数を膨大に増やして人手不足を解消するかしないと、だた女医が増えるだけでは医療が崩壊する。
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